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こんな映画は見ちゃいけない! 

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かけがえのない人 こんな映画は見ちゃいけない! 

2015/08/22

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2015/8/22   Vol.1681    ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
        「かけがえのない人」  です。

環境の違いも立ちはだかる障害も、乗り越えて成就させるのが運命だ
と信じていた。ところが不幸な事件に巻き込まれ、悲しい別れをした
ままいつしか疎遠になってしまった。それでも一日たりとも忘れはし
ない、生涯で一番輝いていた日々。映画は21年ぶりに再会した元恋人
同士が自分の本当の気持ちに正直になっていく過程を描く。叶わなか
った願い、伝えられなかった思い、封印していた記憶がよみがえるた
びに、あの頃いかに愛し合っていたかを確かめていくふたり。あきら
めていたことが急に現実になった時の戸惑いと拒絶、そしてあらゆる
出来事は何らかの意味があったと思えるようになっていく。

油田事故で海上櫓から落水しこん睡状態になったドーソンの脳裏に、
高校時代の恋人・アマンダの姿が浮かぶ。退院後、恩人・タックの訃
報が入り故郷に戻ると、知らせを受けたアマンダも帰ってくる。

ふたりとも、顔を合わせるのを少しは期待していたはず。いまだ独身
のドーソンはともかく、夫婦間は冷めていても優秀な息子とは良好な
関係のアマンダは家庭を捨てるほどの勇気はなくきつく自制している。
にもかかわらずタックの遺品を整理していくうちに懐かしい思い出に
浸り始めると、心理的な壁が崩れていく。

人里離れた別荘にふたりきり、アマンダとドーソンは失われた時を取
り戻す。その間、このまま流れに身を任すべきか分別を持つべきか、
選択を迫られた彼らの微妙で繊細な感情がリアルに再現されていく。

       お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

                   「かけがえのない人」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150711

                を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
           「夏をゆく人々」  です。

強権的な父、気の強い母、4人姉妹、居候の女のファミリー構成の中、
長女は生きる意味を考える間もなく父の命令通り肉体労働に従事して
いる。そこには未来への明るい展望はなく、豊穣の歓びもない。だが、
他者からの干渉を拒む完結したコミュニティにも見える。物語はそん
な家族に一人の少年が加わったのがきっかけで起きる、“世界の終わ
り”を描く。床にこぼれた大量の蜂蜜は過去には戻れないことを暗示
し、庭につながれたラクダは叶った願いは色あせるというメタファー。
人間も価値観も永遠に同じものなどない、ならば変化を受け入れる覚
悟をすべきとこの作品は訴える。

イタリア中西部、父の養蜂業を手伝っているジェルソミーナは、ご当
地産業紹介番組のロケに遭遇し出演希望するが、父は聞く耳を持たな
い。一方、父はドイツ人少年の更生プログラムを引き受ける。

TVクルー、蜂の大量死、物言わぬ少年。平和だったはずの暮らしにさ
ざ波が立つ。同時に多額の費用がかかる製蜜工場の改装を迫られるが、
とても余裕はない。さらに次女の大けがで大きなロスを出してしまう。
そして彼らは、TVショーの賞金に起死回生を賭ける。

カメラは彼らの日常を丹念にすくい取りながらもジェルソミーナが覚
える違和感をとらえ、運命の綻びを予感させていく。その間、説明的
な映像はなくセリフも必要最小限。それでも行間からにじみでる感情
が登場人物、特に父のキャラクターに深い想像の余地を与える。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                  「夏をゆく人々」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150625

              を参考にしてください。 




 本日はもう一本
 
        「東京PRウーマン」  です。

三高男、レストラン貸切デート、プレス発表会……。30年近く前のト
レンディドラマのような設定に、いまや日本は完全に不況から脱し、
再び浮かれはじめていることを実感する。バブル期と決定的に違うの
は、華やかに見える職種に就いたヒロインの人生に対するスタンスが
「恋も仕事も」と欲張るのではなく、あくまで「恋より仕事」とキャ
リアアップを優先させているところ。企業側も正社員の採用は渋り、
“何かを持っている人”しか雇わない。物語は、弾みで転職した元OL
が結果を求められるプロの厳しさを学び、懸命に努力するうちに誰か
の役に立つ歓びに目覚めていく姿を描く。姿勢正しさと脚を交差させ
るモデル歩きなど、山本美月のしなやかな立ち居振る舞いが美しい。

合コンでイケメン青年社長と出会った玲奈は思わずPR会社勤務と嘘を
つき、友人が勤めるPR会社の面接を受ける。だが、ヒールが折れた幸
運で合格、先輩社員・草壁の下でビジネスのイロハを叩き込まれる。

