映画

こんな映画は見ちゃいけない! 

映画批評系メルマガで読者数No.1! プロの編集者が簡潔な文章と的確な表現で書き下ろす「1分で読める新作映画批評」です。映画紹介だけのメルマガにはない「本物の批評」を堪能したい方だけご登録ください。

全て表示する >

愛のタリオ こんな映画は見ちゃいけない! 

2015/02/11

■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □

☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2015/2/11号  Vol.1634   ☆
   
□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■

 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は

          「愛のタリオ」  です。

黒く大きな瞳が発するのは独占欲。初めて出会った都会の男の洗練さ
れた振る舞いと会話、そしてセックスに溺れていった田舎娘は、運命
だと思い込む。しかし彼にとって彼女はほんの一時の退屈しのぎ。物
語はそんなふたりが中絶を機に別れ、恨みを抱いた女が真綿で首を絞
めるように復讐する過程を描く。男は作家ゆえに強烈なエゴを持つ、
だからこそ自己中心的な世界観に浸りつつも自分の弱さと向き合い、
それを作品に昇華させる力を具えている。想像ではなく体験、恋では
なく愛憎を通じて人間の真実に迫るのが小説の神髄。主人公は自らそ
の地獄に心身を委ねることで己の理論を実践する。

不祥事を起こして大学を追放されたハッキュは寂れた町で文章教室の
講師となる。さびれた遊園地で知り合ったドクも講座に参加するとふ
たりは急接近。ところがハッキュにはソウルに残してきた妻子がいた。

老人ばかりの受講生の前でいきなり“若い魂を取り戻すために恋をし
ろ”と言い放つハッキュ。創作に必要な斬新な発想は情熱を燃やす対
象がなければ生まれない、ハッキュ自身も彼の言葉通りドクとの関係
を深めていく。ノーメイクで野暮ったかったドクは服を買ってもらう
などハッキュと付き合ううちに瞬く間に垢抜ける。

特にプレゼントされたハイヒールだけを履いたドクが抱かれるシーン
は、官能に満ちている一方で、彼女の情念がハッキュの体に絡みつく
おぞましさもはらみ、彼らの愛の行方を予感させる。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                       「愛のタリオ」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150123

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

            「フェイス・オブ・ラブ」  です。

偶然出会った、死別した夫と瓜二つの男。別人なのは分かっている、
でも確かめずにいられない。待ち伏せし、尾行し、言葉を交わすうち
に、思慮深く思いやりがある魅力的な彼の虜になる。物語はそんなヒ
ロインが、忘れかけていた人を愛する気持ちを取り戻すうちに、感情
の暴走と葛藤する姿を描く。記憶の中の夫と現実に目の前にいる新恋
人、戸惑いと逡巡のなかで彼女は大胆になる。一方、男にとっても人
生最後の恋、彼女は創作のエネルギー源となっていく。時間的にも金
銭的にもゆとりがあるシニア世代の、まだまだ異性に情熱を燃やし続
ける“攻め”のライフスタイルが輝いていた。

30年連れ添った夫・ギャレットを事故で亡くしたニッキーは、美術館
でギャレットそっくりの男・トムを見かける。トムはカレッジで絵画
を教える画家、ニッキーはトムに個人レッスンを依頼する。

ニッキーとギャレットが鴛鴦夫婦だったのは周知の事実。だからこそ
ニッキーはトムを誰にも紹介できない。トムは時々ニッキーの振る舞
いが理解できず苛立つが、謎めいた態度が喪失感から生まれると解釈
する。そのあたり、自分の思いを押し付けるのではなく、あくまで相
手の胸中を慮る。

それは早急に「セックス」という結果を求めなくなったゆえの余裕。
駆け引きも打算もない、肉体的な快楽よりも心を通わせることを優先
させるふたりの、大人のたしなみが奥ゆかしい。

        お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                    「フェイス・オブ・ラブ」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150209

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

             「スキマスキ」  です。

ふと視線を上げたその先にある隣のアパートの2階、カーテンの隙間か
ら若い女の着替えが垣間見える。まったくの無防備な姿は誘惑の甘い
香りを放ち、男は泉のごとく湧き上がる劣情に煩悶しのたうち回る。
物語は、隙間フェチの大学生が、夜毎にのぞき見していた女子大生に
人生を変えられていく過程を描く。“アホでモテないダサい俺”。そ
んな劣等感の塊だった自分を彼女は笑顔で肯定してくれる、たとえ酔
っぱらった勢いでも。主人公はたちまち恋に落ち、身も心も虜になっ
ていく。童貞男の抱く“理想の恋人”を現実世界に再現したような天
真爛漫な魅力を、少しバカっぽく映るほどの明るさで佐々木心音が熱
演、美人すぎず手の届くレベルなのが更なる妄想を掻き立てる。

