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こんな映画は見ちゃいけない! 

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キングスマン こんな映画は見ちゃいけない! 

2015/09/10

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2015/9/10   Vol.1686     ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
              「キングスマン」  です。

サヴィル・ロウ仕立てのスーツをまとい、しなやかな体術で敵を瞬殺
する。傘、靴、ライター、指輪といった小道具も殺傷力抜群だが、ど
こか懐かしさを感じさせる。主人公はスパイである前にマナーとエス
プリを身に付けた紳士、喜怒哀楽に富んだ魅力的なキャラクターだ。
映画は、ロンドンに本拠を置く政府から独立した諜報機関にスカウト
された新人工作員の活躍を描く。師匠と弟子、厳しい訓練で培った友
情とチームワーク、奉仕と自己犠牲の精神、命がけで戦う意義。それ
ら若者の成長に欠かせない要素をちりばめつつ、世界征服を企む悪党
と決着をつけようとする設定は定番ながら、流麗なカメラワークから
生まれる斬新な映像が物語に瑞々しい息吹を吹き込んでいる。

貧困地区のエグシーは、秘密組織・キングスマンのメンバー・ハリー
に連絡する。エグジーは、かつてハリーを庇って死んだ工作員の息子、
彼の素質を見込んだハリーは、エグジーを養成所に入隊させる。

ワルツを踊るような優雅な動きで敵戦闘員を倒すキングスマンのスパ
イに対し、義足に仕込んだ剣であらゆるものをぶった斬る女殺し屋。
ただ相手を血祭りに上げるだけではない、彼らはあくまでも己の流儀
にこだわり殺しの美学を貫こうとする。

特に教会でのバトルロイヤルは乱舞格闘する者たちの息遣いと飛び散
る血しぶきが様式美にまで昇華され、壮大な暴力のページェントが展
開する。

       お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

                   「キングスマン」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150701

                を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
           「ボーイ・ソプラノ」  です。

脳天を貫く金属音なのにシルクの肌触りを感じさせる高音。だが、天
からの授かりものを埋もれさせている。物語は貧困家庭の少年がエリ
ート合唱団に入団し、音楽を通じて未来を手に入れていく過程を描く。
天使のような声が出せるのは変声期まで、ほどなく消えていく運命と
覚悟しつつも、残された時間を精一杯生きる彼の澄んだ瞳が夢と希望
を持つ大切さを象徴していた。そして圧倒的な声量のおかげで自分が
認められたと知る主人公が、歌う歓びに目覚めるまでの心情がリアル
に再現されるどれほど腕の立つ演奏者でも表現できない人間の声帯と
いう“楽器”の素晴らしさをこの作品は教えてくれる。

母と2人荒んだ暮らしを送っていたステットは、母の死後裕福な実父の
寄付で合唱専門学校に編入する。集団生活に馴染めず戸惑いを隠せな
かったが、厳格な指導者・カーヴェルに鍛えられ態度を改める。

本格的な教育を受けておらず楽譜が読めないステット。クラスメート
に頼み込んで基礎を習うと、みるみる上達する。何より彼自身が声楽
の奥深さに魅了され、もっと成長したいと願うようになる。その熱意
がカーヴェルにも伝わり、情熱を失いかけていた彼を奮い立たせる。

才能を伸ばすのは本人の不断の努力と惜しみない援助、高いハードル
を乗り越えようとベストを尽くす姿は必ず周囲に伝染し、時に大人た
ちをも変えていく。ステットの存在を妻子に秘密にしていた実父が息
子を誇りに思い始める表情が印象的だ。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                  「ボーイ・ソプラノ」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150704

