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こんな映画は見ちゃいけない! 

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カプチーノはお熱いうちに こんな映画は見ちゃいけない! 

2015/09/19

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2015/9/19   Vol.1689    ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
              「カプチーノはお熱いうちに」  です。

第一印象は粗野で短気で教養もデリカシーもない差別主義者、二度目
に会った時はその確信を深めたのに、いつしか彼のバイクの後ろ席に
またがっている。美貌を鼻にかけた高慢な女と思っていたのに、気が
付くと彼女を視線が追っている。土砂降りの雨の中、最悪の出会い方
をした男と女が互いに惹かれ、偶然が運命に思えてくる。物語はそん
な彼らが13年の時を経て迎えた倦怠期を乗り越えようとする姿を描く。
古い石畳と美しいビーチ、人工と自然、歴史と現代が交錯する南イタ
リアの町で繰り広げられる人間模様は、死を見つめることで生の喜び
を際立たせる。考えたり迷ったりして立ち止まるならば思い切ってア
クションを起こすべしとこの作品は訴える。

カフェで働くエレナは、同僚のシルヴィアの恋人が不躾な男・アント
ニオと知って不愉快になる。ところが、シルヴィアとの仲に行き詰っ
ていたアントニオはエレナの気の強さを忘れられなくなっていた。

大胆な省略と緻密な構成のなか歳月は流れ、若かったふたりは中年に
差し掛かっている。エレナは友人と共同経営するカフェが軌道に乗っ
ているが、髪は後退し腹は出て浮気もするグータラ亭主に成り果てた
アントニオにうんざりしている。

もはや破局は時間の問題と思われた時、エレナが病に侵されていると
判明する。やつれ果てたエレナを病院のベッドで抱くアントニオの情
の濃やかさ、彼本来の愛と優しさが胸を打つ。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                   「カプチーノはお熱いうちに」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150722

                を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
           「ザ・ヴァンパイア」  です。

街灯、自動車のヘッドライト、工場の外照明、部屋の電灯……。夜を
照らす人工の光は危ういほどの妖しさで闇とのコントラストを際立た
せる。そこは、昼間は油田のポンプが忙しなく上下運動を繰り返し、
血を吸われた死体が打ち捨てられた涸れ川が腐臭を漂わせている町、
人々は日没後に活発になる。物語は、発展から取り残された場所で退
廃を見守る女ヴァンパイアの恋を描く。女をモノ扱いする男を、ヴァ
ンパイアは命乞いの時間すら与えずに喉元に食らいつく。黒いベール
の長三角のシルエット、透き通る白い肌、相手の魂を見透かす大きな
瞳。感情を抑制し悪人を制裁する姿はクールかつミステリアスだ。

麻薬売人にクルマを差し押さえられたアラシュは、ヴァンパイアに噛
み殺された売人からカネとドラッグを盗む。後日、ドラッグを捌いて
いると美しい少女と出会う。アラシュは彼女の正体を知らなかった。

まだ10歳にもならない男の子を襲おうとするヴァンパイア。「お前は
悪い子か」と尋ね、答えに窮しているとスケボーを奪って去る。一方
で売春婦を搾取する売人やしつこく付きまとう客を殺し、アラシュに
は“私は罪深い女”と警告する。ヴァンパイアは価値のない人間だけ
を慎重に選んで食料にしてきたのだろう。

理性的でありたいと願っている、優しく接してくれるアラシュを好き
になってしまった、だが自分が生きるためには誰かの命が必要。そん
な、苦悩するヴァンパイアがユニークだった。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                  「ザ・ヴァンパイア」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150613

              を参考にしてください。 




 本日はもう一本
 
           「過ぐる日のやまねこ」  です。

突然何もかも投げ出して故郷に戻ってきた彼女。目的があるわけでも
なく、縁者知人もいない。兄同様に慕っていた人を亡くした少年は、
その事実が受け入れられずに彼との会話を反芻している。そんな男女
が出会ったとき、ふたりはお互いが心の欠片を埋める存在であると直
感する。濃厚な“死”の気配、だがそれは懐かしい香りが漂うあたた
かい思い出。物語は、喪失感から立ち直れない高校生と子供の頃に父
を亡くした若い女が交流するうちに、過去に囚われて立ち止まるので
はなく、未来に向けて踏み出す大切さを学ぶ過程を描く。

