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こんな映画は見ちゃいけない! 

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ハイネケン誘拐の代償 こんな映画は見ちゃいけない! 

2015/06/13

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2015/6/13   Vol.1665    ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
       「ハイネケン誘拐の代償」  です。

警察は想定通りに動き、人質の家族は気前よく身代金を払うはずだっ
た。十分に手間暇をかけ綿密に練った計画とプロ犯罪者を思わせる洗
練された手口をみせれば、逃げ切れると信じていた。ところが警察か
らは一切反応がなく人質は意外にタフで、目論みはすぐに綻びを見せ
始める。物語は大富豪を誘拐した5人の若者たち徐々に追い詰められて
いく過程を描く。信頼できる仲間に恵まれた幸運に気付かず濡れ手に
粟の大金を夢見る犯人グループは、平気で人を殺すような悪党ではな
く、家族を大切にする気持ちも強い。“裕福とは莫大なカネを持つか
多くの友人を持つか、両方はあり得ない”という老人の言葉通りの行
動をしてしまう彼らの愚かさが哀しくも滑稽だ。

コルは4人の幼馴染と共にビール会社社長・ハイネケンの誘拐を企む。
銀行強盗で得た元手で準備を整え、ハイネケンと運転手を拉致、アジ
トに監禁する。だが、警察は犯行声明を無視、時間だけが過ぎていく。

百戦錬磨のビジネスマン・ハイネケンは早々とコルたちの素性を見抜
き、次々と要求を出す。鎖につながれた状態でも意気軒昂、自分より
も運転手の体調を心配している。一方で警察の出方がわからないコル
たちは神経をすり減らしていくばかり。

このあたり、楽してカネを手に入れようとする短絡的な犯人グループ
と、巨大企業を育て上げたハイネケンの人間の器の違いが明白に出て、
強固な意志こそが運命を切り開いていくことを強烈に意識させる。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

              「ハイネケン誘拐の代償」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150416

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

       「予告犯」  です。

合法な会社では派遣社員というだけで下僕のような扱いを受ける。不
法な業者には山奥の荒れ地で奴隷同様の暮らしを強いられる。一度負
け組に落ちてしまったら、その蟻地獄から二度と抜け出せない、物語
は底辺に押し込められた怒りを爆発させ、世の中に復讐する若者たち
を描く。家族も友人も夢も誇りもすべてどこかに消えた、もちろんカ
ネもない。そんな失うものが何もない人間がほんの小さな動機で大胆
な犯行に走る。そうするしか生きた証を残せない彼らの人生が哀しい。
キャリア警察官に投げかける“がんばれただけ幸せ”の言葉に、チャ
ンスを与えられずに沈んでいく人々の無念が凝縮されていた。

社会に悪影響を及ぼす者たちに鉄槌を下すゲイツ率いる4人組が、ネッ
トの自由を規制しようとする議員を標的にすると予告する。警察は公
安を動員して捜査・警備にあたるが、ゲイツらは警察の裏をかく。

ネットカフェのパソコンを乗っ取り、“予告制裁”を続けるゲイツた
ち。ただ、動画サイト上のパフォーマンスと捜査攪乱が目的とはいえ、
最初の4件は明らかにやりすぎの観があり、悪党をやっつける爽快感よ
り嫌悪感を覚える。それはゲイツらが正義の仕置き人を気取っている
のではなく、愉快犯の一面を見せることで自分たちはアウトローだと
強調したかったからだろう。

正論や大義を振りかざすのではない、少年の願いを叶えるために命を
張る彼らの姿に、ニューシネマのアンチヒーローが重なって見えた。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                「予告犯」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150611

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

       「トイレのピエタ」  です。

画家の夢はあきらめた。漫然としているうちに希望もなくした。バイ
ト先とアパートを往復する日々、漠然とした不安ばかりが大きくなっ
ていく。だが、抗おうともせず埋没するうちに、いつしか末期ガンに
侵されている。物語はそんな主人公が残りの時間をどう過ごしたかを
描く。様々な人と出会い、励まされたり慰められたりするが、やっぱ
り前向きにはなれない。それは自身が抱える恐怖ややり残したことへ
の後悔を他人に知られたくなかったから。他者との交流が触媒となっ
て外向きに展開する通俗的な話法とは一線を画し、社交的でない人間
の“そっとしておいてくれ”という気持ちがリアルに再現されていた。

フリーターの宏は仕事中に倒れ病院で検査を受ける。待合室で知り合
った風変わりな女子高生・真衣を伴って医師から結果を聞かされると、
真衣は宏に一緒に死のう誘い、宏のバイクの後席に乗り込む。

冒頭、宏は高層ビルの窓ふきゴンドラに乗るのをやめる。映画はそこ
で、余命わずかと宣告されたからといって誰もが「生きる」の課長の
ようになるわけではないと宣言する。そのとおり、宏は真衣と会って
もぶっきらぼうなまま、同じ病室のオッサンに話しかけられても反応
は薄い。もちろん心配する両親にも冷淡な対応。唯一小児ガンの子供
に塗り絵を作ってやったのは負い目があったから。

それでも、死を間近で感じ、真衣のエネルギーに触れ、宏はほんの少
し変わる。己にも何かができると気づくのだ。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                「トイレのピエタ」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150612

    を参考にしてください。

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        余|談|
        ━┛━┛

プロ野球で2000本安打を達成した中日の和田選手。今はクールな「輝
く男」ですが、入団当時の映像ではまだ髪はふさふさです。

友人に制服制帽を着る職業に就いた人がいるのですが、彼もまた30代
後半から髪が抜け始め、40歳を過ぎたころから潔くスキンヘッド。

遺伝的要素や体質・食べ物の嗜好、ストレスなど様々な要因の他に、
やはり日常的に帽子をかぶっていることが大きな原因でしょう。

帽子と抜け毛の因果関係が明らかになれば、若年性のハゲは一種の労
災。救済措置があってもいいような気がします。。。

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      次回配信予定は6/18、作品は
         
        「マッドマックス 怒りのデス・ロード」
         
              です。

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