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こんな映画は見ちゃいけない! 

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フォーカス こんな映画は見ちゃいけない! 

2015/05/01

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2015/5/1   Vol.1654     ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
            「フォーカス」  です。

お祭り騒ぎの雑踏、混雑したレストラン、旅行者であふれる空港やホ
テルのロビーetc. 思い切り遊ぼうとやってくる老若男女をカモにす
る詐欺師組織は、無防備なポケットやバッグから財布を抜き取り仲間
にパスする。さらにアクセサリー類をはずし、クレジットカードのス
キミングや偽ATMの設置など、効率的に他人の財産を密かに奪う。もは
や芸術的といえる手業から心理学の応用まで、人間の意識と先入観の
スキをついた知能犯罪の数々は爽快感すら覚える。映画は、詐欺師集
団のボスが若く美しい教え子との微妙な関係に葛藤しながらも巨大な
罠を仕掛ける姿をスタイリッシュに描く。半人前のころは“女”扱い
していなかったのに、洗練された彼女と再会すると自分のものにした
くなる、そんな主人公の嫉妬が男のわがままを象徴していた。

高級レストランでジェスに声をかけられた詐欺師のニッキーは、彼女
のハニートラップをあっさり躱す。ジェスはニッキーに弟子入りを志
願、ニューオーリンズでのミッションに加えてもらう。

観光客相手に手堅く稼いだ後、ニッキーとジェスはフットボールの試
合場で中国人ギャンブラーに賭けを始める。最初は1/2前後の勝率で少
額、徐々に金額をUPし最後には200万ドル超に吊り上げる。勝算ゼロに
近い無謀なギャンブルにジェスはひるむがニッキーは自信たっぷり。

小金なら現場での判断で盗めるが、大金をせしめるにはカネと時間を
惜しまぬ綿密な準備が必要であるとニッキーはジェスに教えていく。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                     「フォーカス」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150318

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

   「リベンジ・オブ・ザ・グリーン・ドラゴン」  です。

夢の新天地を期待していたわけではないが、待っていたのは劣悪な環
境での過酷な生活。選択肢は二つ、このまま奴隷のような人生に甘ん
じるか、命を捨てる覚悟でギャングになるか。物語は1980年代、中国
から密入国した少年が裏社会の洗礼を受け、愛と友情のはざまで葛藤
する姿を描く。対立し抗争を繰り返すチンピラたち、移民社会のもめ
事には無関心の警察、そして不法滞在者を仕切る女ボス。誰にも頼れ
ない状況で直感を信じて進む主人公の哀しい視線が胸に突き刺さる。

NYに密航したサニーは、同い年のスティーブンの母親に預けられる。
中国系マフィア・青龍に入会したスティーブンはサニーも仲間に加え
る。数年後、成長したサニーは香港歌手の娘・ティナに恋をする。

清龍のボス・ポールは柔らかい物腰で暴力臭を消し、中国系刑事とも
うまく付き合っている。おかげで死人が出ても中国人だけで解決する
ことができる。ところが、古くからのチャイナタウンのボス連中には
相手にされず小僧扱い。そんな現状を変えるべくポールはヘロイン取
引に手を出し、香港からの密輸の手配をサニーに任せる。一方で上納
金欲しさに親戚の麻雀店を襲うなど、次第に組織内での立場を失って
いくスティーブン。

ガキの頃は面倒を見てくれても、大人になって役に立たない者は容赦
なく切り捨てられる。映画は厳しい掟に翻弄され、己を見失い、心が
荒んでいく彼らの苦悩を、暗く沈んだ映像で再現する。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                「リベンジ・オブ・ザ・グリーン・ドラゴン」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150314

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

        「Mommy マミー」  です。

わが子に快適な暮らしをさせたいと願う母、母の思いを正面から受け
止めようとする少年。ふたりはお互いを見つめるあまり、“普通”か
らはみ出てしまう。あまりにも不器用な母と子、極端に幅の狭い画面
サイズが彼らが感じる窮屈さ象徴する。物語は多動性障害の少年と彼
の母が、世間に馴染もうと奮闘する姿を描く。感情の昂ぶりと衝動を
抑えきれない息子に手を焼きながらも、彼を異物扱いする者には徹底
的に抵抗する母。日本の障害者家庭ように、周囲に配慮したり、迷惑
をかけても謝ったりはしない。ハンデを背負った人間が誇り高く生き
る、それがどれほど険しい道なのかこの作品は教えてくれる。

ADHDのスティーヴを退院させ自宅に引き取ったダイアン。ある日、失
語症のカイラと知り合い、生活に変化が生まれる。カイラもスティー
ヴの勉強をみるうちに、彼の症状に共感し、徐々に吃音が改善さる。

