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こんな映画は見ちゃいけない! 

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リアル鬼ごっこ こんな映画は見ちゃいけない! 

2015/07/11

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2015/7/11   Vol.1673    ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
             「リアル鬼ごっこ」  です。

顔を上げると同級生たちの腰から上が消えている。ぶった斬られた胴
体から吹き出す鮮血、道路に散乱する上半身。一瞬の出来事に状況を
把握できないまま、彼女はさらなる惨劇に見舞われる。物語は山中で
の大虐殺からひとり生き残った少女が、戻った学園でも凄惨な銃乱射
に遭遇し、逃げ回る姿を描く。何に追われているかもなぜ追われてい
るかもわからない。手を差し伸べてくれるのは親友だけ。ひたすら走
り続けるヒロインを躍動感あふれる映像にとらえたカメラワークが、
迫りくる恐怖を再現する。そして大量にばらまかれた血と肉片は理解
を超えた死を象徴し、この世界の偽物臭さを強調する。バーチャルな
のに感覚は本物、ミニスカ女子高生軍団の瑞々しいナマ足と圧倒的な
暴力描写は園子温の真骨頂だ。

修学旅行のバスでまくら投げに興じていたミツコは、ボールペンを拾
おうと身をかがめる。一陣の風が頭をかすめたかと思うと、バスの上
部半分がクラスメートの肉体ごとスパッと切り離されていた。

その風を避けるうちに見知らぬ女子高にたどり着いたミツコはアキに
声をかけられ行動を共にする。おかしいのはミツコなのか、彼女を取
り巻く環境なのか。すべてが信じられないままミツコは自動小銃をぶ
っ放す女教師からも狙われ、またしても全力疾走。

このあたり、ミツコを演じるトリンドル玲奈の困り果てたような表情
がか弱げで、つい守ってあげたくなる。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

              「リアル鬼ごっこ」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150527

    を参考にしてください。




 本日はもう一本
 
        「アリのままでいたい」  です。

冬を地中で過ごしたカブトムシ。最後の脱皮を終え地上に這い出した
後はクヌギの木を登り、樹液だまりに集まった昆虫たちを蹴散らして
樹液を独占しようとする。その力強さはまさしく森の王者。映画は、
体長数ミリから数センチほどの昆虫たちに内視鏡を改造を施した3Dカ
メラを接近させ、アリの視点を再現する。彼らの体に宿った、生き抜
く意思と次世代を残すための本能、それらを満たすためにあらゆる瞬
間繰り返される生存競争。“生きる”というのは他の生命を奪うこと、
そんな明白な理論をこの作品に改めて認識させられた。

カナブンやチョウが樹液をすする“オアシス”に這い登ってきたカブ
トムシのオスは、パワーで彼らを押しのける。そこに、同じくらいの
体格のクワガタが登場、“オアシス”を巡って宿命の対決が始まる。

太く長い角をクワガタの腹に潜り込ませ投げ飛ばそうとするカブトム
シ。巨大なアゴでカブトムシの頭部を挟み込んでクワガタは必死に耐
える。お互いの特技を知り尽くしつつなお正攻法にこだわる戦いぶり
は、永遠のライバルと呼ぶにふさわしい。

カメラはまた、生まれたばかりのカマキリの赤ちゃんが成虫となって
産卵するまでの一生にも密着する。獰猛な肉食昆虫であってもほとん
どは捕食され、成虫の証である羽根と生殖能力を手に入れられる個体
は一握り。そしてメスに頭部を齧り取られながらも絶命寸前に交尾を
果たすオスの、生物としてのすさまじい生命力に圧倒された。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