大学二部の建築科に通うヘイサクは学食で昼間学部のフミオに声をか
けらけれ、友人たちと飲みに行く羽目になる。フミオの胸元が気にな
るヘイサクだが、フミオが“カーテン越しの彼女”と言い出せない。

フミオもまた“研究”の立場から窓越しにヘイサクを盗撮し、彼を知
っていて近づいていたのが明らかになる。言葉を交わしたことのない
男女がお互いのプライバシーを盗み見していたのに、出会った後はテ
クノロジーを介さずきちんと交際する。

その、あくまでアナログに感情をぶつけ合う距離感が古臭くかえって
懐かしい。フミオのカメラもいまだフィルム式、デジタルを介さない、
生身の人間同士の付き合い方が新鮮だった。

        お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                    「スキマスキ」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150211

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

           「チャーリー・モルデカイ」  です。

先がピンと跳ね上がった口ひげは由緒ある一族の男たちの誇り。妻に
嫌悪され友人にバカにされても、そこには理性と教養と洞察力と直感
が宿ると信じている。物語は、我こそは世界一と自負する美術商が、
地球を半周して強奪された名画を探す姿を描く。どんなピンチも舌先
三寸で切り抜ける一方、美しい妻には頭が上がらず、いざという時に
は献身的な使用人に命を助けてもらう。そんな風変わりだが頭の切れ
る主人公を、スパロウ船長を凌駕する珍奇なオーバーアクションでジ
ョニー・デップが怪演する。その過程で繰り広げられるドタバタ劇は
1960年代のコメディを髣髴させるベタな小ネタばかりで、現代が舞台
とは思えないほど。奇妙なセンスのズレが不思議な感覚を醸し出す。

絵画修復士が惨殺されゴヤの“幻の名画”が盗まれる。事件を捜査す
るマートランドは、業界裏事情に精通した美術商・モルデカイに協力
を依頼。しかし、モルデカイはロシアンマフィアに拉致されてしまう。

名画を奪ったのは誰なのか。なぜ今まで秘蔵されていたのか。モルデ
カイは不死身の用心棒と共に関係者を訪ね歩くうちに、ナチス埋蔵金
に行き当たる。さらに名画を狙うテロリストや同業者の陰謀にも足を
すくわれつつ、愛妻・ジョアンナとマートランドの微妙な距離感も気
になって仕方がない。

その間、映画は小洒落た英国趣味の知的なユーモアを散りばめるが、
意図するところがよく理解できなかった。

        お勧め度=★★(★★★★★が最高)

                    「チャーリー・モルデカイ」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150210

    を参考にしてください。
==============================================================

        余|談|
        ━┛━┛

9年ぶりに日本球界に復帰した松坂が、チーム内で孤立しているという
報道がありました。若手から誘われず寂しい思いをしているそうです。

こういった場合は自宅に招待して妻の手料理でもてなすのがいちばん
かと思いますが、松坂の場合家族をボストンに残しての単身赴任。

倫世夫人が、“子供たちを国際人に育てる方針”というのが帰国しな
い表向きの理由だそうですが、これではやはり松坂がかわいそう。

スポーツ選手は一流になるほど、専門知識は増えても世間知は低くな
りがち。やっぱり松坂も社会人経験豊富な年上妻に頭が上がらないの
でしょうか。。。

==============================================================

      次回配信予定は2/14、作品は
         
          「フォックス・キャッチャー」
         
              です。

---------------------------------------------------------------

このメルマガは、週2回発行です。

皆様からのご意見、ご要望、感想をお待ちしています。

            otello.com.ua@gmail.com

                         までお願いします。

いただいたメールはこのメルマガで紹介させていただくことがあり
ます。

なお、相互紹介の依頼は受け付けておりません。

最後までお読みいただきありがとうございます。
それでは、よい一日を!

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2002-12-02  
最終発行日:  
発行周期:週3回  
Score!: 98 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。