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こんな映画は見ちゃいけない! 

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国際市場で逢いましょう こんな映画は見ちゃいけない! 

2015/05/16

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2015/5/16   Vol.1657     ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
            「国際市場で逢いましょう」  です。

戦乱の中で生き別れになった父が残した“家長として家族を守れ”と
いう言葉が少年の運命を決める。働きづめの母に楽をさせるために、
優秀な弟を大学に進学させるために、妹にきちんとした結婚式を挙げ
させるために、彼は自分の夢を犠牲にして泥にまみれ血を流しカネを
稼ごうとする。物語は、そんな男が駆け抜けた激動の時代とともに韓
国史をたどる。国中が貧しかった、みんな生きるのに必死だった、そ
れでもがんばれば豊かになれる希望があった。何より苦労を厭わず勤
勉であり続ける主人公の姿は、労働の尊さと喜びを実感させてくれる。
そして家族の絆こそが人を強くし人生に豊穣をもたらすと訴える。

朝鮮戦争で難民となったドクスの一家は混乱の中で父と妹がはぐれ、
残された母・弟・妹とともに釜山の叔母を訪ねるが、休戦によって故
郷に戻れなくなる。そこで新生活を始めるうちにダルグと親友になる。

露店の闇市や米兵にチョコレートをねだる光景はまるで占領下の日本
のよう。生き馬の目を抜く環境で育ったドクスはたくましく成長し、
炭鉱夫として西ドイツに出稼ぎに行き、現地で出稼ぎ看護師のヨンジ
ャと恋に落ちる。地底での石炭堀りと老人や死体の清拭、発展途上国
からの就労者に3K労働を押し付ける構造は現代と同じ。変わったのは
韓国が受け入れる側になったことだろう。

このあたり、国家繁栄の基礎を築いた世代に敬意を示す一方、高齢化
した彼らが経済発展の阻害原因でもある21世紀の現状と対を成す。

       お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

                     「国際市場で逢いましょう」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150406

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

       「駆込み女と駆出し男」  です。

女のプライド、浮気とDV、家族の仇討…、身分も原因もそれぞれ違う
けれど、離縁したいと願う気持ちは皆同じ。今のままでは自分が壊れ
てしまうと思い詰めた妻たちが、尼寺に身を寄せる。物語は、そんな
女たちの聴き取りと世話をする御用宿に居候する男の目を通して、江
戸時代末期の離婚事情を活写する。室内での登場人物のやり取りは短
いショットの積み重ねとテンポの速い会話で畳み掛け、落ち着いた外
観の古寺や境内でロケした屋外のシーンはしっとりとした四季の移ろ
いが映像に彩りを添える。その間、エピソードごとの緩急の変化に戸
惑いつつも、いつしか人情味あふれる主人公の言動に引き込まれる。

医者見習いの新次郎は宿の記録を基に戯作に励んでいたが、暴力夫か
ら逃げてきた鍛鉄師・じょごの顔の火ぶくれを治療するうちに心を通
じ合わせる。だが、じょごは縁切り寺・東慶寺に入山してしまう。

男への不信感をぬぐいきれないじょごは、最初、新次郎に拒否反応を
示すが、徐々に彼の人柄に胸襟を開いていく。働き者のじょごは入山
後も薬草園を作り、新次郎と密会したりもする。一方、新次郎も医者
として東慶寺内に病人の往診に向かうが、男子禁制の世界での振る舞
いが絵に描いたようにコミカルだ。