              「アリのままでいたい」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150617

    を参考にしてください。 




本日はもう一本
 
             「ゾンビーバー」  です。

凶暴な光を湛えた目、せり出した巨大な前歯、手入れのされていない
汚れた毛皮、しゃもじのように平たくつぶれた尻尾。医療廃棄物のせ
いで、せっせと木を齧り倒してダムを作る働き者のイメージとは正反
対の邪悪な姿となったビーバーたちは、次々と人を襲い始める。物語
は、自然豊かなキャンプ場で乱痴気騒ぎする6人の男女がゾンビ化した
ビーバーに狙われ、脱出を図る過程を描く。暗闇に浮かぶ数十対の眼
光、地中を掘り進んで床板を突き破って侵入してくる群といった恐怖
の演出はいかにもゾンビものの定型だ。ビーバーに噛まれると、巨大
な歯や尻尾を持つビーバー人間に変身する展開が笑いを誘う。

ジェンを慰めるためにメアリーとゾーイは湖畔のコテージで女子会を
開く。夜、彼女たちの恋人が合流するとメアリーとゾーイはベッドに
直行、一方、ジェンはバスルームに隠れていたビーバーを見つける。

翌日、6人が湖で遊泳していると数頭のビーバーに取り囲まれる。1人
が足を噛みちぎられるが何とか陸に上がり、コテージに籠城する。だ
が、そこもビーバーたちに包囲され、6人は徐々に追い詰められていく。
そして明らかになっていく複雑な人間関係。仲良しグループだったの
にお互いの本性を知るうちに友情にひびが入っていく。

誰が先に殺られるのか、誰が最後まで生き残るのか。彼(または彼女)
だけは助けてやりたいと思える好感度キャラクターが皆無ななか、ひ
とりまたひとりとビーバーの毒歯の餌食になっていく。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

              「ゾンビーバー」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150523

    を参考にしてください。




本日はもう一本
 
             「フレンチアルプスで起きたこと」  です。

予想外の出来事に危機回避行動をとった。楽しいバカンスは一転して
気まずいものとなり、家族は崩壊していく。物語はスキーリゾートを
訪れた一家が、父であり夫である男の本性を垣間見てしまったことか
ら起きる、静かな、強烈な波紋を描く。妻の一言、娘の視線、息子の
態度に非難を感じとる主人公。良妻賢母に疲れた妻。そして両親の間
に流れる不穏な空気を敏感に察知する子供たち。逃げ場のない状況と
替えの利かない人間関係の中で、気づかなかった自分の本音を発見し
ていく過程はスリルと緊迫感に満ち、息が詰まるほど重苦しい。

トマス一家が食事中のオープンテラスに人工雪崩が迫る。あわてたト
マスは妻のエバと子供たちをテーブルに残してひとり避難する。けが
人はいなかったが、深く失望したエバはトマスに小さな復讐を始める。

ホテルで知り合ったカップルとのディナーの席でエバは話を蒸し返す
が、トマスは認識の違いと弁解する。その後もエバは、合流したマッ
ツと彼の恋人にも顛末を聞かせ、ことの是非を問う。エバの言葉は正
鵠を射ているが辛辣で、男たちの痛いところを突く。これらのエピソ
ードは、ふたりには複雑な事情があり、無理して仲良し家族を演じる
雰囲気を漂わせ、ここに来る前にもなにかあったのではと思わせる。

少なくともエバは何かをひとりで抱え込んでいた、息子は両親の溝に
気づいていた、はず。うんざりするほど長いショットの積み重ねが、
彼らの心に堆積した不満の澱を代弁する。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

              「フレンチアルプスで起きたこと」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150710

    を参考にしてください。

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        余|談|
        ━┛━┛

ギリシアがEUとの交渉で、年金の見直しと増税という財政再建策を打
ち出してきました。恵まれすぎた年金にメスを入れるのは当然です。

振り返って高齢化が進む日本でも、医療・年金・介護といった老人に
かかるコストはますます増大しています。

当然、政治家は投票率の高い老人に甘い政策を立て、結局財源は国債
頼み。その結果、若い世代が搾取される構造が続きます。

若者がもっと投票に行って、国の借金を減らそうと本気で考える政治
家を選ばなければ、東京五輪後に日本がギリシア化しそうな気がしま
す。その時は中国の勢力下にはいるのかな。。。

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      次回配信予定は7/16、作品は
         
       「バケモノの子」
         
              です。

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