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こんな映画は見ちゃいけない! 

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アメリカン・スナイパー こんな映画は見ちゃいけない! 

2015/02/21

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2015/2/21  Vol.1637   ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は

          「アメリカン・スナイパー」  です。

ただの見物者かもしれない、でも母親らしき女が10歳くらいの少年に
確かに爆弾を手渡した。望遠スコープの先ではいままさに自爆テロが
起きようとしている。判断が遅れると犠牲者が出る。照準の中心に子
供をとらえた主人公は引き金に指をかける。映画は、伝説のスナイパ
ーと呼ばれた兵士の圧倒的な緊張にあふれた戦場体験をリアルに描き
切る。そして、戦争が彼の人生にもたらした苦悩を再現し、160人もの
敵の命と引き換えに失ったものは何だったのかを問う。

厳格な父から銃の扱いを教わったクリスは、米国人を狙った爆弾テロ
を機にSEALSに志願、厳しい訓練を耐え抜いて狙撃手となる。その間、
タヤと知り合い付き合い結婚するが、ほどなく出撃命令が下る。

米国の安全保障を脅かす者はすべて敵といった価値観を叩き込まれた
クリスが、一切の疑いを持たずに殺人マシーンと化していく。ターゲ
ットを1発で仕留めるのがクリスの流儀。遠く離れた敵のみならず、民
間人を装ったテロリストも排除しなければならない。ガラス玉のよう
な青い瞳はプレッシャーの中でも保たれる平常心を意味するが、帰国
後も変わらない彼の眼差しはイラクに心を残してきたからにも思える。

妻子に恵まれた暮らしに罪悪感を覚え、ひとりでも多くの同胞を救わ
ねばという責任感が幸せをかみしめるのを拒絶する。義足の帰還兵に
礼を言われた時の戸惑った表情が無事でいる自分への違和感を象徴し
ていた。

       お勧め度=★★★★(★★★★★が最高)

                       「アメリカン・スナイパー」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150126

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

            「スペシャルID 特殊身分」  です。

カンフー、ボクシング、ムエタイなど打撃系の他に、首を絞め関節を
キメる組手系の技まで駆使し、変幻自在の攻撃を見せる主人公。いわ
ばストリートで鍛えたケンカ殺法、物語は卓越した格闘術を身につけ
た上、大胆な行動力と冷静な洞察力で黒社会の幹部となった偽装身分
の男が大暴れする姿を追う。腕っ節が強い上に度胸が据わっていなけ
ればナメられる、正体がばれたら殺される、だがそんな緊張状態を楽
しんでいるかのよう。危機また危機の連続で過剰に分泌されるアドレ
ナリン、それこそが彼の生きる証なのだ。命がけのアクションを重視
するサービス精神はいかにもメイド・イン・ホンコンらしい。

ボスのホンから組織のブツを横取りしたサニーを探れと頼まれた香港
警察潜入捜査官のロンは、警察の上司からも同じ命令を受け南海市に
行く。そこでは本土の女刑事・ファンがロンの相棒兼監視役につく。

組織同士の縄張り争いだけでなく、裏切り者に目を光らせ、警察にも
気を配るギャングたち。親分子分の契りも兄弟分の絆も過去の遺物と
ばかり、罠を仕掛け不意打ちをくらわして邪魔者を排除していく。サ
ニーはかつてロンに助けられた身でありながら今や取引を仕切るほど
に成長し、ホンも恐れる力を持っている。ホンとサニーの間で逡巡す
るロン、さらに警察官としての職務も果たさなければならない。

映画は彼の苦悩や葛藤、男の哀しみといったノワール的な湿っぽさを
取り除き、パワフルで泥臭いロンの戦いに焦点を当てる。

        お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                    「スペシャルID 特殊身分」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150108

