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こんな映画は見ちゃいけない! 

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奪還者 こんな映画は見ちゃいけない! 

2015/07/30

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2015/7/30   Vol.1675    ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
              「奪還者」  です。

経済は破綻しモラルも崩壊した近未来、盗まれた愛車を奪還するため
にひたすら悪党どもを追い続ける主人公。弱肉強食の掟が支配する中、
どこまでも荒涼とした大地と渇ききった彼の心が見る者の感情移入を
一切拒む。狂った時代に彼だけは正常なのかと思いきや、この男もま
たどこか壊れているのだ。物語は無法地帯のオーストラリア、家族も
夢も失くした男が大切にしているモノを取り返す旅を描く。道連れは
見捨てられた若者、信じられるのは自分のみという状況で2人の間に奇
妙な友情が芽生えていく過程は、絶望のなかにも希望はあると訴える。

3人組にクルマを乗り逃げされたエリックは、彼らのピックアップトラ
ックで追いつくが、殴られ昏倒する。銃を手に入れて追跡を再開する
と、3人組のリーダーの弟・レイが傷ついた姿で助けを求めてくる。

値段を吹っかけてくる銃の売人をいきなり射殺するエリック。売人の
手下が仕返しに来ても容赦なく狙撃する。一方でレイの治療で立ち寄
った女医の家ではおとなしくしているくらいの分別はある。女医は飼
い主が捨てていった十数頭の犬を狭い檻に閉じ込められているが、そ
れは犬を食う人間たちから犬を守るため。

犬は飼い主を絶対に裏切らない、犬の味方である女医は信用できると
思ったのか、彼女に対しては警戒心を解くエリック。暴力が蔓延して
もまだ完全には理性が失われたわけではない、そんな女医の勇気がこ
の映画にわずかな救いをもたらしている。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                 「奪還者」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150629

                を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
           「バトルヒート」  です。

家出少女を言葉巧みにたぶらかして、売り飛ばす。いまだ古典的な手
口で行われる人身売買、それは扱う商品が人間である以上、画期的な
効率化は望めないからだろう。物語は、東南アジアから全世界にネッ
トワークを張り巡らせる人身売買組織の壊滅を図る、米国とタイの捜
査員の活躍を描く。爆走バイクに向かって疾駆する追跡劇と、東洋西
洋のあらゆる格闘技をミックスさせた打撃から関節技まで駆使したア
クションは、これぞトニー・ジャーという切れ味。体格で勝る白人黒
人相手に真っ向から挑み跳ね返されてもなお攻撃の手を緩めない。拳
や脚の変幻自在の動きに目が点になった。

国際ギャング・ドラゴビッチに妻子を殺されたニックは復讐するため
タイに飛ぶ。だがタイの捜査員・トニーの同僚殺しの容疑をかけられ
る。トニーもまたドラゴビッチ組織の全容を解明しようとしていた。

全力疾走すると息切れし、若いころのように体が言う事を聞かなくな
った。そんな、盛りを過ぎたニックを還暦近いドルフ・ラングレンが
老体に鞭打って演じる。一方のトニーはまだまだ血気盛、FBI捜査官・
リードとの対決で真価を発揮する。

洗練されたマーシャルアーツで仕掛けるリードに対し、臨機応変に対
応し予想外の角度とタイミングで手刀やかかとを見舞うトニー。パワ
ーとスピードの一騎打ちは、悲鳴をあげる肉体の痛みを感じさせるほ
どリアルな感覚にあふれていた。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

              「バトルヒート」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150616

              を参考にしてください。 




 本日はもう一本
 
           「エクストラ テレストリアル」  です。

人里離れた森の別荘でバカ騒ぎするために集まった男女が、得体のし
れない“怪物”に襲われる。通信は遮断され助けは呼べない、恐怖に
おののきながらひとりまたひとりと犠牲になっていく。B級ホラー定番
の設定、ここでは地球外知的生命体が“怪物”の役割を担う。彼らの
目的は侵略ではなく、とりあえず積極的な攻撃の意志はない。それで
も仲間を殺された仇はきちんととる、甘くない異星人。物語はUFO墜落
現場近くで遭難した異星人のひとりを撃ってしまった若者たちが報復
を受ける過程を描く。ロズウェル型の膨らんだ頭と尖ったアゴ・黒光
りする大きな目に加え、クモのように手足が長く身長が2メートルを超
える異星人の造形はありきたりでパロディにもなっていない。

