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こんな映画は見ちゃいけない! 

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リザとキツネと恋する死者たち こんな映画は見ちゃいけない! 

2015/12/17

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2015/12/17  Vol.1712    ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
            「リザとキツネと恋する死者たち」  です。

静かに迫りくるキツネの影、彼女にしか見えない緑の幽霊、切り抜か
れた浮世絵……。九尾のキツネ伝説を下敷きに、独特の世界観が隅々
にまで行き届いたキュートでキッチュなショットの数々は、ファンタ
スティックな驚きの連続。物語は、日本の三文恋愛小説を愛読するヒ
ロインが男との出会いを求めるうちに、彼女と関わった人々が急死し、
警察の捜査を受ける過程を描く。全編を彩る昭和レトロな歌謡曲と登
場人物のピント外れのユーモアが、奇妙な懐かしさとほのかな笑いを
誘う。何より日本人歌手が腰をくねらせステップを踏む姿が彼女の自
由な心を象徴し、複雑な人間の感情を表現していた。

介護中の日本大使夫人が突然死、彼女は全財産をリザに遺す。だが、
遺族のタレこみから殺人容疑をかけられ、警察はゾルタンを捜査官に
任命、ゾルタンはリザが相続したアパートの空き部屋を借りる。

頭の中は妄想でいっぱいのリザは、小説に書かれているようなラブシ
ーンをハンバーガー店で再現しようとしたり、ライフスタイル誌の恋
人募集欄でデート相手を探したりする。理想の男はマイク片手に人生
を紡ぐトミー谷。ところがリザに好意を寄せた男は次々と事故にあう。
同時にゾルタンの厚意を誤解し、イケメン男を目で追ってしまう。

リザの願いは叶うのか、それとも意地悪なキツネに妨害されるのか。
何人もの死人がでるのにむしろハッピーな気分になる、イマジネーシ
ョン豊かな映像はそんな不思議な魅力に満ちている。

       お勧め度=★★★★(★★★★★が最高)

                「リザとキツネと恋する死者たち」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20151114
               
          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
              「わたしはマララ」  です。

高い理想を語るときは澄み切ったまなざしになるが、家族と過ごすと
きは目尻が下がる。いまや女子教育向上のアイコンとなった少女も、
家にいるときがいちばん心が安らぐのだ。カメラはノーベル平和賞史
上最年少受賞者の日常に密着する。知識が増える幸せに浸っていた子
供のころ、学びを禁じられたローティーン時代、そして精力的に教育
の重要性を語り続ける現在。女性首相の時期もある国でなぜ女子教育
が否定されるのか不思議だったが、この作品を見て納得した。武装勢
力に不服な住民は殺される事実はISの台頭を予見しているようだった。

伝説のヒロインにちなんで名づけられたマララは、2012年にタリバン
に襲撃され頭部に被弾。英国に移送され障害を克服する。翌年、16歳
の誕生日に国連で女子教育の充実を訴え万雷の拍手を得る。

故郷の町にタリバンがやってきたのは11歳の時。マララは、教育の機
会が奪われ自由が制限されていく過程をBBCに匿名でレポートする。そ
の後インタビューを受けたことから面が割れ命を狙われる羽目になる。
このあたり、すべて「本人の意思」でやったと強調しているが、父の
意向が働いていないわけがない。もちろんインテリの父は西洋的な男
女平等の精神にも精通していると思うが、社会的にはともかくイスラ
ム教徒である限り家庭では父権は絶対のはず。

一応、反マララ派の意見も挿入されてはいる。その上で、「マララ神
話」ではなく、もっと生臭い話にも突っ込んでほしかった。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                「わたしはマララ」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20151215
               
          を参考にしてください。




 本日はもう1本
 
              「独裁者と小さな孫」  です。

元帥は裏切った。側近は銃弾を浴びた。運転手は去りリムジンは動な
くなった。残された老人は身分を偽って国外を目指す。その過程で目
にしたものは国民の窮乏と怒り。物語は、失脚した独裁者が小さな孫
を連れて避難する姿を追う。服を変えかつらで変装し状況が理解でき
ない孫をなだめすかして続ける旅は、自らの所業を確認する行程でも
ある。おそらく彼もクーデターで実権を握ったのだろう、元軍人らし
い身のこなしと強固な意志は多少の困難ではくじけない。敵意が充満
する中で孤立しても孫を守り通そうとする彼の態度は、“信念”とは
何かを教えてくれる。たとえそれが理性に反する考え方であっても。

家族を脱出させた大統領は、孫と宮殿に戻る途中で反乱軍と遭遇、逃
亡を図る。賞金がかけられる中、散髪屋で衣類を奪い、貧しい家から
ギターを盗み、何とか偽装して民衆に紛れ込もうとする。

“権力”を維持するために16歳の少年ですら死刑にする大統領。己の
威光が国の隅々まで行き届いていたはずなのに民衆は困窮している。
さらに、箍が外れた兵士は民兵になって市民から略奪している。腐敗
した体制を倒しても、後釜に座るのは統率のとれていないゴロツキ集
団。血に飢えた民衆はいっそうの報復を求める。

それは歴史上、世界中で繰り返されてきた“暴力による政権交代”の
現実、大統領は恐怖に脅えつつも、孫の前では決して表情には出さず、
ひたすら目立たないことを心がける。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                「独裁者と小さな孫」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20151216
               
          を参考にしてください。

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        余|談|
        ━┛━┛

「スター・ウォーズ」新作公開前に、あらゆる新聞・雑誌・TVなどで
過去のシリーズおさらい特集が組まれています。すごく気になったの
は「Return of the Jedi」の扱い。

日本公開時には「ジェダイの復讐」だったのに、DVD発売時に「ジェダ
イの帰還」として発売され現在に至っています。

しかし、今では「ジェダイの復讐」だった事実が完全に消去されてい
ます。改題されたことを知らないファンもいるのではないでしょうか。

なんか、かつてSMAPに、オートレーサーに転身した森且行が在籍して
いたこと連想させるような記事・番組を禁じた「ジャニーズ通達」を
思い出しました。。。

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      次回配信予定は12/19作品は
         
        「クリード チャンプを継ぐ男」
         
              です。

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