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

             「味園ユニバース」  です。

おうちを聞いても分からない、名前を聞いても分からない。だが、マ
イクを手にすると圧倒的な声量と抜群のテクニックで「古い日記」を
朗唱する。虚ろな目には暴力と狂気を無理やり抑え込んだ哀しみが宿
り、野良犬のような卑屈な態度で心を閉ざす。物語はそんな男がおっ
さんバンドのマネージャーを務める娘に拾われ、歌でアイデンティテ
ィを取り戻していく過程を描く。顔の傷と頭の打撲からヤバイ事情を
抱えているのは確か、このままの方がいいのかもしれない。昭和歌謡
と「味園」の妖しさに彩られた映像はよくも悪くも人間関係の深いつ
ながりを予感させ、来るものは拒まず的な弛緩した空気が心地よい。

逆行性健忘症になった男はカラオケスタジオのカスミに拾われ、ポチ
男と名付けられる。ポチ男の声に可能性を見出したカスミは、主催す
るバンドのボーカルに彼を抜擢し、単独ライブの準備に入る。

様々な小物を目にするうちに少しずつ思い出していくポチ男は、徐々
に自分が危ない人間であることに気づいていく。カスミも独自に彼の
身元を調べるが、悪評しか耳に入らない。せっかく手に入れかけた安
らげる日常をあきらめたくはないが、真実を知ってきちんと決着を着
けたい思いも捨てられない。

そのあたり、ポチ男は逡巡し葛藤するが、苦悩するほど考え込む思考
力はない。深刻になりすぎない映画のスタンスが、逆にリアルに彼の
感情を浮き彫りにしていた。

        お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

                    「味園ユニバース」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150219

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

           「愛して飲んで歌って」  です。

彼の名を聞いただけで女たちの心はときめき、男たちの胸には熱き友
情がよみがえる。だが、彼は余命いくばくもない身、せめて幸せな最
期を迎えられるようにと、二組の夫婦と別れた妻は、支え、見守り、
細々と世話を焼く。映画はそんな影の主人公に平穏な毎日を乱される
熟年男女を描く。“部活をやめた桐島”のごとく男は姿を見せない、
ところが登場人物の言動が、男たちにとっても女たちにとっても彼が
いかに魅力的な人物だったかを饒舌に物語る。彼が友人たちにもたら
したいっときの波瀾、しかしそれはひと匙のスパイスとなり残された
男女の思い出に彩を放ったことだろう。

医師のコリンは友人のジョルジュが末期がんだと妻のカトリーヌに漏
らす。カトリーヌはジャックとタマラ夫妻に伝え、元妻のモニカの耳
にも入る。彼らはアマチュア演劇の代役にジョルジュを抜擢する。

カトリーヌはジョルジュと付き合っていた過去がある。同棲中のパー
トナーとすれ違うモニカはジャックの頼みでジョルジュの元に通い始
める。芝居でジョルジュと恋人役を演じるタマラはジョルジュにのぼ
せ上がっている。距離を置いていたのに、死を目前にしてジョルジュ
は突然彼らの日常に闖入し、女たちに再び恋の喜びを思い出させる。

舞台の書き割りのようなセットで演じられる会話劇はエスプリと皮肉
と少しの毒が効き、年老いても異性関係にあたふたする人間の性をコ
ミカルに再現する映像は、楽しんでこそ人生と高らかに謳いあげる。

        お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                    「愛して飲んで歌って」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/2015022016

    を参考にしてください。

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        余|談|
        ━┛━┛

東京・六本木のシネマート六本木が6月に閉館するそうです。賃貸契約
が切れるのが表向きの理由ですが、やはり韓流ブームが終わったのが
最大の原因でしょう。

オープンした2006年より韓国映画を中心にアジア圏の映画を上映して
きましたが、韓国での反日気運の高まりから日本のファンが離れたの
は明らか。

ここ数年は試写室として利用されることが多く、チケットを買って映
画を見に来る客はあまり見かけませんでした。

こんなところにも表れた朴政権の失態。国のトップが日韓の民間交流
の邪魔をしているようでは未来は明るくなりません。。。

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      次回配信予定は2/26、作品は
         
          「幕が上がる」
         
              です。

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