飲食店をクビになった時子は長距離バスに乗り、8歳まで暮らしていた
山奥の村にたどり着く。彼女を覚えている者はおらず、廃屋となった
家に帰ると、学校をさぼった陽平がアトリエ代わりに使っていた。

この廃屋は、時子にとっては事故死した父と一緒に過ごした家であり、
陽平にとっても親しかった人と楽しい時間を共有した秘密の場所。ふ
たりの決定的な記憶が宿っている。陽平が時子に服や食べ物を与える
うちになんとなく打ち解けあうと、彼らは森から聞こえてくる声に耳
を澄ますように神社の境内に佇み、狭い沢で戯れる。

本来生命の息吹を感じさせるべき緑の濃さが、ここでは異界への入り
口のごとき神秘性を帯びている。一旦足を踏み入れてしまったふたり
は、その奥を覗こうとする。恐怖や不安とは違う、しっとりと落ち着
いた映像からは、気持ちを落ち着かせる死の誘惑が濃密に漂っていた。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                  「過ぐる日のやまねこ」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150826

              を参考にしてください。 




 本日はもう一本
 
           「ピエロがお前を嘲笑う」  です。

3つの死体、3つの薬莢。仲間を惨殺された青年は安全のために当局に
駆け込む。彼の独白は尋問官の好奇心を大いに刺激するが、事実の裏
付けは取れない。想像を絶する騙しのテクニックとリアルに再現され
た闇ネットの世界、物語は内向的なハッカーが透明人間ではない何者
かになろうとする姿を描く。軽妙なテンポの語り口と鮮やかな犯行、
緻密な手口と不器用な恋。それらは皆作り話かもしれない。一方でデ
ィテールにはいくつもの真実が含まれている。巧妙に張られた伏線、
仕掛けたつもりの罠に仕掛けられていた罠。主人公はハッキングの帝
王、サイバーマフィア、政府情報機関を相手に奮闘する。同業者のリ
スペクトこそが最高の名誉と考えるハッカーたちの価値観がクールだ。

自首してきたベンヤミンは、聴取にあたるハンネ捜査官に己の半生を
語り始める。マックスと知り合ってサイバー犯罪に手を染め、大物ハ
ッカーを告発したが、やがて命を狙われていると言い出す。

負け犬人生を送ってきたベンヤミンはマックスたちに存在を認められ、
ハッキングを繰り返すうちに根性が座ってくる。その過程で、いたず
らから不法行為までの様々な悪行とプロトコルでの会話がスタイリッ
シュにヴィジュアル化される。ベンヤミンが行動力と判断力を身につ
けていくステップは、歪んだ道に落ちた若者の堕落としても楽しめた。

権力だけでなく反社会的団体にも挑戦する、彼らなりのポリシーでや
り場のない閉塞感を解放するシーンに共感を覚えた。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                  「ピエロがお前を嘲笑う」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150918

              を参考にしてください。 

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        余|談|
        ━┛━┛

国会前には毎日数百人もの安保法案反対派が集まっています。主だっ
たグループは、「徴兵制が復活する」などと妄言を吐く目立ちたいだ
けのバカと、「法案は必要だが違憲状態」とするインテリ層。

反対派にも2種あるのに朝日・毎日といった反安倍マスコミはいっしょ
くたにして「反対多数」と叫んでいます。これって中国の思うつぼ。

もし法案が成立しなかったら、中国船が日本領海にちょっかいを出し
てくるのは必定、最悪尖閣を取りに来るでしょう。

いずれにせよ、憲法九条だけでは日本の平和が守れないことは確かで
す。。。

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      次回配信予定は9/25作品は
         
        「チャンス商会 初恋を探して」
         
              です。

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創刊日:2002-12-02  
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