映画は、時代劇とは思えない情報量と展開の速さで、頭をフル回転さ
せなければついていけない。それゆえ、2時間20分を超す上映時間の長
さを忘れてさせてくれた。

       お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

                「駆込み女と駆出し男」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150214

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

        「ゼロの未来」  です。

高性能計算機と大型ディスプレイの横でアンティークの電話がベルを
鳴らしている。古い教会はひとりで暮らすには無駄に空間が広い。厳
重に鍵をかけたドアから一歩外に出ると、人工的なカラーに彩られた
街や小型のクルマ、しつこく付きまとう電子看板などがまがまがしい
毒気を吐き出している。物語は近未来ともパラレルワールドとも解釈
できる、コンピューターネットワーク化が発達してはいるがそれ以外
の文明は確実に退化した時代、“人生の意味”を探しつつ難解な数式
に挑む主人公の孤独を描く。洪水のごとく押し寄せるユニークな映像
は脳を直撃し、イマジネーションの限界を一気に広げてくれる。

IT技術者・コーエンは、1本の電話を待ちながらプログラムの研究を続
けている。ある日、経営者に在宅勤務を訴え叶えられるが、想像を絶
するハードな謎・ゼロの定理の解明を求められる。

何度挑戦してもゼロの定理は一向に証明できない、一方パーティで知
り合った美女・ベインズリーがコーエンを訪れ、誘惑する。さらに天
才プログラマー・ボブの助けを得て、ベインズリーとネットを通じた
交歓を可能にする。自分自身を“I”ではなく“we”と複数形で呼ぶコ
ーエンは、日常生活をマシンに依存し己の意志でさえも共有されてい
ると思っているのだろう。

赤いコスチュームに身を包んでオンライで結ばれたベインズリーと至
福の時を過ごすコーエンの恍惚とした表情が、生きづらさを象徴する。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                   「ゼロの未来」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150306

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

    「スポンジ・ボブ 海のみんなが世界を救WOO!」  です。

黄色の四角い顔に大きな目玉、厨房で働くのが楽しくてたまらない。
何よりも大好きなのは、このお店が提供する絶品のバーガーを作って
街のみんなに食べてもらうこと。物語はそんな主人公が盗まれたレシ
ピを取り戻そうとする姿を描く。それはまだ誰も経験のない冒険の旅、
その過程で彼はチームワークの大切さを説き、敵対関係にある者とも
一時的に協力する。前半、海底都市で繰り広げられる海棲生物たちの
ドタバタ劇は緻密で繊細な日本製アニメを見慣れた身には古臭さすら
感じる。だが地上に舞台を移した後半は一転、実写とCGアニメの合成
で見せるアクションは手に汗握るスピード感に満ちている。理屈やつ
じつまの合わない世界観に身を浸せば童心に帰れるはずだ。

バーガー店の従業員・ボブは、ライバル店のプランクトンと秘密のレ
シピを奪い合っていたが、突如レシピが消える。レシピ泥棒の汚名を
雪ぐためにボブはバーガーの香りをたどってビーチに上陸する。

アントニオ・バンデラス扮するひげの海賊が“お宝”を手に入れるプ
ロローグ、ジャック・スパロウとインディ・ジョーンズを足したよう
なキャラクターが強烈だ。彼は海底都市の運命を記述した魔法の書の
結末を書き換えた上、カーニのレシピを元にバーガー店を始めるが、
その際に海賊船をキッチントラックに改装する。

いかにもカジュアルな開店の方法が、子供のころから起業精神を叩き
込まれている米国人の考え方を象徴していた。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                   「スポンジ・ボブ 海のみんなが世界を救WOO!」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150327

    を参考にしてください。


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        余|談|
        ━┛━┛

「お嬢様聖水」。ある種の趣味を持つ男性にはよだれが出そうなネー
ミングですが、美容と健康のためのエナジードリンクです。

珍しさから1本買って飲んでみたのですが、ありがちなガラナ臭さはな
く、マイルドな薬草を微炭酸に溶かしたような味わいです。

これを飲めば元気ハツラツというような効き目はありませんでしたが、
気分が落ち着くような気がしました。

ただ、東京メトロの売店で買うと1本210円なのに、amazonではなぜか
最安値でも490円! 送料を考えると500円以上になりますが、そこま
での価値はありません。。。  

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      次回配信予定は5/21、作品は
         
        「メイズ・ランナー」
         
              です。

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