映画

こんな映画は見ちゃいけない! 

映画批評系メルマガで読者数No.1! プロの編集者が簡潔な文章と的確な表現で書き下ろす「1分で読める新作映画批評」です。映画紹介だけのメルマガにはない「本物の批評」を堪能したい方だけご登録ください。

全て表示する >

エレファント・ソング こんな映画は見ちゃいけない! 

2015/06/06

■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □

☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2015/6/6   Vol.1663     ☆
   
□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■

 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
       「エレファント・ソング」  です。

豊かな知性の奥にわずかな悪意を潜ませた瞳、何かを企んでいるよう
だがそう見えるように振る舞っているだけかもしれない。自分の知識
は滔々と披露するが、他人の言葉には耳を貸さず質問には適当に答え
る。一方で無視されるのに耐えきれず相手の興味を引く作り話をする。
物語はそんな、知能レベルは高いが円滑なコミュニケーション能力に
欠ける青年と、彼から情報を引き出そうとする精神科医の駆け引きを
再現する。舞台は精神病院、要介護の患者がほとんどの中、ひとり個
室で思考を巡らせ、両親に構ってもらえなかった記憶に苛まれながら
生きてきた彼にとって、孤独は最大の苦痛。それゆえに編み出した、
関心を持ってもらうための魅力的な虚構の話し方が哀しく切ない。

ローレンス医師が失踪、院長のグリーンはその事情を患者のマイケル
から聞きだそうとするが、はぐらかされてばかり。元妻でもある看護
婦長のピーターソンを侮辱されて、思わず手を上げてしまう。

ゾウの薀蓄をひけらかし、ゾウのぬいぐるみを大切にするマイケル。
巧みな話術にグリーンはのせられて、嘘かホントかわからない話を聞
かされた挙句、結局何も得られない。平静を保とうとしてもつい苛立
ち、医師と患者という立場は反転し、完全に主導権はマイケルに移る。

そのあたりの、マイケルが垣間見せる心の深淵とそこを覗き込もうと
するグリーンの姿をとらえた寒色系の映像は、老若が逆転した“レク
ターとクラリス”の関係を屈折させた濃厚な死臭を漂わせていた。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

              「エレファント・ソング」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150402

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

       「ロスト・リバー」  です。

家族の幸福が朽ち果てていくかのような放置されたマイホーム。廃墟
はそのまま残された人々の人生を象徴し、今や無法者がのさばってい
る。映画は不況の影響をモロに受けた町から抜け出せない母子家庭を
通じ、行き詰まった暮らしの閉塞感を再現する。それは極彩色なのに
うらぶれた、美しいのに腐臭が漂う夢の残骸。ほとんど価値がなくな
っても住んでいる限りローンの支払いは続く、かといって新天地でや
り直す気力もない。もはや貧困層の一歩手前、それでもこの町にしが
みつき何とか生き延びようとする彼らの姿が切ない。ファンタジック
だがノワールな香りもする思わせぶりな映像の数々はメタファーに富
み、主人公の運命を予感させる。

銅線を盗んでカネに換えていたボーンズは、町のギャング・ブリーと
トラブルを起こし目をつけられている。ボーンズの母・ビリーは借金
返済のために銀行から紹介された怪しげなショーパブで働き始める。

動物園跡を根城にし、巨大なオープンカーで街の支配者であると喧伝
するブリー。縄張りを荒らす者のみならずヘマをした部下にまで残忍
な制裁を加える凶暴な性格だが、競争相手のいないこんな場所でしか
権勢をふるえないショボさがギャングとしての器量を物語る。一方で、
ビリーが勤めるショーパブでは夜毎奇怪な見世物が演じられる。

暴力と退廃・血とセックス・水と炎の強烈なイメージが、もがけばも
がくほど堕ちていくこの作品の世界観を見事に表現していた。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                「ロスト・リバー」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150604

    を参考にしてください。

==============================================================

        余|談|
        ━┛━┛

AKB48メンバーらの写真を大量に複製し、販売した男が逮捕されました。
グラビア誌などからスキャンして加工、ブロマイドとして販売してい
ました。

ブロマイドの実物を見ましたが、“写真”としてのクオリティは高く、
元の雑誌の写真とそん色ないほど。スキャナーの性能や加工ソフトが
いかに進歩しているかがうかがわれます。

年商3億円と報道されていましたが、著作権を侵害されたカメラマンや
出版社は被害額の算定が難しく、民事裁判を起こしてもほとんど賠償
金は取れないでしょう。

結局、容疑者も初犯なら執行猶予どまり。中国あたりで同じことをさ
れたらもはやお手上げではないでしょうか。。。

==============================================================

      次回配信予定は6/11、作品は
         
        「ライアの祈り」
         
              です。

---------------------------------------------------------------

このメルマガは、週2回発行です。

皆様からのご意見、ご要望、感想をお待ちしています。

            otello.com.ua@gmail.com

                         までお願いします。

いただいたメールはこのメルマガで紹介させていただくことがあり
ます。

なお、相互紹介の依頼は受け付けておりません。

最後までお読みいただきありがとうございます。
それでは、よい一日を!

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2002-12-02  
最終発行日:  
発行周期:週3回  
Score!: 98 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。