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こんな映画は見ちゃいけない! 

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ヒトラー暗殺、13分の誤算 こんな映画は見ちゃいけない! 

2015/10/15

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2015/10/15   Vol.1694    ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
           「ヒトラー暗殺、13分の誤算」  です。

建物の見取り図を元に深夜のビアホールに侵入して採寸し、いちばん
効果的な場所に立つ柱をくりぬいた空間に、時計仕掛けの起爆スイッ
チと大量のダイナマイトを埋め込む。仲間はいない。計画立案から情
報収集、時限爆弾の設計図を描き、材料を集めて組み立て、爆破実験
をし、爆弾を設置し、逃げる。たった一人で。訓練されたスパイでも、
ガチガチの反ナチ運動家でも、危機感を募らせたユダヤ人でもない。
人妻に手を出したりもするが音楽を愛し家具や時計作りで生計を立て
るありふれたドイツ人。物語はそんな主人公がいかにして爆弾テロ犯
になったかを再現する。ナチスの巧みな宣伝と、世の中を覆う空気に
同調してしまう一般市民の弱さが印象的だ。

1939年11月、ヒトラー暗殺未遂事件が起き、実行犯のゲオルクはスイ
ス国境で逮捕される。ヒトラーの厳命を受けたネーベとミュラーが尋
問にあたるが、ゲオルクはどんな拷問にも口を割らない。

昼間は湖水浴に興じ、夜はバーで飲んで歌う暮らしを謳歌していた田
舎町にもナチスが台頭してきた1930年代前半。共産主義者やユダヤ人
への弾圧が始まり、ドイツの輝ける未来を吹聴するナチスをほとんど
の市民は礼賛する。違和感を覚えるゲオルクはエルサとの不倫を楽し
みながらも、徐々にヒトラーは排除すべしとの確信を深めていく。

洗脳されたわけではなく、衝撃的な体験があったからでもない。ゲオ
ルクはドイツ人の良心が蝕まれていくことに耐えられなかったのだ。

       お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

                   「ヒトラー暗殺、13分の誤算」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150730

                を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
           「ダイバージェントNEO」  です。

固定された身分制度から一度はみ出した者にとって、生きる権利は勝
ち取るしかない。反乱の汚名を負い権力者に追われるうちに仲間は減
り、生き残るために決断を迫られる。物語は共同体から追い出された
ヒロインが自らの資質を試される姿を描く。身体能力・格闘能力は抜
群、正直さと論理性、優しさと思いやりも身につけた彼女は、高い壁
に囲まれた閉鎖地域に住む人々が新たなステップを踏み出すカギとな
る。ところが、彼女は希望のシンボルであっても決して“ジャンヌ・
ダルク”ではなく、神経と直結したサイバー空間でひとり運命に抗う
のみ。あえて精細なデジタルでディテールを再現し、人の想像力をコ
ンピューターの表現力で超越しようとする映像がユニークだ。

“平和”地区に隠れるたトリスとフォーは、“勇敢”の警備隊に急襲
され“無派閥”と合流する。その後“高潔”地区で潔白を証明するが、
覇権を狙うジェニーンの命令で“博学”地区に連行される。

システムからドロップアウトした“無派閥”の連中は武装闘争の準備
をしているが、トリスは彼らを“解放”するためには動かない。むし
ろトリスは“無派閥”と距離を置く。一方でトリスの両親から奪った
「箱」を開けるために異端者を次々と人体実験にかけるジェニーンは、
究極の異端者であるトリスの身柄を必要としている。

映画は被抑圧者たちの一斉蜂起をクライマックスにする通俗には走ら
ず、あくまでトリスの内なる戦いに収斂させ、予想外の展開を見せる。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                  「ダイバージェントNEO」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150912

              を参考にしてください。 




 本日はもう一本
 
         「ハーバー・クライシス 都市壊滅」  です。

巨大なつり橋、運行中の高速鉄道、地下深いトンネル、高層インテリ
ジェントビル。それら最先端技術を駆使した社会インフラが次々と爆
破されていく。実行犯はみな指名手配中の凶悪犯、四方を海に囲まれ
た大都市は孤立し、世界を根底から覆す“革命”を計画する者たちの
手に落ちる。物語は、そんな町で“警察の顔”として英雄視される男
と頭脳明晰だが皮肉屋の相棒の刑事2人組の活躍を描く。陰謀のニオイ
を嗅ぎ取ったら後先考えず首を突っ込む熱血派の主人公が繰り広げる
命がけのアクションの連打は、激しい銃撃戦から肉弾相うつ格闘の興
奮と、危機一髪の救出と間一髪の脱出のスリルが満載だ。

町のあちこちで連続爆弾テロが起き、夜行者と名乗るグループが犯行
声明を出す。彼らはさらに電磁波攻撃で電子機器を使えなくした上に、
致死性のウイルスを搭載したロケット弾を発射しようとする。

