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こんな映画は見ちゃいけない! 

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Dearダニー こんな映画は見ちゃいけない! 

2015/09/05

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2015/9/5   Vol.1685     ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
              「Dearダニー」  です。

ミュージシャンとしてはかなりの成功を収めた。大豪邸、スーパーカ
ー、自家用ジェット、若くてセクシーな恋人……カネで買えるものは
ほとんど手に入れた。だが、本当に求めていた生き方は別の場所にあ
る気がしてならない。物語は、大ベテランのロックスターが新しい人
生に挑戦する姿を描く。音楽への真摯な態度を忘れるなというアドバ
イスに、はるか昔に失くした情熱を再燃させた彼が、その過程で家族
の信頼と絆取り戻そうとする。ビジネスの現場では、中心にいるのに
違和感を覚えている。だだっ広い自宅では婚約者が浮気している。孤
独に心を痛めながらも、一般人の前では大スター然と振る舞い一瞬で
彼らを魅了する主人公を、アル・パシーノが圧倒的な存在感で演じる。

マネージャーのフランクから、40年以上届かなかった自分あての手紙
をプレゼントされダニー。有名になったら変わるかもしれない不安へ
のジョン・レノン直筆の返答に、ダニーは今やるべきことを思いつく。

かつてダニーが捨てた女が生んだ息子・トムは中年に達し、孫娘は多
動性障害。彼らに援助をしてやりたいがあっさり門前払いされる。音
楽で行き詰まった時は酒やドラッグに逃げてきたダニーには、子や孫
といった生身の人間相手の苦悩は受け止め方がわからないのだ。

一方で、30年も発表していない新曲に取りかかりつつ、その間ホテル
の支配人を口説いたりする。人前ではどんな時もエンタテイナーを演
じるダニーの、根はやさしい善良な人柄がにじみ出ていた。

       お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

                   「Dearダニー」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150703

                を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
              「EDEN/エデン」  です。

若くして成功の味を知ってしまった。彼の周りには人が集まった。欲
しいものは何でも手に入り、やりたいことはすべて実現できた。だが、
成長は止まってしまう。物語はパリのクラブシーンの最先端を駆け抜
けた主人公の20年に及ぶ魂の彷徨を描く。常に進化しなければ時代に
ついていけないのに、一度張ってしまった見栄はやめられない。ガー
ルフレンドは何人もいたが、本当に愛したのかどうかわからない。き
っと心の中は不安と不満でいっぱいのはず、酒とコカインに溺れて現
実から逃避する。カメラは彼の弱さを丁寧に追って、“叶ってしまっ
た夢”にどっぷりとつかり、そこから抜け出せないまま周囲の人々か
ら置き去りにされる苦悩をリアルに再現する。

大学生のポールはテクノポップの選曲でたちまち人気DJとなる。親友
とユニットを組み、ナイトクラブ経営者らと仕事の幅を広げていく。
数年後、ついにニューヨークのクラブシーンに躍り出る。

その間、米国人人妻のジュリアや取り巻きのルイーズと付き合うポー
ル。夜な夜な明け方までのお祭り騒ぎは、不確定な未来よりも目の前
にある楽しみをむさぼるのが生きる証と思い込んでいるようでもある。
20代前半まではそんな日常がクールても、やがて一人また一人と同じ
空気を吸った仲間が脱落していく。

ところがポールだけは永遠にこんな毎日が続くと信じて、ライフスタ
イルを変えない。大人になりたくないポールの甘えが痛々しい。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                  「EDEN/エデン」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150813

