映画

こんな映画は見ちゃいけない! 

映画批評系メルマガで読者数No.1! プロの編集者が簡潔な文章と的確な表現で書き下ろす「1分で読める新作映画批評」です。映画紹介だけのメルマガにはない「本物の批評」を堪能したい方だけご登録ください。

全て表示する >

愛を積むひと こんな映画は見ちゃいけない! 

2015/06/20

■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □

☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2015/6/20   Vol.1667    ☆
   
□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■

 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
             「愛を積むひと」  です。

東京での生活に見切りをつけた熟年夫婦は、北海道の平原に建つ一軒
家に引っ越し人生の再スタートを切る。夫は自分の気持ちをうまく口
にできずぶっきらぼうに振る舞うが、彼の性格を知り尽くした妻は濃
やかな心遣いで上手にフォローする。物語は、男やもめになった主人
公が亡き妻の“遺言”に導かれながら、何を若い世代に伝えるべきか
を模索する姿を描く。ご立派な説教など反発を買うだけ、一緒に悩み
迷いつつ自らの体験に基づいたアドバイスを送り、見守ってやる。肝
心なのは、いつも気に掛けていると相手の負担にならない程度に気づ
かせ、後は信頼していると態度で示すことなのだ。

経営していた工場の廃業を機に美瑛町の洋館に移住してきた篤史と良
子。良子は作りかけの石塀を完成を篤史に提案、見習い石工の徹と共
に石を積み始める。ある日、空き巣と鉢合わせした良子がけがを負う。

徹が空き巣の共犯とわかっていても良子は黙っている。徹は言い出す
勇気がなく、代わりに恋人の紗英を連れてきて家事を手伝わせたりす
る。さらに篤史と良子から誕生日の真珠の話を聞かされて徹は胸を痛
める。誰にでもその人の歴史があり思い出を大切にすると教えられて
も、篤史以上に不器用な徹はどうしていいのか戸惑うばかり。

そのあたり、新しい交友に積極的な良子と紗英、過去を引きずってな
かなか打ち解けられない篤史と徹が対照的で、女と男の環境への適応
能力の差が共感をもたらす。

       お勧め度=★★★★(★★★★★が最高)

              「愛を積むひと」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150410

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

        「ターナー、光に愛を求めて」  です。

夕暮れ時の空気の変化、窓越しの小さな帆船、船のマストで体感する
荒れた冬の海。それら主人公の感覚でとらえたイメージのみならず、
室内で作業し、食事をとり、討論し、睦み合う場面などのあらゆるシ
ョットが、計算されたライティングによって陰影を際立たせる。一方
向から当てられた光に、照らされた部分はより明るく、影の部分はよ
り暗さを強調され、映画自体をターナーの世界観で表現する試みはマ
イク・リーの丁寧な演出で見事に成功している。光とは何か、それは
希望の象徴であるとともに、心の奥に潜む怒りや憎しみ、不満や恐怖
を呼び覚ますもの。説明的なセリフも胸を打つエピソードもない、そ
れでも映像の圧倒的な力が彼の生きざまを強烈に印象付ける。

欧州スケッチ旅行から英国に戻ったターナーは、助手として働く父、
家政婦のハンナと共に暮らしている。パトロンめぐりやアカデミーで
の人脈づくりに忙しい毎日を過ごすと、またスケッチの旅に出る。

女性科学者から分光器で光の本質を教わり、光に対する分析と理解こ
そが絵画にダイナミズムとリアリズムをもたらすといち早く知ったタ
ーナー。だが、その話をアカデミーで講演しても誰も聞いていない。
さらに自分を大切にしてくれた父を亡くし失意に沈んだりするが、気
難しい表情を変えないため感情は読みづらい。

そんな彼が展覧会で見せる赤い絵の具を使ったパフォーマンスが、タ
ーナーもまた遊び心のある人間だと語っていた。

       お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

                「ターナー、光に愛を求めて」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150328

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

         「皇帝のために」  です。

時に脅えた野良犬のように、時に獲物を狙う野獣のように、そのまな
ざしは孤独と憤懣を湛え近寄る者すべてに敵意をむき出しにする。誰
も頼れない、どこにも行くところがない。物語は、夢破れ自暴自棄に
なった若者が裏社会に転じ、のし上がっていく過程を描く。彼が欲し
たのは、愛と呼ぶにはあまりにも儚い、傷ついた心を癒してくれる束
の間の安らぎ。だが、それを手に入れるためには日々命がけの競争に
勝ち残らなければならない。義理も人情も廃れた韓国ヤクザ、信じら
れるのはカネと自分だけの状況で走り続ける主人公の背中が哀しい。

八百長で球界を追放されたファンは、高利貸しのサンハに拾われ盃を
交わす。ファンはたちまち頭角を現し、サンハから賭博サイトの管理
を任されまでになる。一方でナイトクラブの女・ヨンスに溺れていく。

湾岸地域に聳え立つ超高層ビルと開発を待つマリンリゾート。釜山の
近代化を象徴する風景とは対照的に、サンハたちが身を置くのは欲望
と裏切り・嘘と欺瞞が渦巻く汚れた世界。暴力の箍を外されたファン
は生傷の痛みすら生きている証と感じている。そしてヨンスとのむさ
ぼり合うかのごとき交情に希望を見出していく。

ところが予想以上に結果を残すファンにサンハは危機感を覚え始める。
“忠犬”のうちは可愛がられるが、出る杭になると打たれ、出すぎた
杭は抜かれる。人間社会の縮図が激情を抑えたクールなトーンの映像
に集約されていた。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                「皇帝のために」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150508

    を参考にしてください。

==============================================================

        余|談|
        ━┛━┛

携帯ミュージックプレーヤーのイヤホンを買ったのですが、奮発して
ワイヤレスタイプにしました。

ノイズキャンセリング機能があって、電車のガタゴト音などの日常生
活の雑音を取り除いてくれるそうです。

販売員にどの程度カットされるのかと聞くと、「90%」との答え。でも
実際には雑音はほとんど耳に入ってきます。

あれは雑音を「90%カットする」のではなく「90%にカットする」とい
う意味だったのか。だまされた。。。

==============================================================

      次回配信予定は6/25、作品は
         
        「きみはいい子」
         
              です。

---------------------------------------------------------------

このメルマガは、週2回発行です。

皆様からのご意見、ご要望、感想をお待ちしています。

            otello.com.ua@gmail.com

                         までお願いします。

いただいたメールはこのメルマガで紹介させていただくことがあり
ます。

なお、相互紹介の依頼は受け付けておりません。

最後までお読みいただきありがとうございます。
それでは、よい一日を!

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2002-12-02  
最終発行日:  
発行周期:週3回  
Score!: 98 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。