テロ現場に急行したウーは同じく捜査員のチェンと合流、事件に関わ
るうちに軍の特殊部隊が動き出していると知る。いまや警察の手に負
える案件ではない、それでもウーとチェンは独特のカンを頼りに独自
に夜行者を追う。そして、目の前の数人を救うべきか見えない数百万
人を救うべきかの選択に直面する。

特殊部隊の訓練を受けた重武装のテロリスト相手に奮闘するウーは、
もはや刑事というより鍛え上げられたスパイ。彼の突き抜けた暴走ぶ
りはかえって心地よい爽快感をもたらしてくれる。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

               「ハーバー・クライシス 都市壊滅」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150829
  
            を参考にしてください。 




 本日はもう一本
 
         「マイ・インターン」  です。

“愛と仕事が人生のすべて” だが、妻に先立たれた裕福な年金生活
者にとって、楽しみだけの暮らしは退屈そのもの。知識は古くなった
かもしれないが、気力も体力も十分、長年培った経験で誰かの力にな
りたい、何かの役に立ちたいと願う気持ちは日増しに強くなっていく。
物語はリタイアした老人がeコマース会社に職を得、充実感を取り戻し
ていく姿を描く。ボスは娘より若く同僚もほとんどが20代という環境
で、出しゃばらず遠慮しすぎず人生の大先輩としての智慧と気遣いで
若者たちをより良き方向に導いていく。きっと米国でも、自分を変え
ようとしない年寄りが権限や既得権にしがみつき深刻な弊害をもたら
しているのだろう、主人公のような振る舞いが老後の生き方のロール
モデルであると提案する。

ひとり身のベンはネットショップ運営会社のインターンに応募する。
ベンは創業者・ジュールスの見習いに配属され、彼女のモーレツな働
き方に違和感を覚えつつもそっと見守り、的を射た助言を口にする。

自主的に郵便物を配りオフィスを片付け他の社員やジュールスの家族
と打ち解けるうちに、ジュールスの信頼を勝ち得ていく。SNSを介する
のではなく、相手と目を合わせての会話。時代は移っても昔ながらの
方法が対人関係の基本であるとベンは身をもって証明していく。

やがて、事業に没頭するあまり母や夫・娘とぎくしゃくしているジュ
ールスにとっても、ベンはかけがえのない存在になっていく。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

            「マイ・インターン」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20151012

              を参考にしてください。 




 本日はもう一本
 
    「アメリカン・ドリーマー 理想の代償」  です。

暴力や不正を徹底的に排除しあくまで理想を貫き通そうとする男は、
公正な競争の下でのビジネスに誇りを持っている。その姿勢は資金繰
りに行き詰っても決して揺らがず、自らの信念を曲げない。物語は'81
年NY、事業拡大を狙う経営者が数々の嫌がらせを受けながらも難局を
乗り切ろうとする姿を描く。襲われたタンクローリーの運転手、足元
を見る交渉相手、尻尾をつかもうとする検事、非協力的な同業者ete. 
“正しいこと”をしているはずなのに歯車はかみ合わず、気が付けば
絶体絶命の主人公。孤独な彼を浮かび上がらせるライティングはどこ
か「ゴッドファーザー」のような雰囲気を漂わせ、彼の“正義”もま
た立場が違えば独善ととらえられる危険性をはらむと暗示する。

川沿いの工場跡地に手付金を払ったアベルは、自社トラック乗っ取り
や脱税容疑で銀行からの融資を断られる。30日以内に残金を支払わな
いと取り引きは中止、破産の危機に陥ったアベルは金策に走り回る。

当然従業員の運転手やセールスマンにも規律を求めるアベル。ところ
が運転手の1人・ジュリアンが暴行された恐怖感から銃を携帯、発砲事
件を起こしてしまう。そして十分に同情の余地があるのにアベルはジ
ュリアンに厳しい処分を下す。NYが“犯罪都市”と呼ばれていた時代
に、ここまで清廉潔白な米国人実業家のキャラクターは非常に新鮮だ。

過去を振り返って、彼の人生を決定づけたエピソードが挿入されてい
ればもう少しアベルに共感できたのだが。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

        「アメリカン・ドリーマー 理想の代償」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20151013

              を参考にしてください。 

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        余|談|
        ━┛━┛

沖縄県の翁長知事が辺野古埋め立て承認を取り消しました。米軍基地
問題でここまで強硬な姿勢を崩さない知事は初めてではないでしょう
か。

今までの知事なら、政府ともめても最終的に様々な交付金や助成金を
分捕ることで妥協してきました。しかし、翁長知事はあくまでカネよ
りも公約にこだわります。

その一貫した姿勢は立派ですが、ではどうすればよいのかという解決
策や代案を出さないのは片手落ち。首長の態度としてはあまりにも知
恵がないと思います。

反対だけならだれでもできる。その先を見据えた戦略を示してほしい
ものです。

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      次回配信予定は10/17作品は
         
        「マジック・マイクXXL」
         
              です。

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