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こんな映画は見ちゃいけない! 

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I LOVE スヌーピー こんな映画は見ちゃいけない! 

2015/12/03

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2015/12/3  Vol.1708     ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
     「I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE」  です。

何をやってもうまくいかない不器用さに、つい自信をなくし自己嫌悪
におちいってしまう。でも、めげずに再挑戦するガッツはある。物語
は、ヘマばかりやらかす男の子が、お向かいに引っ越してきた女の子
に一目ぼれし、彼女に認められようと奮闘する姿を描く。学校では目
立たぬ存在、幼馴染と妹の口撃に耐え、親友と思っている飼い犬にも
からかわれたりする。そんなヘタレな彼がマニュアル本に頼りクール
な男を目指すシーンがいじらしい。パステル調の色使いとデフォルメ
された表現は幼児向けではあるが、“人生は競争”であるときちんと
教えているあたりがいかにも米国製アニメらしい。

赤毛の転校生に恋をしたチャーリーは、ルーシーに相談に行く。彼女
のアドバイスは“成功者”になること。チャーリーは学芸会やダンス
パーティで披露するため、マジックやステップの練習に励む。

赤毛の転校生の気を引こうとはするが、本人に直接言葉をかける勇気
はない。それどころかちょっとした間違いから人気者になると、好き
でもない人々にちやほやされ、ますます彼女が遠のいてしまう。その
間、チャーリーの相棒・スヌーピーは彼にちょっかいを出し続ける。

慰めたり励ましたりするのではなく、突き放して見守る、チャーリー
とスヌーピーの距離感が湿っぽくなくていい。犬の人間に対する忠誠
心が根底にあるからこそ、多少のイタズラ心は許される、人間同士だ
とこういう関係はなかなか築けないだろう。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

            「I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20151106
               
          を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
              「黄金のアデーレ 名画の帰還」  です。

たとえ国宝級の傑作であっても、彼女にとってはただ一つの肉親の形
見。不当に奪われた財産の一部であり、当然所有権を主張する。だが
それは、長年封印してきた恐怖と憎しみに満ちた記憶を呼び覚ますこ
とでもある。物語は、ナチスに押収され、戦後はオーストリア政府が
管理していたクリムトの名画を、元のオーナーの血縁者が取り戻す過
程を描く。弁護士にとっても、ユダヤ人アイデンティティを探る旅で
あるとともに、正義とはいかにあるべきかを考察する時間。ヒトラー
の被害者であると同時に迎合した加害者の一面も持つオーストリア人
の微妙なポジションを、彼女に協力するジャーナリストが象徴する。

「黄金のアデーレ」相続の権利を持つと知ったマリアは、若手弁護士
のランディに調査を依頼する。ウィーンに飛んだ2人は地元記者・フベ
ルトゥスの助力を得て審問会に臨むが、あっさりと却下される。

戦前と変わらぬ街並み、生まれ育った高級アパートも逃亡時に利用し
た薬屋も残っている。オーストリア的官僚主義もそのままだ。一見気
丈にふるまっているマリアも、自由が、幸福が、家族が失われていっ
たトラウマに苦しみ耐えられなくなっている。

そんな中、はじめはイヤイヤ引き受けたランディが、絵の奪還こそが
ユダヤ人の誇りを示す機会と気づく。年老い、弱気になったマリアを
ハードワークで支えるランディの姿は、祖父や父の名声に負けていた
彼の意地なのだ。

       お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

                      「黄金のアデーレ 名画の帰還」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20151130
               
          を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
              「恋人たち」  です。

負のスパイラルに足を取られる労働者。エリート臭をまき散らす弁護
士。退屈な暮らしにうんざりしている主婦。負け組、勝ち組、ほどほ
ど組、映画はそんな3人の日常を通じ、人間と人生の真実に迫ろうとす
る。殺人事件の被害者遺族なのに公的ケアも受けられず貧困生活に耐
える男は、やり場のない怒りを呑み込みながらもギリギリのところで
踏みとどまっている。それでも絶望の淵にいる彼にそっと手が差し伸
べられる。人を苦しめるのが人ならば、人を救うのもやっぱり人。人
と人のつながりこそが希望であるこの作品は教えてくれる。

通り魔に妻を殺された篠塚は民事訴訟の弁護士費用のため窮乏中。夫・
姑と同居の高橋は仕事先で知り合った鶏肉屋に口説かれる。ゲイ恋人
と別れた四ノ宮は学生時代からの親友に距離を置かれる。

女のプライドをすっかり捨てた高橋は、夫とのセックスはパンツを脱
ぐだけなのに鶏肉屋の男の前では裸になる。さらに彼女の周囲からは
久しく消えままの「夢」を聞かさると、心に火がついてしまう。たる
んでいた体型を隠し、わき毛を剃り化粧を施しいちばん派手な服に着
替える高橋。この、オバハンから女に戻るシーンがディテール豊かに
演じられ、平和ゆえの不満がリアルに再現されていた。

大切な人を失った者、失いつつある者、失わずに済んだ者、3人の物語
は細かい感情の襞まで丁寧に描きこまれ、時に共感し、時に嫌悪感を
覚える。自分の胸の内を覗き込まれているようなざわめきを感じた。

       お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

                      「恋人たち」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20151202
               
          を参考にしてください。

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        余|談|
        ━┛━┛

原節子が亡くなったという報道があった日、山田洋二監督の新作「家
族はつらいよ」を見ました。劇中、主人公が「東京物語」を見るシー
ンがあり、絶頂期の原節子の笑顔が拝めます。

なんか、原節子から特別なメッセージを受け取ったような気がして、
試写室の先に設置されていた献花台の写真に思わず手を合わせました。

親を大切にしろということなのか、家族の絆を再確認しろということ
なのか。もっと違う何かなのか。偶然なのは分かっていますが、なん
か必然のような気がしてなりません。

とりあえず宝くじを買いました。当たったら墓参りに行こ。。。

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      次回配信予定は12/5作品は
         
        「007 スペクター」
         
              です。

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創刊日:2002-12-02  
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