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こんな映画は見ちゃいけない! 

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サウルの息子 こんな映画は見ちゃいけない! 

2016/01/23

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2016/1/23  Vol.1720      ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
             「サウルの息子」  です。

貨物列車を降りた老若男女をシャワー室に送り込む。閉じられたドア
を内側から激しく叩く音が止むと、折り重なった死体の搬出と清掃に
取り掛かる。何も感じなくなった。作業をこなしているうちに慣れて
しまったから。何も考えなくなった。自分とは関係のない人々だから。
物語は、強制収容所で働くユダヤ人の2日間を描く。彼に密着するカメ
ラは、その表情をとらえつつ目となり耳となり、主人公が体験したホ
ロコーストの真実を再現する。感情が入り込む余地はない。ひたすら
“生産性”向上を目指す工場のごとく効率よくユダヤ人が処理される。
目の前で起きているような圧倒的なリアリティにしばし瞬きを忘れた。

ドイツ軍の下働きをするユダヤ人・ゾンダーコマンドのサウルは、ガ
ス室からまだ息のある少年を発見する。ほどなく死ぬが、彼を息子と
思い込んだサウルは遺体をユダヤの教義に則って埋葬する決意をする。

医師に頼み込み遺体を回収したサウルは、ラビを探すがなかなか見つ
からない。一方でゾンダーコマンドたちが反乱の準備を進めている。
わずかなチャンスも逃すまいと奔走するサウルは理性を失鵜一方、焦
り・不安・苛立ちといった心の動きが戻ってくる。どうせ処刑される。
サウルにとって少年の弔いこそ、己の生きた証を遺すことなのだ。

その間にも次々とユダヤ人貨車が到着、殺処分のスピードアップを求
められたドイツ兵がパニック寸前になる。笑えないジョークのような
だが“殺す側”もギリギリまで追いつめられていた事実がうかがえる。

       お勧め度=★★★★(★★★★★が最高)

               「サウルの息子」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20151214
               
          を参考にしてください。




 本日本日はもう1本
 
   「LIVE!LOVE!SING! 生きて愛して歌うこと 劇場版」  です。

故郷の被害を「神戸みたいにチャラくない!」と、阪神淡路大震災で
わが子を亡くしたおばさんに言い放つヒロイン。20年経って街はすっ
かり復興した神戸のみならず、東日本大震災の被災地も次々と日常を
取り戻していく中、原発事故避難区域の人々は帰宅の目途すらつかな
い。悲しみの絶対値は当事者にしかわからない一方で、そこには被災
者間の格差が厳然と存在する。そんな当たり前の事実に初めて気づか
された。物語は神戸で避難生活を送る女子高生が、小学校時代に校庭
に埋めたタイムカプセルを掘り出しに行く行程を追う。住民が去った
住宅街から津波に流された地域まで、いまだ放射能の脅威が残る福島
の現状と、時間が止まったままの人々の気持ちがリアルに再現される。

幼馴染の本気から“タイムトラベルの誘い”を受けた朝海は、道中、
勝、香雅里と合流して福島に向かう。成り行きで付き添っている先生
と共に電車とバスを乗り継ぐが、小学校への道は封鎖されていた。

汚染土の山は放置されている。奥地に入ると被爆牛が放牧されている。
町は暮らしの痕跡を残したまま人が消えている。海岸で出会った女は
夫の遺品を探しながらも、見つけないことで正気を保っている。勝は
生き残った己を責めている。香雅里は死んだ人の分まで充実した人生
を歩まなければならないと期待されるのが重荷だったりする。

彼らが抱く現在進行形の喪失感が、自身も神戸で兄を失った先生の、
“いつまで続くんやろな”の言葉に凝縮されていた。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

     「LIVE!LOVE!SING! 生きて愛して歌うこと 劇場版」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20151209
               
          を参考にしてください。




 本日本日はもう1本
 
           「ビューティー・インサイド」  です。

自分はいったい誰を愛しているのだろう。日々顔貌が異なる男を恋人
にした女は、次第に相手を思う気持ちに自信が持てなくなっていく。
中身は不変と分かっていても、夜が明けると彼を探さなければならな
いつらさに、やがて彼女は疲れ果ててしまう。物語は目覚めると別人
になる奇病にかかった男が、美しい女に恋をし、己の体質を受け入れ
られるまでを描く。好きになったのは容姿ではなく人柄、頭では理解
していても感覚が拒絶する時もある。それでも、外見の変化に最初は
驚き、不条理に怒り、容認し、楽しむ術を身に着けるまでになる。そ
んな、彼と同じ反応を彼女も見せる過程で、信じられない思いと目を
そらしてはいけないという繊細な感情が再現されていた。

18歳の時に発症し今は家具職人として働くウジンは、若いイケメンの
日には親友のサンペクとナンパに出かけ、それ以外は工房で木を削る。
ある日、アンティーク家具店でイスと出会い、彼女の店に通い詰める。

当然イスは頻繁に来店するウジンが同一人物だとは知らない。やっと
イケメンになった日、ウジンは思い切ってイスに声をかけ強引に誘い
出す。姿が変わらないよう徹夜して翌日もイスを食事に誘う。だが、
3日目、ついに寝落ちし、オッサンになったウジンはそのまま去る。

このブサメンでは秘密を打ち明ける勇気はない、他人と信頼関係を結
べない苦悩をハゲ・ヒゲ・大顔のキム・サンホがリアルに演じていた。
やっぱり、“人は見かけが9割”なのだ。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

             「ビューティー・インサイド」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20151201
               
          を参考にしてください。


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        余|談|
        ━┛━┛

日産が小型車のノートのEV仕様車を発売します。リーフのように電池
だけで走るのではなく、レンジエクステンダーという小さな発電機を
搭載しているそうです。

リーフの航続距離はカタログ値で満充電で280キロ、実用値はその半分
くらいとが短く、充電スポットも少なくて電欠の心配が常にありまし
た。

今度のノートは欠点をかなり補う可能性があり期待大です。ただ、発
電機を回すのに、やっぱり何らかの化石燃料は必要で、長距離を走れ
る純粋なEVはまだまだ先。

新興国では、電気は通っていてもガソリンスタンドがない地域も多く、
EVは今後ガソリン車よりも早く普及するという予想もあります。やは
り、あの静かさがいいですね。。。
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      次回配信予定は1/28作品は
         
           「ザ・ウォーク」
         
              です。

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最終発行日:  
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