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こんな映画は見ちゃいけない! 

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ブラックハット こんな映画は見ちゃいけない! 

2015/05/08

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2015/5/8   Vol.1655     ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
            「ブラックハット」  です。

デジタルの森の奥深くに侵入したマルウェアが小さな輝点となって目
覚め、瞬く間に周囲に感染していく。二進法の配列は次々と秩序を失
い、それ自身が意志を持っているかの如く増殖したウィルスはたちま
ちシステムを制御不能に陥れる。プロローグ、ミクロの世界で繰り広
げられる悪意の汚染を視覚化した映像は、ストレートにコンピュータ
ーウィルスの脅威を訴えてくる。物語は、米国人天才プログラマーと
中国軍技術者がサイバーテロ犯を追う姿を描く。発信元を特定できな
い通信、末端の使い走り、武装したボディガードなど、幾重にもめぐ
らされた防護措置が、21世紀型犯罪の捜査の難しさを象徴する。

香港の原発とシカゴの穀物市場でコンピューターが乗っ取られる。中
国軍のチェンは、事件解決には学生時代の親友・ハサウェイの能力が
不可欠と考え、服役中の彼の釈放を米国政府に要請する。

米国にたびたびサイバー攻撃を仕掛ける中国軍が協力を求める厚顔さ。
だが、米国も自国の施設が被害を受けているために渋々承諾する。そ
の、政治的な駆け引きと、犯人が残したわずかな痕跡を追跡うちに米
中双方の捜査員が力を合わせて行く過程が、同じ“敵”と戦えばお互
いに理解は深まることを教えてくれる。

さらにハサウェイはチェンの妹・リアンと恋に落ち、ここでも米中の
融和が図られる。このあたり、今日のハリウッド映画がいかに中国市
場を重要視しているかがうかがえる。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                     「ブラックハット」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150323

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

   「小さな世界はワンダーランド」  です。

地上10センチほどの視点から見た世界では、巨木は天に届くほど高く、
ドングリは岩のごとき大きさ、枯れ川は渓谷に思えるほど深い。厳し
い環境ゆえいまだ開発の手が入っていない寒冷地の原生林と灼熱の砂
漠、カメラはその2つの地で初めてのサバイバル挑む小さな動物の成長
を追う。巣穴から通り道・ライバルや天敵との遭遇にまでレンズを向
け、まるで演出されたようなドラマティックな物語は、大自然の中で
生きる小動物の生態に対する興味以上に、“どうやって撮影したのか”
という驚きに満ちている。まさしく筋書きのあるドキュメンタリー、
映画の可能性を広げるまったくユニークな体験だった。

越冬のためにドングリをため込む若いシマリスは、年長のシマリスに
ドングリを盗まれているのに気づくが、あっさり追い払われる。アリ
ゾナの砂漠ではバッタネズミの子が巣立ちの時に備えていた。

ミミズクに襲われ間一髪逃げるシマリスや、ガラガラヘビの毒牙を紙
一重でかわす子ネズミなど、手に汗握る場面が目白押し。特にシマリ
ス同士の争いは香港製ワイヤーアクションを彷彿させる空中での激し
い動きとスピード感で興奮すら覚えた。さらに猛禽に追い詰められた
子ネズミが大型動物の頭蓋骨に隠れるシーンなど、調教された動物が
“演技”しているかよう。

これらの映像を収めるために費やされた膨大な時間と手間がスクリー
ンからひしひしと伝わってくる。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                「小さな世界はワンダーランド」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150326

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

        「イタリアは呼んでいる」  です。

降り注ぐ陽光、緑豊かな田園地帯、石畳の街道と石造りの建物、穏や
かな海、滋味豊かな料理etc。イメージそのままのイタリアを2人の中
年男がオープンカーで縦断する。ところがいつしか彼らの旅は映画談
議に変わっていく。ハリウッドの名作から英国の名優まで、名場面の
モノマネを交えながら胸にたまった思いを吐き出していく姿は、親友
だからこそ弱音を聞かせたくない、本心を知られたくないささやかな
男のプライド。もう若くないけれどまだ第一線で頑張れる、ひとりで
も大丈夫なフリをしているが本当は家族が恋しい。バイロンの放蕩に
憧れているのだろう、だが築いてきたキャリアを捨てる勇気もない。
そんな、人生の終盤を前に揺れ動く彼らの心がほのかな共感を呼ぶ。

イタリアグルメ紀行の取材に赴いたスティーヴとロブは早速ピエモン
テのレストランに入り、ランチを楽しむ。舌鼓を打ったもつかの間、
「ダークナイト」の話に脱線すると、食事そっちのけで盛り上がる。

地元の有名なレストランを回り、宿泊するのも由緒あるホテル。しか
し、素材や調理法に関する薀蓄を語るわけでもなく、ただただテーマ
のないヨタ話を繰り返す。その間、ロブはボートの乗組員をナンパし
たりホテル従業員にキスしたりと女には抜け目がない。

事件に巻き込まれるわけでもない、重大な危機に陥るわけでもない。
ふたりだけのドライブで、彼らはお互いをフィルターにして自分の生
き方を省みているのだ。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                   「イタリアは呼んでいる」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150505