ダサい銀行員だった玲奈は草壁に磨かれ、たちまち魅力ある女に変身、
マスメディアの男が相手なら容姿やフェロモンは大きな武器になる。
さらに玲奈は恋人からのメッセージから思いつた企画を提案、立て続
けに大ヒットを飛ばして一躍時の人となる。

そのあたりの運に恵まれただけのシンデレラストーリーは、潔いまで
に玲奈の苦悩や葛藤を省きテンポよく進んでいく。奥行のないノリの
良さはかえって新鮮だった。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

              「東京PRウーマン」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150702

              を参考にしてください。 




 本日はもう一本
 
        「レッドカーペット」  です。

映画監督を志し、“自分の映画を作りたい”という熱意を胸に10年間
頑張ってきた。ところが任されるのは低予算のポルノ映画のみ。これ
も修行と割り切ってメガホンをとり続けるが、やっぱり自作の脚本を
他人に横取りされるのは許せない。物語はそんな主人公がわけあり女
優との出会いと別れを通じて、本当にやりたかったことに向かって走
り出すまでを描く。製作費がないと嘆き、上司の愚痴を垂れているだ
けだった。でも彼女のひたむきさが、チャンスは与えられるものでは
なくつかみ取りに行くものだと彼に気づかせる。夢は追うばかりでは
逃げていく、叶えるためには具体的な計画と失敗を恐れない勇気が必
要とこの作品は教えてくれる。ポルノ映画を蔑む一般人の意識が“芸
能”に対する韓国での根強い差別を訴える。

撮影を終えたジョンウがアパートに戻ると、元子役女優・ウンスが転
がり込んでいた。ジョンウが書いた脚本を盗み読みしたウンスは、そ
の作品のヒロインを演じたいと願い、女優のキャリアを再開する。

だが、自宅での追加撮影に鉢合わせしたウンスは、ジョンウが女を連
れ込んでいると誤解しジョンウの元を去る。やがてウンスは売れっ子
になりジョンウとの格差は広がる一方、ジョンウはくすぶっていた思
いを打ち明けるためにウンスの撮影現場に押し掛けたりする。

その間、映画人の情熱やビジネス感覚、様々な温度の人間関係がコミ
カルに再現され、映画業界に生きる人々の生態が活写される。

       お勧め度=★★(★★★★★が最高)

              「レッドカーペット」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150821

              を参考にしてください。 




 本日はもう一本
 
        「ラブ&マーシー」  です。

大衆を魅了するメロディを生み続ける才能がプレッシャーに押しつぶ
されていく。期待に応えなければならない、でも新しいサウンドに挑
戦したい。ただ歌で思いを伝えたいだけなのに、巨大なビジネスに組
み込まれてしまった後は好きな音楽を楽しめない。それが成功と言う
ならばあまりにも虚しく、やがて彼は精神の均衡を失っていく。映画
は1960年代、全米を席巻したミュージシャンの孤独と20年後の再生を
描く。瑞々しい若者が、カネに群がる肉親のエゴに振り回される一方
で、彼らには“自我”を歌った新曲をドラッグソングと否定される。
さらに信じていた者たちの離反と父親の裏切り。その失望感から逃れ
るためにLSDを服用し繊細な心が蝕まれていく。二重あごにたるんだ腹
の醜い肉体になる過程が主人公の不安と絶望を饒舌に物語っていた。

自動車ショールームでメリンダに声をかけたブライアンは彼女を食事
に誘う。精神科医のユージーンに日常生活を管理される不満を訴える
ブライアンにメリンダは同情、彼を解放すべく家政婦に事情を聞く。

初対面ではメリンダも彼がザ・ビーチボーイズのブライアンとはわか
らない。デートを重ねるうちにブライアンの飾らない人柄に惹かれ、
言葉の端々から発せられるSOSを敏感に感じ取るメリンダ。そんな彼女
をブライアンから引き離そうとするユージーン。

海に飛び込み海岸まで泳ぐブライアンとメリンダの、束の間の自由を
謳歌する姿が切ない。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

              「ラブ&マーシー」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150820

              を参考にしてください。 


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        余|談|
        ━┛━┛

この夏は甲子園の準々決勝を観戦してきました。清宮フィーバーを警
戒して午後からの試合をと思っていたのですが、早実が出る第一試合
は意外に空席があったので急遽出発しました。

第二試合が始まる直前に到着、その後2試合見ましたが、ゲットした三
塁側アルプス席チケットは奇しくも決勝戦で当たった東海大相模と仙
台育英の応援席。

この日は接戦がい多く、特に東海大相模のサヨナラ安打が目の前に落
ちた時はスタンドが総立ち。

今年は打高投低、好投手も結構失点しているのが印象的な大会でした。

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      次回配信予定は8/27、作品は
         
      「死霊高校」
         
              です。

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創刊日:2002-12-02  
最終発行日:  
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