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こんな映画は見ちゃいけない! 

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ヘリオス こんな映画は見ちゃいけない! 

2016/01/09

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2016/1/9  Vol.1716      ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
            「ヘリオス」  です。

香港・中国・韓国。大量破壊兵器の脅威にさらされた3つの政府機関は
それぞれの立場で敵に迫る。誰を信用し、誰と協力すべきか。お互い
に相手の腹を探りあいながらも主導権を握ろうとする。その間にも進
行する新たな陰謀。物語は、強奪された韓国製核兵器が香港で取引さ
れると知って集まった、香港警察、中国諜報部、韓国工作員の活躍を
描く。男女2人組の殺し屋は神出鬼没、一方で機密がテロリストに漏れ
ている。他組織への疑心暗鬼と国家のプライドをかけた競争心ゆえ、
危険の中に飛び込むしかない男たちの背中が哀しい。そして、今や主
権が損なわれつつある香港と中国の関係に微妙な関係がリアルだ。

犯罪集団・ヘリオスに奪われた核爆弾・DC-8、その売却情報を得た香
港警察のリーは交渉現場に踏み込む。激しい抵抗にあうが、追撃の末
DC-8を奪還、韓国から送り込まれたチェらが起爆装置を解除する。

ところが中国調査局のソンはDC-8の返却に横やりを入れ、DC-8は香港
警察に保管されることになる。同時にヘリオスを捜査するリーは殺し
屋の女を捕まえるが、逆にヘリオスが爆弾テロを起こし、女の身柄と
DC-8を要求する。このあたり、戦場顔負けの銃撃戦とバイクチェイス、
様々な武道を駆使した格闘など見せ場が満載で思わず息を飲む。

ただ、3政府のチームと殺し屋カップルの動きを逐一追うために登場人
物が多数入り乱れ覚えきれない。その上展開が速く情報量も膨大なの
で、少しでも気を緩めるとついていけなくなる心配もある。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                「ヘリオス」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20151212
               
          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
              「禁じられた歌声」  です。

歌やサッカーはご法度、服装も細かく規定される。従わない者は“裁
判”にかけられ残酷な刑罰の対象。そして銃による恐怖がいきわたる
と、住民はあきらめて口をつぐむ。物語は、西アフリカ・マリの小さ
な町がイスラム過激派に支配されていく過程を描く。もう逃げられな
い、抵抗したら殺される。諦観が人々の間に充満していく様子がリア
ルに再現される。一方で過激派のなかにも住民の気持ちを理解しよう
とする若者もいる。カメラは砂漠に避難した放牧一家にスポットを当
て、美しい自然とならず者集団の理屈が優先される世界を見事に対比
させる。自由を奪われた世界、そこには絶望だけが横たわっていた。

武装した過激派に占拠された町に、次々と禁止令が出されていく。そ
れでも人々はエアサッカーを楽しみ、屋内で音楽を奏で歌っている。
ところが、摘発は日増しに厳しくなり、人々が微罪で処罰されていく。

キダンと妻子は砂漠にテントを張り、町を離れている。周囲に人がい
なくても過激派たちは妻に髪を隠せと命令する。町では風紀取り締ま
りの名の下、住民は息が詰まる生活を強いられる。にもかかわらず狼
藉を働いた兵士を過激派幹部はかばう。彼らがどういう社会を理想と
しているのかはわからない。だが、都合よく“神の意志”の解釈を捻
じ曲げるあたり、やっぱりならず者集団であることに変わりない。

もはや理性は通用しない、誰も助けに来てくれない、そんな人々の無
力感が映像に充満する。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                「禁じられた歌声」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160107
              
          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
      「ヴィオレット-ある作家の肖像-」  です。

不幸な生い立ちと恵まれない容姿のせいで、あまり愛されずに生きて
きた女。その胸の内では生への情熱が渦巻き、発露の機会を待ってい
る。そして女性思想家との出会いが彼女の運命を劇的に変えていく。
物語は第二次世界大戦後のフランス、初めて女の側から性を語った作
家の後半生に迫る。思い込みが激しくキレやすい一方で、意志の強さ
も持つ。そんなヒロインが自らの人生を顧み、呼び起こした記憶や喜
怒哀楽を文章に変換する過程は、まさしく自身との対話。泉のごとく
湧き出すメタファーと流麗な文体は、つらい経験や不愉快な思い出す
ら作品のネタになると教えてくれる。共感こそが読者をつかむのだ。

偽装結婚していた作家から執筆を勧められたヴィオレットは自伝風の
小説をボーヴォワールに読んでもらう。気に入ったボーヴォワールは
出版社を紹介、“窒息”のタイトルで出版される。

ところが無名の新人作家の処女作がすぐに売れるわけはなく、期待し
た収入を得られなかったヴィオレットは少しずつ精神のバランスを崩
す。それでもボーヴォワールに次回作を求められ、心の中の澱を絞り
出すようにノートを文字で埋めていく。それは封印していた過去を解
き放つ作業、ヴィオレットにとっては苦痛と向き合い、自分を解放す
る工程だったに違いない。

山野に小さな椅子を置き、陽光と風を浴びながらペンを走らせる彼女
の姿は、創作の苦悩よりも表現の喜びに満ちていた。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

          「ヴィオレット-ある作家の肖像-」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20160108
               
          を参考にしてください。

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        余|談|
        ━┛━┛

外国人観光客向けに日本の地図記号を変更する動きがるという報道が
ありました。なんでもかんでも「おもてなし」の名の下、伝統までい
じろうとする姿勢には反対。

特にお寺を表す「卍」が問題。ナチスの鍵十字を連想させるというの
が理由ですが、東洋ではナチスよりもずっと古くから使われています。

仮に訪日したドイツ系ユダヤ人が「卍」に不快感を表明しても、それ
は文化の違いであることをきちんと説明すべきです。

安易な迎合と代替案は日本のアイデンティティの喪失につながりかね
ません。。。

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      次回配信予定は1/14作品は
         
           「フランス組曲」
         
              です。

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創刊日:2002-12-02  
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