映画

こんな映画は見ちゃいけない! 

映画批評系メルマガで読者数No.1! プロの編集者が簡潔な文章と的確な表現で書き下ろす「1分で読める新作映画批評」です。映画紹介だけのメルマガにはない「本物の批評」を堪能したい方だけご登録ください。

全て表示する >

顔のないヒトラーたち こんな映画は見ちゃいけない! 

2015/10/03

■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □

☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2015/10/3   Vol.1691    ☆
   
□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■

 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
              「顔のないヒトラーたち」  です。

「アウシュヴィッツを知っているか」の問いに、街ゆく人々はみな首
を横に振る。映画は1958年西ドイツ、封印されていた強制収容所での
出来事を掘り起こした若手検事の奮闘を描く。ナチスの残党はまだ社
会のいたるところに潜んでいる。友人の父親かもしれない。そんな状
況下で被害者ですら忘れようとしている過去をひとつずつ探り当てて
いく。山のごとく積まれた文書を丹念に検証し、8000人もの容疑者の
居場所を突き止める気の遠くなる作業をこなしていく主人公と同僚、
彼らを動かしているのは邪悪に対する正義と良心の叫びだ。かつてユ
ダヤ人を虐殺・虐待した“戦犯”が、“善良な市民”に溶け込んでい
る。「悪の凡庸さ」はどこにでもあり誰にでもあてはまると訴える。

軽微犯の裁判に倦んでいたヨハンは、元SS隊員が法令に反し教職につ
いているという記者のネタに飛びつき、調査を始める。強制収容所を
生き延びたユダヤ人たちの想像を絶する体験談はヨハンを鼓舞する。

目をつぶされた男の供述に事務官が言葉を失うシーンは、当時のドイ
ツ人がいかに強制収容所に無関心だったかを象徴する。東側だったポ
ーランドの資料は乏しかったはず、そもそも情報がなく一部のユダヤ
人活動家以外は皆口を閉ざしていたのを考えれば、ごく当然の反応だ。
そして娘を人体実験台にされた男の話は聞くに堪えないおぞましさ。

ヨハンたちだけではない、つらい記憶を絞り出した生存者がいるから
こそホロコーストは実体を持ち、ナチス犯罪者たちを断罪できたのだ。

       お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

                   「顔のないヒトラーたち」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150806

                を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
             「恋人まで1%」  です。

拘束する恋人ならいらない。家族に責任が生じる結婚なんて絶対にイ
ヤ。まだまだ気の合う男友達と気楽に過ごしたい。だから、女とはセ
ックスだけで十分。映画は、独身生活を謳歌する若者が人生で本当に
大切なものに気づいていく過程を描く。他人とのかかわりから生まれ
る葛藤からの自由ばかりを追い求め、愛することを見失った主人公の
薄っぺらな生き方が滑稽だ。本人はNY暮らしを満喫しているつもりで
も、周囲から見れば何もなしえていない中身の希薄な男をザック・エ
フロンが湿った笑顔で演じる。ティーンエージャーなら輝くスマイル
に見えた、だが30歳を目前にした男では卑しさを覚えてしまう。

“付き合ってる”と思っていなかった女にフラれたジェイソンは、悪
友たちとバーに繰り出しエリーをナンパする。彼女を売春婦と勘違い
して逃げだすがビジネスの会合で再会、誤解を詫びてデートに誘う。

セックスから始まったふたり、装丁画家とライターの関係を簡単に超
えて頻繁に会う。夢を語るエリーに対し将来の展望はないジェイソン。
イラストの才能はそこそこあり、挫折を味わった経験もなく、そもそ
も大きなチャレンジもせずにある程度の収入は得られる幸運に恵まれ
ているのだろう。ところが創作に取り組む姿勢はエリーとは正反対。

基本的には友情に重きを置くいいやつだが、あまりにもノリが軽くど
こか信用ができない。大人になるのを先延ばしにするのを許容する社
会、それはある意味豊かさの証なのだ。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                  「恋人まで1%」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150926