              を参考にしてください。 




 本日はもう一本
 
           「ピース オブ ケイク」  です。

好きでなくても言い寄られると体を許してしまう。もっとしっかりし
なければと思いつつも、雰囲気に流される。そんな女の眼前に、人生
で初めて“風が吹いた”と思わせる男が現れる。職場は同じ住居も隣、
偶然なのか必然なのか、彼女は運命を感じ彼に告白する。物語は人間
関係も仕事もイマイチ冴えないヒロインの、ときめきや不安、思い込
みと嫉妬を描く。動き出す前にうじうじ悩み、行動した後も後悔ばか
り。強くはないし賢くもない、駆け引きはできず嘘もつけない。自信
を持てないまま大人になってしまった彼女の等身大の葛藤が共感を呼
ぶ。そして、大きな夢を追うのではなく小さな成功体験で満足する、
失敗して傷つくくらいならと手探りで恋をする姿が現代的だ。

失恋を機に引っ越し、レンタルDVD店で働く志乃は、深夜勤後に店長の
京志郎と一緒に帰る時間を楽しみにしている。だが、泥酔して京志郎
の部屋で目覚めた朝、京志郎の恋人・あかりに叩き出される。

被害妄想的とも思えるネガティブ志向、男運が悪いというよりも、己
を罰するかのごとく事態をややこしくしてしまう不器用な生き方しか
できない彼女の性格がいじらしい。

京志郎とあかりが密かに会っていたと知った志乃は、怒りを爆発させ
る。温泉の男湯に乱入しケータイを投げつけ、さらに言い訳する京志
郎に延々説教する。これだけのパワーがあればきっと自分の手で幸運
をつかみ取ることができるだろうと、応援したくなるシーンだった。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                  「ピース オブ ケイク」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150908

              を参考にしてください。 




 本日はもう一本
 
           「みんな!エスパーだよ!」  です。

胸の谷間を強調する美女美女美女……。巨乳を思う存分まさぐりたい、
窒息するまで顔をうずめたい、そんな妄想が暴走する童貞高校生は漲
った股間を隠しきれない。そして待ち続けた運命の人。物語は己の性
欲処理に日々悶々とする少年が超能力に目覚め、同じく超能力を身に
付けた仲間たちと地球を危機から守ろうとする姿を描く。その過程は
あくまで、大胆な衣装で肌は露出しても乳首は出さず、パンツは見せ
ても決して脱がず、セクシーだけど性交には至らない寸止めの美学を
貫く。ところが、映像にあふれるエロさは深夜放送のTV番組の域に留
まり、わざわざカネを払って見るレベルには達していない。

思考を読む能力を得た嘉郎は転校生の紗英に恋心を抱いているが、ヤ
ンキーの美由紀とはテレパシーで会話す仲。ある日、紗英の父・浅見
のエスパー研究に参加、人類を滅ぼそうとする勢力との戦いが始まる。

学校や街に突如出現するエスパーたち。いつしか女たちは隠微なため
息をつき、男たちは欲望を膨らませる。それらのシーンで多少なりと
も共感できるような感情の動きがあればよいが、もはや嘉郎のオナニ
ーではなく作り手のオナニーと堕している。大量のラブドールを並べ
る安っぽい発想には嫌悪感すら覚えてしまった。

もちろんストーリーの流れは完全に無視され、整合性のないエピソー
ドの羅列が続く。当然超能力バトルなどという見せ場はスルーされ、
ご都合主義に終始する。TVシリーズの視聴者なら楽しめたのだろうか。

       お勧め度=★*(★★★★★が最高)

                  「みんな!エスパーだよ!」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150909

              を参考にしてください。 


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        余|談|
        ━┛━┛

ベビーカーを折りたたまずに電車に乗る母親に賛否両論ですが、先日
朝のラッシュアワーで遭遇してしまいました。

ひと声かけてくれれば気持ちよく協力できるのに、その母親は“当然
の権利”とばかりに周囲の人を蹴散らすように強引に乗車してきまし
た。

しかも、夫とおばあちゃんらしき人物も同伴、彼らも悪びれず後に続
きます。いやな空気が漂う中、彼らは一駅で降りました。

大人3人分の切符代とホームまでの乗り降りの面倒を考えたら、タクシ
ーを利用したほうがよほど効率的なことに、彼らは気づかないのだろ
うか。。。

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      次回配信予定は9/12作品は
         
           「ガールズ・ステップ」
         
              です。

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創刊日:2002-12-02  
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