映画

こんな映画は見ちゃいけない! 

映画批評系メルマガで読者数No.1! プロの編集者が簡潔な文章と的確な表現で書き下ろす「1分で読める新作映画批評」です。映画紹介だけのメルマガにはない「本物の批評」を堪能したい方だけご登録ください。

全て表示する >

きっと、星のせいじゃない。 こんな映画は見ちゃいけない! 

2015/02/19

■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □

☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2015/2/19  Vol.1636   ☆
   
□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■

 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は

          「きっと、星のせいじゃない。」  です。

いつまで生きられるかわからない、でも悲劇のヒロインになるのはイ
ヤ。普通の青春はむりでも、恋にときめく気持ちは残っている。ポジ
ティブに頑張っているわけじゃないけれど、おとなしく運命に流され
るつもりもない。何よりも“かわいそうな子”と同情されたくない。
物語はそんな、余命宣告された少女の日常を追う。両親の思いは痛い
ほど理解しているが時折ワガママを言ってしまうし、他人の意見にも
斜に構えた答えを返す。まだ17歳なのに死を間近に迫った現実と自覚
している彼女の、第三者の目で自分を見つめるような覚めた視線と、
感情的にならないように自制する姿が切なくも哀しい。

末期がん治療を受けながら自宅で過ごすヘイゼルはサポートグループ
に出席、右足を失ったガスと出会う。すっかり打ち解けたガスに、ヘ
イゼルは愛読書を贈る。それは結末の途切れた小説だった。

主人公の“その後”を知りたいと願うヘイゼルの代わりに、ガスは著
者・ピーターにメールを出し訪問の約束を取り付ける。ガスも死線を
さまよった経験を持ち、体が動く間は何事にも積極的にチャレンジす
る行動力が身についている。悩んでいるより走り出す、彼もまた命の
儚さと重さを熟知しているから“やらなかった後悔”だけはしたくな
いのだ。ふたりは期待に胸を膨らませてアムステルダムに飛ぶ。

病気を理由にあきらめたりはしない、そのあたりを非常にライトな感
覚で再現し、安っぽい涙を誘おうとしない演出が心地よい。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                       「きっと、星のせいじゃない。」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150116

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

            「娚の一生」  です。

規則正しい掛け時計の振り子の往復運動と同様、変わり映えのない田
舎の暮らしは、不倫に疲れて都会から戻ったヒロインにはむしろ心地
よい。物語は、静かな生活を手に入れたばかりの彼女と年の離れた男
の奇妙な同居を描く。彼は人の思考パターンには詳しい大学の哲学教
授、強烈な拒否感を抱いていた彼女は、男の図々しいまでの強引さと
子供のような繊細さが混じった振る舞いに振り回されながらも、彼に
親近感を覚えていく。恋と呼ぶほど激しくはない、愛を実感するほど
温かくもない。傷ついた経験があるから傷ついた者の気持ちがわかる
のか、さりげない距離を保ちつついきなり心に踏み込んでくる。

祖母の葬儀を終えたつぐみの前に、醇と名乗る初老の男が現れる。そ
のまま離れに住み着いた醇は、つぐみの意志も確かめずに結婚する予
定と周囲に言いふらす。

事情がよく呑み込めないまま醇のために食事を作り、居座られても追
い出す気力もないつぐみ。失恋の深い痛手から立ち直れず、生きる気
力も自信も失いかけている。一方、つぐみの祖母と浅からぬ関係にあ
ったらしい醇は、つぐみの反応などお構いなしにマイペースを貫く。

きっと祖母からつぐみの事を聞かされていて、彼女をそばで支えてや
るのが故人の遺志と考えたのだろう、その目には迷いはない。雨の夜、
紛失したネックレスをつぐみにつけてやるシーンには、醇の“真剣に
人生と対峙する姿勢”への執着が凝縮されていた。

        お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                    「娚の一生」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150217