              を参考にしてください。 




 本日はもう一本
 
           「ベル&セバスチャン」  です。

単調で静かな生活を営んできた山村にも、いつの間にか軍靴の響きが
聞こえるようになっている。物語は、ドイツ占領下のフランス、村人
に憎まれている野犬と山で老人と暮らす少年の友情を描く。ヒツジを
放牧する老人が父親代わり、幼いころから山の掟を教え込まれてきた
少年は本当に大切なものは何かを直感的に見分け、正しい行動を取ろ
うとする。村の人々は野犬を敗戦のはけ口にしている、少年は唯一の
友達を守りたい。そんな中、大人たちは同胞が危機に陥って初めて野
犬が非常に利口で忠実であると知り、戦うべき相手は誰かを悟る。雄
大な自然、積もった雪と深いクレバス、それらアルプスの姿をカメラ
はとらえ、偏見に満ちた人間の存在の小ささと対比させる。

山歩きで出会った野犬を手なずけたセバスチャンは、ベルと名付けて
山小屋に匿う。ある日、ベルにドイツ兵が襲われたことから駆除する
ための山狩りが行われ、ベルは猟銃で撃たれ重傷を負う。

セバスチャンはユダヤ人逃亡を助ける医師・ギョームにベルを治療さ
せる。ベルは救ってもらった恩をずっと覚えていて、冬になってギョ
ームに借りを返す。

もともとは小学生くらいの子供向けの映画なのだろう、その過程で安
易な展開も散見するが、基本的にセバスチャンとベルの信頼関係は不
変で、ドイツ軍による理不尽な暴力も抑制されている。悲惨な出来事
は絶対に起きないと安心して見ていられた。

       お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

                  「ベル&セバスチャン」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150928

              を参考にしてください。 




 本日はもう一本
 
        「GONIN サーガ」  です。

突然の凶弾に倒れた者、誰かを守ろうとして盾になった者、流れ弾に
当たった不運な者。同じ夜、同じ場所で男たちが命を落とした。彼ら
の息子たちは報われない思いを抱いたまま大人になっている。父はな
ぜ死んだのか、だれに撃たれたのか。物語は19年前の暴力団襲撃事件
を調べる男が犠牲者の家族に接触したのを機に、葬られた事実がよみ
がえり、関係者をさらなる苦悩の淵に追いやる過程を描く。降りしき
る雨の中、くすぶる気持ちに点火され、煽られ、沸点に達した男と女
が狂気にとらわれていくプロセスはノワールな装い、不器用にしか生
きられない彼らの怒りと哀しみ、焦りと不安をリアルに再現していた。

ともにヤクザだった父を同じ日に亡くした勇人と大輔の前に、殉職し
た警官の息子・森澤が現れ、事件の真相を語る。3人は現組長・誠二の
愛人・麻美を仲間に入れ、組のフロント企業から4億円強奪をもくろむ。

杜撰な計画ながら警察の介入もなく、4人は難なくカネを手に入れる。
ところが組が雇った腕利きの探偵が徐々に犯人を絞り込んでいく。麻
美が疑われ、大輔も罠に落ち、森澤も正体がばれ、勇人も拳銃から足
がつきそうになる。

この探偵兼殺し屋を演じた竹中直人と助手役の福島リラが強烈な個性
を放つ。死神のごときしつこさと洞察力で彼らを追いつめていくシー
ンは、不快なざわめきにいろどられ、思わず嫌悪感を覚えるほど。4人
組が味わう恐怖が映像と見事に同調していた。

       お勧め度=★★(★★★★★が最高)

            「GONIN サーガ」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150930

              を参考にしてください。 

==============================================================

        余|談|
        ━┛━┛

数年ぶりにパソコンを新調しました。OSはWin7から一気に10にグレー
ドアップ。パソコン自体のスペックもアップしているので処理速度が
全然違います。

MacやAndroidの台頭で、やっとマイクロソフトもユーザーの使い勝手
を気にするようになったのか、起動の速さに驚きました。

キーボードと切り離せタッチ入力ができるのでタブレット端末として
も使えるのがとても便利です。

ただUSB端子がなく、マウスを始め周辺機器とはすべてBluetooth接続。
プリンターも買い替えないといけないのかなぁ。。。

==============================================================

      次回配信予定は10/8作品は
         
        「ファンタスティック・フォー」
         
              です。

---------------------------------------------------------------

このメルマガは、週2回発行です。

皆様からのご意見、ご要望、感想をお待ちしています。

            otello.com.ua@gmail.com

                         までお願いします。

いただいたメールはこのメルマガで紹介させていただくことがあり
ます。

なお、相互紹介の依頼は受け付けておりません。

最後までお読みいただきありがとうございます。
それでは、よい一日を!

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2002-12-02  
最終発行日:  
発行周期:週3回  
Score!: 98 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。