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こんな映画は見ちゃいけない! 

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チャンス商会 こんな映画は見ちゃいけない! 

2015/09/25

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2015/9/25   Vol.1690    ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
              「チャンス商会 初恋を探して」  です。

頑固一徹、若輩の言葉には聞く耳持たず、時代の変化に置き去りにさ
れたと悪態をつきつつも、決して己の流儀を曲げない。海兵隊出身で
肉体は壮健、ひとり暮らしは苦にならないけれど時々物忘れする。映
画はそんな老人が近所の老女に惹かれ、若き日の情熱を取り戻してい
く姿を描く。女性とつきあった記憶がなくぶっきらぼうな態度が直ら
ない彼に、周囲の人々が力を貸そうと有用無用のアドバイスをする場
面が楽しい。不安と緊張、連絡したり準備するのは面倒くさいし気も
使う。しかしそれ以上に相手と一緒に過ごす時間を大切にしたい。誰
かを好きになる喜びはいくつになっても生きる原動力、しかめっ面の
主人公が徐々に目尻を下げていく過程が、恋の素晴らしさを象徴する。

小売店で働くソンチルは引っ越してきたグンニムから食事に誘われる。
店の若社長にレストランでの作法を教わり、スーツや靴を新調しデー
トに臨むと大成功、ソンチルはグンニムに特別な思いを持ち始める。

再開発計画に反対するソンチルの機嫌を損ねないよう、街の住民も積
極的にソンチルを応援する。偏屈ジジイのソンチルに対し過剰に世話
を焼く若社長や飲食店・服飾店の経営者、距離を置くグンニムの娘な
ど、映像はソンチルを巡る人間関係にわずかな違和感を抱かせる。

グンニムが体調を崩し、さらにグンニムとの約束をすっぽかしたソン
チルはひとりで出かける。このあたり“老いらくの恋”と行方を見守
る隣人たちの物語と見せかけて、巧妙に伏線を張るプロットが冴える。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                   「チャンス商会 初恋を探して」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150827

                を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
           「ぼくらの家路」  です。

もちろん僕たちを大切に思っているのはわかっている。でも目の前に
ぶら下がった欲望には勝てないママはやっぱり自分しか愛せない弱い
女。小さい弟を連れている今は頼るしかない。そんな、少年というに
はおさな過ぎる主人公の気持ちが切ない。物語は突然連絡を絶った母
の姿を求めて街をさまよう幼い兄弟の背中を追う。有料トイレで水を
飲み、ガレージのクルマで眠り、砂糖とミルクで空腹を紛らわせる。
殺伐と忙しない街や大人を見上げる彼らの視点は不安がいっぱいなの
に、子供たちだけでいても誰も声をかけない。ある意味彼らにとって
好ましい状況だが、変質者が狙うではないかと心配させる。一応兄弟
を追う大人はいるが、母親の消息に興味を持つものはいない。冷めた
トーンの映像が、他人への無関心が蔓延する社会を反映させていた。

児童施設に入れられたジャックは、帰宅日に迎えが来なかったことか
ら施設を脱走、知人の家に預けられた弟のマヌエルを連れ出して母を
探す。ところが、母のケータイは電源が切られ家にも戻ってこない。

いじめっ子をぶちのめしたせいで施設には戻れず、アパートは職員が
先回りしている。ジャックはマヌエルと共に母の交友関係を訪ね歩く
が、手掛かりは得られない。その過程で、母が普段友人や恋人として
付き合っていた人々も、実は彼女の身勝手さに辟易していたと知る。

セックスの邪魔をされたからといって裸のまま文句を言うような母に
うすうす感じていた人間失格ぶりを、ジャックは再認識する。

       お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

                  「ぼくらの家路」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150923

              を参考にしてください。 




 本日はもう一本
 
           「心が叫びたがってるんだ。」  です。

誰かを傷つけるくらいなら口を閉ざしていたほうがいいと、両親の離
婚を機に少女は声を封印する。誰とも角を立てずに生きようとする少
年は、本音をオブラートで包んでいる。お互いの胸中をぶつけ合うた
めにふたりが選んだのは、歌。物語は学校の発表会でミュージカルを
上演する高校生たちの苦悩と葛藤を描く。メロディにのせると感情が
素直なフレーズになってあふれ出す、そんな歌の魅力と魔法が心理的
な壁を少しずつ低くしていく。いや、彼らのみならず、クラス全員が
くすぶっていた何かを吐きだすように、表現に夢中になっていく。思
念は言葉にしなければ届かない、でも気を使いすぎてもいけない。映
画は、他人を思いやる本当の意味が分からない若者たちを通じ、コミ
ュニケーションの大切さを訴える。

口がきけない順は、ピアノが得意な拓実とともに「ふれあい交流会」
の実行委員に指名される。ふとしたきっかけで拓実に心を見透かされ
た気になった順は、自身の体験を下敷きにしたストーリーを提案する。

ケータイで変換しないと会話できない拓実と順。ところが順は、夢や
希望だけでなく怒りや絶望も、歌にすると声になる。これぞ音楽の力、
順のトラウマを知って拓実もまた自らの弱さと脆さを直視し、避けて
きた過去にきちんと対峙する勇気を得る。

