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こんな映画は見ちゃいけない! 

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セッション こんな映画は見ちゃいけない! 

2015/04/23

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2015/4/23   Vol.1652    ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は
 
            「セッション」  です。

瞬きよりも速いスティックの動き、浴びせ続けられる罵声。一瞬の気
の緩みも許さない緊迫感あふれる映像は圧倒的な感情の波となってス
クリーンから押し寄せる。プロを養成する教育機関、そこでは飛び散
る汗も滴る血もすべてを音楽への情熱に昇華して、限界を超えた高み
を目指す者が生き残る。物語は厳しく指導する先生の下で、ジャズド
ラマー志望の青年が成長していく姿を描く。恋人を捨て、睡眠を削り、
あらゆる犠牲をいとわずにドラムに没頭する主人公と、失敗を絶対に
認めない教官。師弟愛など存在しない、憎しみにも似た恐怖と怒り、
それ以上にプロの水準と心構えと誇りが徹底的に叩き込まれるのみ。

NYの音楽院、ドラムを練習中のアンドリューはフレッチャーのクラス
に誘われる。いきなり信じがたいほどの技量を求められたアンドリュ
ーは、与えられたチャンスをものにするために自らに猛特訓を課す。

秒単位の正確さで教室に現れ、常人の耳では判別できないわずかなテ
ンポや音階のずれも聞き逃さない。叱責する言葉は悪意に満ち、椅子
を投げることもある。精神的な弱さは脱落を意味し、心身共にタフな
者にしか演奏を許さない。“good job”の一言が進歩を止めるという
フレッチーの信念に、アートを志す人間はいかに生きるべきかが凝縮
されていた。

音楽に人生を捧げたフレッチャーにもどす黒い思いが残っている、だ
がそれすら凌駕するアンドリューの魂の咆哮に、芸術の神髄を見た。

       お勧め度=★★★★(★★★★★が最高)

                     「セッション」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150420

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

        「ワイルド・スピード SKY MISSION」  です。

輸送機からパラシュート降下したクルマが峠の一本道に次々と着陸、
テロリストの車列に奇襲を仕掛ける。もはや荒唐無稽としか言いよう
がない、にもかかわらず、落下の浮遊感と道路を爆走するスピード、
崖を下る衝撃と疾走するクルマを飛び移る緊迫感、それら危機また危
機を体感させてくれる映像の波状攻撃には、アドレナリンの興奮を通
り越してエンドルフィンの恍惚さえ覚える。物語は殺し屋に狙われる
主人公たちのグループが政府機関と共闘、テロリストと戦う姿を追う。
大量の銃弾・爆弾が飛び交う攻防は細かいショットで臨場感を持たせ、
格闘シーンにはトニー・ジャーを投入、カーアクションも新アイデア
満載。“これぞ娯楽映画”というべきサービス精神あふれる作品だ。

ホブス捜査官のオフィスから機密情報を盗んだデッカードは、ドムた
ちに復讐を始める。一方特殊部隊の全面協力を得たドムたちは、全世
界監視システムの独占を企むテロリストのもとに人質の救出に向かう。

結婚したブライアンは危険に血をたぎらせる感覚が忘れられない。そ
んなスリルジャンキーとなったブライアンが家族と仲間のはざまで揺
れ、結局はドムのミッションに身を投じる。愛よりも友情を優先し、
信念に命を賭ける男と女の美学が徹底したオプティミズムで描かれる。

そして戦闘ヘリから無人機まで動員した市街戦は戦争映画さながらの
破壊を繰り返す。目くるめく展開を最後まで引っ張り続けるパワーに、
しばし瞬きを忘れてしまった。

       お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

                   「ワイルド・スピード SKY MISSION」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150421

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

          「インヒアレント・ヴァイス」  です。

寝ても覚めても抜けきらない不快な酩酊感、進んでも進んでも晴れな
い霧、バラバラのピースを組み立て完成させたパズルが暗示するのは
さらなる混沌……。瞑想の中で幻覚を見る感覚を再現したような映像
は不可解、答えを求めても蜃気楼のごとく逃げていくだけだ。物語は、
陰謀に巻き込まれている富豪の身辺調査を依頼された私立探偵が、裏
社会の住人と彼らを表社会につなぐ人々に翻弄される姿を描く。ヒッ
ピー、ネオナチ、風俗嬢、麻薬組織、暴力刑事、反戦運動、スパイetc。
複雑に絡む利害と人間関係の底なし沼に足を取られる主人公、苦悩も
葛藤もスリルもサスペンスもないが、ベトナム戦争に倦み権力や社会
システムに背を向ける1970年の米国が抱える憂鬱が濃縮されている。

探偵事務所を構えるドックは、元恋人・シャスタの現在の愛人・ミッ
キーの情報を集めるため、バイカー集団に接触するが、殴られて昏倒。
目覚めるとそばの死体との関連をビッグフット捜査官に疑われる。

その後、ミッキーは失踪、麻薬組織の密輸船・黄金の牙や同名の歯科
医組合などがドックの前に現れては消える。さらに二重スパイを装う
ミュージシャンや殺し屋などが入り乱れ、ドックの初期の目的すらあ
いまいになっていく。

唯一、未練を残していたシャスタに“ご褒美”をもらうシーンが、ド
ックの精神が清明になる瞬間。価値観が逆転した70年という時代に生
きる意味を象徴していた。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                   「インヒアレント・ヴァイス」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150422

    を参考にしてください。


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        余|談|
        ━┛━┛

米軍基地問題を巡って政府と沖縄県知事が対立を繰り広げていますが、
今週発売の「週刊文春」によると、これは沖縄側が巨額の「沖縄振興
予算」を取るための常套手段。

歴代の沖縄県知事も、表向きは基地には反対するけれどしばらくして
妥協、結局政府からのどれだけカネをぶんどれるかで評価されてきた
そうです。

ただ、本土の人間から見ると、基地のおかげで潤っている部分もあり、
税金が適切に使われているとは思えません。

中世の琉球王国以来、中国と日本の間でしたたかな外交策を取り続け
てきた沖縄人の生き残りの知恵には舌を巻くばかりです。。。

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      次回配信予定は4/25、作品は
         
        「龍三と七人の子分たち」
         
              です。

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