              を参考にしてください。 




 本日はもう一本
 
           「天使が消えた街」  です。

取材し、現場を見聞きし、事実を探れば探るほど遠ざかる真実。遅々
と進まない執筆にプロジェクト自体が頓挫しそうな現実。物語はイタ
リアで起きた女子留学生殺人事件を映画化しようとしてリサーチを重
ねる監督が、次第に事件の迷宮で道を見失う過程を描く。迷路のよう
な細く入り組んだ路地とよそ者には見せない街の裏の顔、舞台となっ
た古都は真犯人を闇にまぎれこませたまま主人公を寄せ付けない。い
つしか妄想に逃げ込んだ彼はリアルな悪夢に襲われる。小説や映画で
新たなストーリーを生み出すのは、こういった苦悩と葛藤を何度も何
度も繰り返すことなのだ。

フリー記者・シモーンの著作から映像化を思いついたトーマスは、記
者たちのスキャンダリズムに辟易する。一方で警察が見落としたナイ
フを持っているというエドゥアルドに接触、奇妙な話を聞かされる。

被害者も容疑者もまれにみる美女、さらに容疑者の恋人、被害者の家
族らが入り乱れて裁判の行方を見守っている。そんななか、トーマス
は悲劇の背景ではなく、被害者の人生に興味を持つ。

だが、彼女に対しては想像を膨らませるだけで具体的には行動せず、
カフェのウエイトレス・メラニーとつるんだり、エドゥアルドに付き
まとわれたりするばかり。もはやドキュメンタリーとしての映画化は
無理、フィクションにするにも方向が定まらない。トーマスは混沌の
中でもがき、答えを見つけられないまま窒息しそうになっていく。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                  「天使が消えた街」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150709

              を参考にしてください。 




 本日はもう一本
 
           「ロマンス」  です。

ケチな泥棒のくせに妙に図々しく踏み込んでくるオッサン。どこか憎
めない人間味があり、いつしか彼のペースにはまってしまう。そして
見抜かれてしまった母への思い。ずっと嫌っていた、もう二度と会い
たくないはずだった。だが、古い記憶を拾い集めるうちに楽しかった
思い出うれしかった気持ちが脳裏によみがえってくる。物語は初対面
の男に強引に連れまわされながら、自殺をほのめかす母親を探す販売
員の一日を追う。小田原城から登山鉄道、温泉卵やそば、芦ノ湖とい
った箱根の名所を巡る過程で徐々にヒロインの表情から険が取れてい
く。その変化が他者とのかかわりが人生を豊かにすると教えてくれる。

特急の移動販売員・鉢子は万引き犯・桜庭を捕まえるが、ゴミ箱に捨
てた母からの手紙を桜庭に読まれ、逆に桜庭から母の安否を気遣われ
る。ふたりは鉢子の母を見つけるためレンタカーを借りる。

急展開の成り行きに鉢子は怒り、憤り、激しく桜庭を罵る。それでも
母の身を案じている。予定外・予想外の出来事、にもかかわらず鉢子
が桜庭と行動を共にするのは、退屈な毎日に刺激が欲しかったから。
レールの上を行って帰るだけの日々から離れた鉢子にとって、桜庭と
の時間は自分自身と失った家族の関係を顧みる旅となる。

彼女がいちばん恐れているのは母の男運の悪さが遺伝していること。
強がっていても優しくされるとつい心を許してしまう、そんな寂しい
女を大島優子がナチュラルに演じている。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                  「ロマンス」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150903

              を参考にしてください。 

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        余|談|
        ━┛━┛

野球のU18W杯が開催中ですが、この夏甲子園を沸かせた選手が大活躍。
木製バットのおかげで野球の魅力が増した気がします。

特に注目は相変わらず俊足を飛ばすオコエ。カナダ戦でも投手強襲打
で一気に二塁を陥れるという、プロ顔負けの走塁を見せてくれました。

ずっと不思議に思っていたのは彼が右打ちであること。左打ちに変え
れば内野安打が増え打率も5分は上がるはずです。

プロでは左もしくはスイッチヒッターに転向するはずですが、今はの
びのびと野球をやりたい、指導者もさせたいということでしょうか。

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      次回配信予定は9/10作品は
         
           「キングスマン」
         
              です。

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創刊日:2002-12-02  
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