トラウマを負ったカイラも、ダイアンとスティーヴが偏見を持たずに
受け入れてくれたおかげで少しずつ変わっていく。初めて出会った心
を許せる他人、彼らの人生は突然外に向かって開け、それに伴ってス
クリーンサイズも横に広がる。

傷つかないようにとまとっていた鎧を外せば、こんなにも世界は違っ
て見える。障害者なりの自分らしさとは何か、ほんのわずか理解を示
してやれば彼らも適応できるかもしれない、映画はそんな可能性を提
示する。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                   「Mommy マミー」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150430

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

          「寄生獣 完結編」  です。

密かに、そして確実に個体数を増し、社会に根を張っていく寄生生物。
そのうちの1体と運命共同体となった主人公は、悪意の寄生生物を狩っ
ていく。警察に助けは求められない、普通の人々を巻き込むわけにも
いかない。中立的な寄生生物との協定を得て、戦い続けるしかない。
物語は右手を乗っ取った寄生生物に命を救われ心身を増強された高校
生が、敵対する最強の寄生生物と最終決着をつけるまでを描く。前作
で提示された、“環境に悪影響を及ぼす人間の不要論”は陰を潜め、
逆に感情が宿る個体が現れるなど、相対的に人間の価値は上がってい
る。守るべきもののための自己犠牲、寄生生物にはない“愛”こそが
人間を崇高な存在たらしめているのだ。

人間との共生を図る田宮派と、人間を敵視する後藤派の緊張状態が続
く寄生生物界。後藤派が新一とカメラマンの娘を襲ったためバランス
が崩れる一方、警察の特殊部隊が寄生生物一掃作戦を開始する。

その間、田宮は出産した自分の子供を育てるうちに“笑い”を経験す
る。本能と理性しかない寄生生物として生きるよりも、愛する者を育
てる喜びを知り、彼女もまた成長する。だが、愛ゆえに強くなれるが、
愛は弱点にもなる。

赤ちゃんの代わりに銃弾を浴びる田宮は、心とは何か理解したはず。
同時に、脳の深い部分に眠る人間だったころの記憶も少しは取り戻し
たに違いない。

       お勧め度=★★(★★★★★が最高)

                   「寄生獣 完結編」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150429

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

          「シンデレラ」  です。

勇気と優しさを失わなければどんな困難にも立ち向かっていける。母
にそう教えられて育った娘は、継母と義姉たちのいじめに耐え幸運を
信じて待つ。今回は王子との運命を印象付けるためのセレンディピテ
ィを加え、ロマンティックな味付けがなされている。そして、じらし
作戦で男心を翻弄し、謎めいた雰囲気を持たせて関心を持続させる恋
のテクニックも披露する。継母を演じたケイト・ブランシェットの圧
倒的な存在感がヒロインを小さく見せるのは、カネに目がくらむ女は
増えても純真な娘は少なくなった現実を反映しているからなのか。

父の死後、後妻と連れ子の二人の姉から召使のような扱いを受けてい
たエラは、ある日森で身分を隠して狩りをする王子と出会う。エラに
一目ぼれした王子は彼女を探し出すために舞踏会を催す。

舞踏会に国中の独身娘を招待した王子。だが継母は、エラのドレスを
破いてエラを置いてきぼりにする。暗がりから現れた魔女がエラに魔
法をかけ舞踏会に参加させ、王子のハートを射止めるが、12時の時報
と共に走り出してガラスの靴が片方脱げる展開は、おなじみのストー
リーを踏襲する。トカゲとアヒル、カボチャとネズミが、疾走しなが
ら元の姿に戻っていくプロセスがコミカルで楽しめる。

もちろんエラは希望を捨てないが、積極的に戦って勝ち取ろうという
姿勢はない。このあたり、現代的な解釈を加えないオーソドックスな
シンデレラ像がかえって安心して見ていられる。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                   「シンデレラ」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150501

    を参考にしてください。

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        余|談|
        ━┛━┛

コメンテーターを入れ替えて1カ月たった「報道ステーション」、存在
感ゼロの朝日新聞記者に代わって若手論客を起用したせいか少し活気
づいた気がします。

みな、はきはきした話し方をするのには好感を持てるのですが、いち
いち古館キャスターの顔色を窺うような視線を送るのは見るに耐えま
せん。

政権は批判しても、自らの批判は許さない男を前に自制しているので
しょう。

彼らにとって報道番組のレギュラー枠は願ってもないステイタス。ク
ビにならないよう言葉を選ぶのは理解できますが、あまりにも露骨で
は視聴者はシラけるばかりです。。。

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      次回配信予定は5/8、作品は
         
        「ブラックハット」
         
              です。

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創刊日:2002-12-02  
最終発行日:  
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