順が玉子の呪いから解放されていく過程はもどかしいほど回りくどい
けれど、そのひたむきさは思わず背中を押してあげたくなる。

       お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

                  「心が叫びたがってるんだ。」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150922

              を参考にしてください。 




 本日はもう一本
 
「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド」  です。

人間なのか敵なのか、アイデンティティを問われても明確な結論は出
てこない。ならば、何のために生きるのかを突き詰めることで、自分
は何者かを知るのみ。物語は、そんな若者が、世界を支配する権力と
それを転覆させようとする勢力の板挟みになりつつも、己の信じた道
を突き進む姿を描く。自由が制限された壁の内側で一生を終えるより、
危険が待ち受けていても外側にあるはずの真実にたどり着きたいと願
う。その思いこそが“家畜”や“奴隷”ではない、人間である証なの
だ。知性を持った巨人同士が人々の絶望と希望の代弁者として壮絶な
バトルを繰り広げるシーンは、CGとリアルを融合させた見事な質感だ。

クバルに捕えられたエレンは処刑されそうになるが、突然現れた知的
な動きをする巨人に間一髪救われる。その巨人の正体はシキシマ、彼
はエレンに巨人発生の謎と支配層の目論見を教え、共闘を申し出る。

ところがエレンはシキシマの計画に賛同できず協力を拒否、ミカサた
ちが手に入れた不発弾をシキシマが奪おうとしたのを機に2人は袂を分
かつ。そこにクバルの部隊が追いつき三つ巴の様相を呈してくる。エ
レンが闘うべき相手はシキシマなのかクバルなのか、さらに超大型巨
人が意外な人物の変態だったというサプライズを経て大団円に向かう。

だが、シキシマの反乱もエレンの理想も巨人問題の根本的な解決策に
はなっておらず、むしろ混乱に拍車をかけるだけ。壁の中に入ってき
ている巨人はどうやって退治するつもりだったのだろうか。

       お勧め度=★★(★★★★★が最高)

   「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150924

              を参考にしてください。 




 本日はもう一本
 
           「私たちのハァハァ」  です。

どんなに疲れていても一晩寝れば復活する。お金がなくてもヒッチハ
イクすればクルマに乗せてもらえる。ケンカして気まずくなってもす
ぐにLINEで仲直りできる。怖いものなど何もない、若さとノリでゴー
ル目指して突っ走る。物語は北九州の女子高生たちが憧れのバンドの
ライブに参加するために東京に向かう旅を描く。出発前は小さな町を
出れば夢が叶うと思えた。未来は明るいと信じられた。だが、無謀だ
とわかったとき、誓い合った友情にひびが入る。自撮り映像を多用し
た浮かれ気分の前半と、本当にすべきことに気づく引き締まった後半
の転調は、甘くない人生を象徴する。たった4日でも彼女たちが成長す
るには十分すぎるほどの時間なのだ。

夜、通学自転車で集合したさつき、文子、一ノ瀬、チエの4人は、一路
東にペダルをこぎ始める。明け方関門海峡を渡り、その日は広島で野
宿するが、翌日計画は破綻、軽トラックで岡山まで送ってもらう。

その後もドライバーの好意で神戸まで進むが、チケット代を払うと資
金は底をつく。キャバクラでバイトするが、さつきと文子は面接で不
合格。「女子高生」ブランドは制服を着ているから通用する、オミズ
の世界では女の価値は外見で決まるという厳しい現実を知る。

さらにバンドへの思い入れが誰よりも激しい文子は、チエと衝突して
しまう。互いの“女としての値打ち”を値踏みしつつ気にしていなフ
リをする彼女たちの姿が切ない。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                  「私たちのハァハァ」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150921

              を参考にしてください。 




 本日はもう一本
 
           「アントマン」  です。

地上すれすれの視点から見上げた人間界はまさにワンダーランド、排
水溝から鍵穴、庭の雑草やアリたちまで物事の細部がリアルに再現さ
れている。一方で靴のかかとやネズミと比べても圧倒的に小さな存在
でしかないと実感する驚きも映像からは伝わってくる。物語は、特殊
なボディスーツを手に入れた男が、運命に導かれるままに壮大な陰謀
を企む悪の組織と闘う姿を描く。自らの肉体を瞬時に極小化する技術
を操り、今までの超人加工されたヒーローとは一味違う方法論で活躍
するだけでなく、集団としての意志を持つアリと共闘することでまっ
たく新しい戦術を作り上げている。派手な破壊は最小限に留めあくま
で知恵と勇気で敵を倒そうとする主人公の、幼い娘を愛する父親とい
う設定が共感を呼ぶ。

出所したばかりのスコットは奇妙なスーツを手に入れる。それは隠棲
した科学者・ハンクが開発した物質極小化装置、スコットはその研究
成果を悪用するダレンの暴走を阻止するためにアントマンとなる。

腕のいい泥棒だが根は善人のスコットは、ハンクの半ば強引な話に乗
らざるを得ず、スーツの使い方から格闘技の基礎を学び、アリたちを
調教する。そしていよいよダレンも縮小化スーツを実用化したと知っ
たハンクは、スコットに決死の任務を与える。

極小化したスコットが、自在に変形するアリたちの助けを借りてダレ
ンの研究所に侵入するシーンは、期待と躍動感に満ち溢れていた。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                  「アントマン」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150925

              を参考にしてください。 

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        余|談|
        ━┛━┛

申し込んだプレミアム商品券、満額の10万円で12万円分を手に入れま
した。1冊あたり1000円券11枚と500円券2枚。

ところが500円券を使えるところが意外に少なく、というよりほとんど
ない。1000円券でパソコンを買った後、残った20枚の500円券を使い
きれないのではと心配です。

でも連休中に横浜中華街のレストランで500円券を使えるところを発見、
8500円分使ってきました。

あと1500円分、使えるコンビニを探しておにぎりの爆買いでもしよう
かと思います。。。

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      次回配信予定は10/3作品は
         
        「顔のないヒトラーたち」
         
              です。

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