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

             「マッハ!無限大」  です。

白衣の姉妹と対決中にいきなり乱入してくるバイク軍団。あまりの数
に路地を抜け、屋上に逃げて応戦する男は、壁を伝い宙に舞い空間を
立体的に使って、肘打ち・ひざ蹴り・関節固めなど得意技でライダー
たちを始末していく。さらにセダンやトレーラー、トラックに飛び移
り、舞台を高速道路から巨大な架橋に移してバイク軍団の追撃をかわ
そうとする。その、10数分にわたる大乱闘&逃走劇は、危険なアクショ
ンをこなす主人公のみならず、彼に打ち倒される無名のチンピラ役ま
でが命がけのスタントを見せる。それらの必然性に首をかしげつつも、
ハリウッドや香港に負けない映画を作ろうというタイ映画人の熱き魂
が漲っていた。トニー・ジャーの圧倒的な身体能力には目を見張る。

愛象・コーンを連れ去ったブローカーの死体を発見したカームは、武
器商人・LCの放った格闘家・NO2に拉致され、テロ計画の片棒を担がさ
れる。一方で、ブローカーの女ボディガードたちにも襲撃される。

カームの味方はインターポールのマークだけ。そんな状況下で、カー
ムはひたすら走りながら闘い続ける。

ロールプレイングゲームのように次々と難敵をクリアしていく過程は、
もはや筋立てなど重要ではなく、いかにスリリングかつエキサイティ
ングに活劇を見せるかに重点が置かれる。本物の肉体のポテンシャル
を最大限にまで引き出そうとする映像の洪水に、思考を停止してただ
ただ身を委ねる。それがこの作品の鑑賞法に違いない。

        お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                    「マッハ!無限大」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150218

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

           「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」  です。

恋なのか好奇心なのか、堅物だった女子大生はたちまち心を奪われる。
相手は若くして巨万の富を築き上げたイケメン経営者、住む世界の違
いに最初は目を回しながらも、強引で自信たっぷりな彼の言いなりに
なることに次第に心地よさを覚えていく。物語は野暮ったさの残るヒ
ロインが、絵に描いたようなヤンエグに肉体も精神も委ねる過程を追
う。だが、男は優しくしてくれても愛してはくれない、性交はしても
本心はのぞかせない。ただ、褒美と罰を与えるだけ。服従し鞭打たれ
る陶酔の中で彼女は快楽を見出していく。いくら理性が拒否しても感
情が反応し、いつしか体も順応してしまう、そんな、大人の女への窯
変が艶めかしい。

通信会社CEO・クリスと出会ったアナは、執拗なアプローチに根負けし
て食事の誘いに応じる。戸惑いつつもうれしさをかみしめていると、
ふたりの交際に関する細かいルールを定めた契約書を手渡される。

酔いつぶれたアナに手を出さず、デートの移動にヘリコプターを使う
クリス。洗練された作法に、アナの胸中は千々に乱される。そして彼
との契約の後に、様々な拘束具と鞭が備わった秘密の部屋に通される。
そこは“メイクラブ”ではなく“ファック”のために作られたところ。

女の視点で描いた米国版の「私の奴隷になりなさい」、女心の機微も
大富豪の考えもよくわからないが、20代のクリスとアナにはもっと情
熱のおもむくままに求め合えと言いたくなった。


        お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                    「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150216

    を参考にしてください。

==============================================================

        余|談|
        ━┛━┛

先週末にウクライナ停戦合意が発効しましたが早くも小競り合いが再
開、束の間の平和は風前の灯です。

先日読了したトム・クランシーの遺作「米露開戦」は、現在のウクラ
イナ情勢を予言したようなディテールあふれる出来栄えで、とてもフ
ィクションとは思えません。

この小説を読んだ後では、いずれロシア軍がウクライナの親ロシア派
を攻撃するのではという近未来予想が頭から離れません。

米国の情報機関がプーチン大統領の致命的な弱みを握る以外に、ウク
ライナの和平を守る術はないのでしょうか。。。

==============================================================

      次回配信予定は2/21、作品は
         
          「アメリカン・スナイパー」
         
              です。

---------------------------------------------------------------

このメルマガは、週2回発行です。

皆様からのご意見、ご要望、感想をお待ちしています。

            otello.com.ua@gmail.com

                         までお願いします。

いただいたメールはこのメルマガで紹介させていただくことがあり
ます。

なお、相互紹介の依頼は受け付けておりません。

最後までお読みいただきありがとうございます。
それでは、よい一日を!

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2002-12-02  
最終発行日:  
発行周期:週3回  
Score!: 98 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。