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こんな映画は見ちゃいけない! 

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ハンガー・ゲーム こんな映画は見ちゃいけない! 

2015/06/04

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2015/6/4   Vol.1662     ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
      「ハンガー・ゲーム FINAL:レジスタンス」  です。

賽は投げられた。己の意志とは関係なく運命が動いていく。なすべき
は反乱軍と民衆の士気を高めること。いまや命は自分だけのものでは
ない、それでも彼女は家族と、共に戦った仲間のために危険に身を投
じる。物語は、独裁政府主催の殺人競技会を勝ち抜いたヒロインが、
反政府組織にスカウトされ、希望のシンボルという使命を全うしよう
とする姿を描く。もちろん戦士としてのサバイバル能力は証明済み、
だがそれ以上に、反乱軍が彼女のカリスマ性を最大限に引き出そうと
イメージ戦略を重要視しているあたりがユニーク。インパクトがあり
共感をもてる映像によるプロパガンダが非常に影響力を持つのだ。

脱出し保護されたカットニスは、反乱軍に協力を要請され、政府の人
質となったピータと戦友たちの奪還を条件に承諾する。彼女を主役に
仕立てた動画は大きな支持を得、反政府勢力は反撃の狼煙を上げる。

政府は徹底的な弾圧で対抗すると同時に、ピータに停戦を呼びかけさ
せる。すっかり洗脳されやつれたピータにカットニスは心を痛めるが、
もはや個人的な感傷は許されない。一方で約束を果たすための作戦は
粛々と実行に移される。

大規模な蜂起と志願兵による決死行、自由への渇望が巨大なうねりと
なった民兵が武装した政府軍の前に立ちはだかるシーンと、精鋭部隊
が敵地で繰り広げるスリリングな攻防がシンクロし、映画は壮大なヒ
ューマニズム賛歌に昇華される。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

              「ハンガー・ゲーム FINAL:レジスタンス」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150428

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

       「あん」  です。

荒れた手肌、手首にできたこぶ、曲がったままの指。高齢だからでは
ない、忌み嫌われた病気だったから。でも彼女が作るつぶあんは舌を
とろけさせる。小豆の声に耳を傾け、じっくりと愛情深く煮込むから。
映画は、自由に生きる権利を奪われた老婆が取り戻した、ほんのわず
かな時間を描く。彼女がつぶあんを通して希望を失った男と娘に伝え
たかったのは、運命に立ち向かえというメッセージ。己に非がないの
に、国家による隔離で人生を台無しにされた彼女にとって、自分の選
択と責任で未来を選べる幸運に気づかない2人は甘ったれた存在でしか
ない。それでも恨みごとを口にせず、淡々と事実を語る彼女の言葉の
重さが心にしみる。目に見えない差別は今もなくなっていないのだ。

千太郎が働くどら焼き屋で働き始めた徳江。彼女があん作りを担当し
てから店の評判が上がり行列ができる。一方で、店の常連の中学生・
ワカナも徳江と打ち解ける。だが、心無いうわさが立ち始める。

徳江の真摯な働きぶりを知っている千太郎はもちろん彼女に好感を抱
いている。感染しないと学んだワカナも徳江への距離を変えたりはし
ない。にもかかわらず、なんとなく人々が持つハンセン病への嫌悪感
が透明なバリアとなってどら焼き屋を遠ざける。

決して悪意があるわけではない、無知と無理解が芽生えさせる不安が
生み出す警戒心にさらされ続けた徳江の、慣れともあきらめとも見え
る無表情が胸を圧迫する。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                「あん」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150602

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

       「新宿スワン」  です。

“スカウトした女に幸せと言わせる”と、縮れた金髪を逆立てて吠え
る男。若い女たちに片っ端から声をかけ、「女の接客業」を紹介する。
決して彼女たちを食い物にせず、気持ちよく働かせて感謝されること
を天職と心得る主人公に、仕事の本質を教えられる。商品である女た
ちをこまめにケアしてやる気を持たせれば、欲望を吐き出しに来る客
が気前よくカネを落とす。進退窮まって街を歩いていると、スカウト
した女たちのみならず喧嘩したチンピラたちまでが沈んだ顔の彼を気
遣う、「みんな大好きだバカヤロウ」と叫ぶ姿は、惜しみなく与えた
愛は巡り巡ってきっと自分に戻ってくると訴える。

裏組織バーストの幹部・真虎に拾われた龍彦は、新宿歌舞伎町のスカ
ウトマンになる。だが、ライバル組織・ハーレムとの抗争が表面化し、
他幹部の画策で事態は二転三転、龍彦は人身御供にされかける。

そこで語られるのは、カネがすべて、カネを稼ぐやつが偉いという冷
徹な理論。義理や人情よりも、競争相手を出し抜く知恵がなければ生
き残れない。密かに敵と手を組み、身内を利用したりもする。そんな
世界だからこそ、人間としての信頼は必死で守ろうとする龍彦の、バ
カだけれど一途な熱い思いが輝いて見える。

自殺したキャバ嬢のために本気で泣き、シャブ漬けヘルス嬢を命がけ
で救い出す。カネも力もない下っ端の、男気にあふれた暴走がかえっ
て魅力的に見えた。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                「新宿スワン」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150603

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

       「イニシエーション・ラブ」  です。

カーステレオのテープ、黒電話、DCブランド、エアジョーダン、テレ
ホンカード、小物ポーチ、ハイレグ水着、クリスマスのディナー、オ
フィスでタバコを吸うOLetc. 1987年の空気をディテール豊かに再現
した映像には懐かしさがこみあげてくる。そこで繰り広げられるのは
 “モテ至上主義”の恋愛マニュアル本には書かれていなかった、恋の
始まりと終わりの切ない物語。偶然手に入れた幸福と、愛し合ったふ
たりに溝ができ心が離れていくつらさ、それら移ろいゆく恋人たちの
心情がリアルだ。そして登場人物の状況を代弁する名曲の数々。この
時代の曲ではないけれど、遠距離恋愛カップルの別れを歌った「木綿
のハンカチーフ」の使い方が絶妙で、思わず涙がこみ上げてくる。

冴えない大学生・鈴木夕樹は合コンでマユと知り合う。マユの虜にな
った鈴木夕樹は彼女をデートに誘うが、マユはなぜか彼を“タックン”
と呼ぶ。やがてふたりはクリスマスイブを一緒に過ごす約束をする。

ジョギングをこなすスリムな鈴木は地元企業に就職するが東京転勤を
命じられる。ところが、週末にしかマユに会えない鈴木は職場の同僚
・美弥子と付き合いはじめる。

もちろんそれは“驚愕のラスト”への伏線なのだが、この程度のどん
でん返しならば短編にまとめたほうがスピーディで引き締まった感じ
になったはずだ。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                「イニシエーション・ラブ」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150601

    を参考にしてください。

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        余|談|
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銀座クラブのママが馴染み客と寝るのは「不倫」か「枕営業」かで、
裁判所が「枕営業」という判決を出した件で、朝日新聞は反対の見解
を出しています(6/3朝刊)

もちろん、配偶者以外と肉体関係を持つのは法的に「いけないこと」
なんでしょうが、それを字義通り解釈するのはいかにも朝日的。

大体、新聞記者だってネタ元に枕営業をかけることもあるはず。それ
を認めたくないのは、この記者がモテない人生を送ってきたからでし
ょうか。

かつて「バナナ不倫」で世間をにぎわした朝日新聞の記者もいました
が、彼の見解も聞いてみたいものです。。。

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      次回配信予定は6/6、作品は
         
        「エレファント・ソング」
         
              です。

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