エイプリル、カイル、セス、メラニー、レックスの5人組は巨大な火の
玉が落ちるのを目撃、UFOの残骸と奇妙な足跡を発見する。その後、別
荘に避難するがドアを開けた異星人に発砲してしまう。

一方、拉致事件を捜査している保安官も現場に到着、どうやら付近一
帯はUFO関連事件が多発しているらしく、逐電した保安官の恋人も拉致
の疑いがある。さらに追い詰められた異星人は保安官の心を操ったり
もする。

登場するのは大ヒット映画の影響で定着した、侵略的な異星人をエイ
リアン、友好的な異星人をETと呼ぶ一般的な認識とは別次元の、新し
いタイプの異星人。奴らはいったい地球に何をしに来たのだろう。

       お勧め度=★★(★★★★★が最高)

              「エクストラ テレストリアル」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150729

             を参考にしてください。 




 本日はもう一本
 
           「チャップリンからの贈りもの」  です。

友情を大切にし、家族を愛している。不器用で短気だけれど性格は真
面目。にもかかわらず社会は移民である彼には冷たい。物語は妻のた
めにチャップリンの遺体を“誘拐”した男たちの切なく愚かな犯行を
描く。貯金はなく仕事は低賃金の肉体労働、利発な娘にまともな教育
を受けさせてやれない男が、勤労意欲は低いが頭の回転は速い親友が
持ちかけた計画に心ならずも加担する。人を傷つけるわけではないと
自らに言い聞かせながら手を汚す主人公、しかし完全犯罪とは程遠い
杜撰さはすぐに破綻する。どんなに悲しくても人前で笑いを取る道化
師の姿が、どんなに頑張っても空回りする彼らの人生を象徴していた。

不法滞在するオスマンは刑務所帰りのエディに住居を提供、娘のサミ
アもエディになついている。ある日、妻の治療費が公的補助の対象に
ならないと告げられ、エディに言われるままチャップリンの棺を盗む。

墓から掘り出した棺を盗難車で運ぼうとする2人、それは想像以上に重
くなかなか荷室に乗らない。死人を冒涜するのはやっぱり気が進まな
いオスマンは、中止にするタイミングを計っているかのよう。最低限
のつつましい生活すらさせてもらえない怒りをあらわにするより、内
省的になるオスマン。

カメラはそんな彼らに切迫感を持ち込むのではなく、むしろ寄り添う
ように見つめる。苦しい時も愛と希望を忘れてはいけないというチャ
ップリンの映画のごとく。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

              「チャップリンからの贈りもの」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150727
            
            を参考にしてください。 


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        余|談|
        ━┛━┛

生活そのものが、“おもろい”をとことん突き詰める。そんな芸人と
しての生き方を描いた又吉直樹の「火花」を読みました。

描かれるのは売れない若手漫才師と強烈な個性を持つ先輩漫才師の非
日常的な日々。主人公は場を盛り上げる明るいタイプではなく、世の
中に潜むシニカルな笑いをほじくり出す熟考型の芸人です。

ネタを考えるのに苦労しつつも日常的にボケ、相手のボケにはツッコ
ミを入れる。破滅的な先輩とは違う苦悩が行間からにじみ出ています。

そして叶わなかった青春の夢を語るクライマックスは圧巻。それでも
芸人の人生しか知らない先輩の不器用さが切なさの美学に昇華されて
いました。

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      次回配信予定は8/1、作品は
         
          「ジュラシック・ワールド」
         
              です。

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創刊日:2002-12-02  
最終発行日:  
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