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こんな映画は見ちゃいけない! 

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龍三と七人の子分たち こんな映画は見ちゃいけない! 

2015/04/25

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2015/4/25   Vol.1653    ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
            「龍三と七人の子分たち」  です。

仁義は廃れた。義理人情も過去のもの。“暴対法”のおかげで絶滅危
惧種となったヤクザの代わりに、街では半グレがわがもの顔でのさば
り、昔ながらの手口から、オレオレ詐欺から借金取り立てまで時代に
即したシノギで、弱い人々を食い物にしている。物語は、今や隠居の
身となった元ヤクザたちが21世紀の犯罪者集団を相手に真っ向勝負を
挑む姿を描く。堅気の家族からは疎んじられ、孤独と老いに脅えなが
ら暮らしている。それでもヤクザの矜持と強がりだけは捨てきれず、
ますます周囲から孤立している。そんな彼らが集まって「組」を再建
する過程で、世間からずれた感覚の小ネタの波状攻撃が繰り広げられ、
畳み掛けるテンポの会話はショートコントのような笑いを誘う。

息子一家と同居する龍三は、いまだドスを隠し持つなどヤクザ気質が
抜けない。ある日、元兄弟分のマサと相談し、かつての仲間を呼び寄
せて暴走族上がりの西が率いる詐欺師グループを懲らしめようとする。

若いころは切った張ったの血と暴力の世界で生きてきた。人も殺した
し刑務所にも長く務めた。引退後は静かな余生を送っていたが、ヤク
ザの血が騒ぐのを抑えきれない。どうせなら枯れる前にヤクザとして
もう一花咲かせたいと願うジジイたちの思い。

彼らがひとにらみでチンピラたちを追い払うシーンは爽快感すら伴う。
おそらく“健さん”に憧れた世代なのだろう、アウトローの覚悟の違
いを見せつけるのだ。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                     「龍三と七人の子分たち」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150130

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

        「パパ、遺伝子組み換えってなぁに?」  です。

自然の法則に反した人工的な操作で農作物を“改良”し莫大な利益を
得る企業。人体への悪影響がないと言い切れないにもかかわらず、大
半の米国民が無関心な現実。カメラは世界中のほとんどの国で“歓迎
されていない”遺伝子組み換え作物=GMOが、いかに米国人の食生活に
浸透しているかにメスを入れる。反対に最貧国・ハイチではGMO種子が
焼却処分されるほど拒否反応が強い。さらにバイテク企業と所轄官庁
を行き来する政財界フィクサーの暗躍。“真実を知りたい、隠すから
怪しむ”という市民の一言が、GMO問題の根本を象徴していた。

GMOをテーマに定めた映像作家のレミーは、家族と共に米国内のGMOを
たどる旅を始める。インタビューを受けた大多数の市民が「食の安全」
についての知識に乏しいのに驚き、レミーは欧州に足を伸ばす。

米国産トウモロコの85%、大豆の80%はGMO。それらを飼料として肥育さ
れた家畜の肉を含めるとGMOフリーの食品はほぼ存在しない。一方で農
薬と農薬耐性のあるGMO種子をセット販売するモンサント社の戦略。

モンサント社ではラットを使ったGMOの安全性実験は3カ月しか行われ
ないが、フランスでは24カ月にわたってGMO飼料を与え続けたラットの
体に起きる異変が明らかになる。人間には、数年ではGMOが原因と特定
される症状は出ないだろう。だが30年摂取し続ければどうなるか。子
供たちの未来を危険にさらしてはならない、そんな思いがあふれる作
品だった。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                   「パパ、遺伝子組み換えってなぁに?」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150404

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

          「王妃の館」  です。

燦々と降り注ぐ陽光を大きな窓からふんだんに取り入れ、反対側の壁
は鏡で埋める。闇を恐れわずかな影すら征服しようとする目くるめく
空間は、地上に再現された天国のようだ。絶対王権の象徴・ヴェルサ
イユ宮殿の中でもひときわその主の権勢を示す巨大な回廊で語られる、
歴史を生きた人々への思い。流麗なカメラワークでとらえられたワン
ショットはこの作品の白眉、少年のようなおかっぱ頭と珍奇なファッ
ションに身を包んだ水谷豊の新たな魅力が爆発する。物語はパリを訪
れた2組の訳ありツアーが巻き起こすドタバタ劇を描く。街の美しさの
みならず、そこで繰り広げられる様々な人間模様を追うちに、いつし
か本筋の登場人物よりも主人公が生み出すキャラクターの運命に惹か
れていく。その予想外の展開にしばし唖然とした。

小説家の右京は新作の構想を練るためパリ高級ツアーに参加する。一
方、同じホテルの部屋を利用した格安ツアーも同日に到着、ツアコン
の玲子と戸川は2組が鉢合わせしないように時間をやりくりする。