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

          「映画 ビリギャル」  です。

知識も常識も小4レベルの女子高生、本人は無知をさらけ出しても一向
に悪びれないが、父親にも先生にもバカだのクズだの罵られている。
ところがどんな珍解答もポジティブにとらえる熱血塾講師との出会い
で、彼女は己を肯定してもらえる喜びに目覚める。物語は難関大学合
格を宣言したヒロインが誘惑や挫折を乗り越え実現するまでを追う。
大切なのは自分の可能性を信じ、目標を口にして努力する態度を見せ
て周囲の協力を得ること。学力のみならず人間的に成長し、彼女が家
族や友人に影響を及ぼす姿を正攻法で描いた映像は “意思のあるとこ
ろに道は開ける”というメッセージをストレートに投げかけてくる。

喫煙が発覚し無期停学になったさやかは子別指導塾の坪田を訪ねる。
あまりの知力に低さに坪田は驚くが、根気よく学習法を伝授しつつ、
“慶応合格”を目指すように誘導、さやかは猛勉強に励み始める。

坪田の教え方は丁寧かつ具体的、そして絶対に相手を否定しない。さ
やかは坪田の期待に応える以上に知性を鍛え思考する楽しさを知る。
やがて坪田との二人三脚はいつしか母や塾の生徒を巻き込んでいく。
もちろん模試の判定に心が折れた時もあるが、もはや“慶応合格”は
彼女だけの問題ではなくなっている。逃げ出したくても逃げ出せない、
“人生そんなもん”と投げやりだった彼女が1年ほどで変身する。

その過程は、きちんとした戦略があれば、あきらめなければ(大学入
試程度の)夢は叶うと教えてくれる。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                   「映画 ビリギャル」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150506

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

          「あの日の声を探して」  です。

目の前で家族を虐殺され、赤ちゃんと脱出した少年。強制的な軍務の
中で常識が麻痺していく若者。誰ひとり救えない現実を目の当たりに
して無力感に打ちひしがれる職員。20世紀末のチェチェン、映画は派
兵されたロシア軍新兵と難民となったチェチェン人少年の目を通して、
戦争の真実をあぶりだしていく。極限状態で良心をすり減らしていく
ロシア兵に対し、孤独と不安に耐えながらも命の重さを忘れない少年。
もちろんチェチェン人が弾圧される側であるのは変わらない。しかし、
ロシア人が“兵器”に作り替えられていく過程は、結局、戦争に勝者
はいないと教えてくれる。そして、安全な場所から手を差し伸べるだ
けでは当事者の苦しみは解決しない人道援助の限界を提示する。

ロシア軍制圧地域から逃げ出したハジは弟を民家に預けて町にたどり
着き、難民の聞き取り調査をするEU職員のキャロルに保護される。言
葉を失ったハジにキャロルは理解を示しつつも苛立ちを隠せない。

ハジは弟を捨てた自分を責めているかのよう。まだ9歳の子供なのに、
平和な国の人間の一生分以上の哀しみを背負ってしまった。口を閉ざ
した上に感情まで消してしまったハジと暮らすうちに、キャロルは己
に何ができるのかを問う。

だが、国連でのキャロルのスピーチに耳を傾ける傍聴者は少ない。そ
の緩んだ空気が、ハジのような悲劇は世界中でありふれた出来事のひ
とつにすぎないと物語っていた。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                   「あの日の声を探して」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150502

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

          「ラスト5イヤーズ」  です。

夢は叶わず、結婚生活にも破れ、美しかったあの頃はもう戻ってこな
いと嘆く売れない女優。学生時代にチャンスをつかみ、愛する人とと
もに未来へ進もうとする作家。出会ったときはお互いが運命の人だと
直感した。別れた後では必然と納得した。映画はNYで一旗揚げようと
する20代カップルの5年間の軌跡を追う。女優の視点から見た物語は、
現在から過去へとエモーショナルにさかのぼることで男の身勝手さを
糾弾する。作家は時間軸に沿ってエピソードを積み重ね、女心の扱い
づらさを伝えようとする。複雑に交錯するふたりの思いを訴える歌の
数々、それは、屈辱と成功、挫折と希望、不信と愛という、相反する
感情だ。

ジェイミーに去られたキャシーは悲しみに暮れながらもすれ違いの日
々を思い出す。オーディションに落ち続ける彼女は、年ごとに有名に
なっていくジェイミーの“お飾りの妻”の座が我慢ならない。

一方、習作が認められて出版されたジェイミーは一躍文壇の寵児とな
り、以後もベストセラーを連発させる。その過程は、努力はしている
のに報われないキャシーと対照的。

キャシーはもう若くないと気づかされて焦り苛立ち、理解しようとし
ないジェイミーの態度が鼻につく。刺激し合うような対等な立場でい
たいのに、圧倒的な差がついてしまった。にもかかわらず己の生き方
を変えられないキャシーのプライドが痛々しかった。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                   「ラスト5イヤーズ」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150504

    を参考にしてください。

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        余|談|
        ━┛━┛

韓国政府が、今度はユネスコの、明治時代日本の産業革命遺産登録勧
告に対してイチャモンをつけてきました。

まったく時代が違うのは明白なのに、なんでも反日に結びつけるあの
国のメンタリティはもはや北朝鮮レベルにまで落ちたと言ってもいい
でしょう。

停滞する経済と国の無策に対する批判をかわすための常套手段、よほ
ど政権は行き詰まっているのでしょう。

そのうち、「関東大震災のとき大勢の朝鮮人が殺された」といって、
東京オリンピックにまで反対するかもしれませんね。。。

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      次回配信予定は5/14、作品は
         
        「真夜中のゆりかご」
         
              です。

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