ツアー客たちは言いづらい事情を抱えている。一緒に行動し打ち解け
るにしたがって、旅の間だけの道連れだからこそ本心を打ち明ける。
みな、帰国までに何かを変えたい、踏ん切りをつけたいと思っている。

そんな中、右京は過去に埋もれた人々の声に耳を傾け、“創作の神が
降りてくる”のを待つ。バカバカしい設定の中、デフォルメされた妄
想癖と非常識を兼ね備えた右京という作家が独特の存在感を示す。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                   「王妃の館」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150423

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

          「群盗」  です。

富める者はますます太り、貧しき者は食べ物にも事欠いている。民衆
の不満は爆発しても正規軍には敵わず死屍累々打ち捨てられるのみ。
特権階級が甘い汁を吸い、農民町人は日々の暮らしにも困る構図は、
格差社会と化した現代の韓国をトレースする。物語は朝鮮王朝末期、
そんな世の中に風穴を開けようとする義賊と弾圧を加える美形の武官
の対決を描く。壮大な夕日をバックに砂埃舞う荒野を馬で走る一団な
ど、マカロニウエスタンのエッセンスをふんだんに取り入れた映像は
哀切を帯びたヒロイズムをスタイリッシュに再現し、素手の格闘から
剣・矛・弓矢・鉄球・肉切り包丁まで使った多彩なアクションは、自
由と様式が激突する躍動感あふれる殺陣で目を楽しませてくれる。

屠畜人のトルムチは武官のユンにある女の暗殺を頼まれるが失敗、殺
されかけたところを義賊団に救われる。義賊の一員となった彼はトチ
と名付けられ、ユンに復讐するために修行に励む。

有力者の庶子として生まれたユンは幼少期から武芸に勤しみ、達人の
域に達しても冷酷な性格は変わらない。非情な手段で農民から土地を
だまし取り一家の財産を殖やすことで跡取りの座を狙っているが、正
統な血を引く男子が義賊の村で健在と知って村もろとも抹殺を図る。

生き残るためには他人を踏み台にするしかない、ユンもまたこの時代
の被害者であり、憂いを湛えた瞳には愛無く育った孤独が宿っていた。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                   「群盗」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150313

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

          「間奏曲はパリで」  です。

息子は独立した。働き者の夫ともうまくいっている。一見満ち足りた
生活、でも心の奥で何かがうずいている。それは長い時間忘れていた
胸のときめき、物語はイケメンの若い男と出会った熟年のヒロインが、
パリでもう一度愛される歓びに身を浸す姿を描く。女の価値は経験に
裏打ちされるというパリジャンの考え方が面白かった。ところが、彼
女は年齢差のある若者では趣味が合わず、同年代の男に転んでしまう。
男の魅力もやっぱり人生の年輪がモノを言うのだ。ふとしたきっかけ
で変わる彼女の“乙女心”に翻弄される男たちの狼狽ぶりが楽しい。
いくつになっても恋は女をきれいにすると、イザベル・ユペールのキ
ラキラと輝く瞳が饒舌に訴えていた。

グザヴィエの妻・ブリジットは、隣家のパーティでスタンと名乗る青
年と知り合う。優しい言葉をかけるスタンが忘れられないブリジット
は、湿疹の治療と偽ってパリに出、スタンが働く店を訪ねる。

ブリジットは還暦あたりの年齢のはずなのに、スタンから面と向かっ
て“美しい”と言われのぼせてしまう。一方でスタンも若い娘には目
もくれずブリジットに興味を持っているよう。だが、母子にも見える
外見と生きることにひたむきさの足りないスタンに、ブリジットは未
熟さと物足りなさを覚え、自らスタンとの関係を絶ってしまう。

そして同じホテルに泊まるデンマーク人歯科医・ジェスパーの誘いに
応じる。このあたり、ブリジットの奔放な振る舞いに女のしたたかさ
が凝縮されていた。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                   「間奏曲はパリで」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150424

    を参考にしてください。

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        余|談|
        ━┛━┛

最近の写真誌や男性週刊誌に登場するグラビアアイドルやAV女優、か
なりバストのカップを過大申告している気がしてなりません。

90年代頃から、いわゆる“巨乳”がグラビアの必須条件になりました
が、当時はDカップでも十分に巨乳と呼ばれていました。

でも最近は、昔なら推定Cカップくらいの子がEカップ、Dカップくらい
の子でもFカップと2サイズ盛ったカップをプロフィルで自称していま
す。

こういうのって“詐称”にはならないのだろうか?  

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      次回配信予定は5/1、作品は
         
        「フォーカス」
         
              です。

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