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こんな映画は見ちゃいけない! 

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はじまりのうた こんな映画は見ちゃいけない! 

2015/02/05

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2015/2/5号  Vol.1632    ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は

          「はじまりのうた」  です。

パトカーのサイレン、子供の嬌声、通行人の足音や息遣い、風の流れ
etc. 街路や雑踏に充満する生活音自然音をとり込んだサウンドは地
に足をつけて生きている実感を伴い、歌われている詞は市井の人々の
ふとした共感を呼ぶ。ニューヨーク、成功するには難しいけれど、何
かを始めようとする人にはチャンスを与えてくれる街。映画は落ちぶ
れた音楽プロデューサーと駆け出しのシンガーソングライターが街頭
で録音したアルバムを作る過程を追う。それは男にとっては過去を取
り戻す旅、女にとっては新たな未来への冒険。“音楽が何気ない風景
を意味のあるものに変える”という言葉が、ビジネスを超えた音楽の
力を象徴する。

飲んだくれて場末のライブハウスに入ったダンは、ステージに立つグ
レタの声にたちまち魅了される。早速プロデュースを申し出るがデモ
CDの製作費を工面できず、街中でのゲリラレコーディングを思いつく。

娘に見下され、別居中の妻にも邪険にされるダンはホームレスと見間
違えるほど。かつての敏腕は時代遅れとなり、自らが創設したレコー
ド会社をクビになる始末。小金にも困り無銭飲食までする。それでも
音楽を聴く耳は衰えておらず常に斬新さを求めている。

一方のグレタは恋人・デイヴとのセレブ生活もつかの間、彼に浮気さ
れて今は友人宅に居候中。お互い失うものはない、夢と行動力があれ
ばどん底から這い上がれるとこの作品は訴える。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                       「はじまりのうた」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20141129

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

         「トレヴィの泉で二度目の恋を」  です。

夢想と現実がしばしば混同してしまう老婆と、他人に干渉されるのを
嫌う老人。アパートの隣人となったふたりは最悪の出会いだったにも
かかわらず、いつしか惹かれあうようになる。忘れていたときめきと
相手が気になって仕方がないざわめき、青春の情熱は戻らないけれど、
その気持ちは確かに恋。物語はふたりの独居老人が心を通わせ精神的
に若返っていく過程を描く。“あなたは死よりも人生を恐れている”
の言葉に象徴される、きちんと生き切る大切さをこの映画は教えてく
れる。息子も娘も大人になった、家族への責任は果たした。ならば残
された時間とカネは己のために使う。人生は誰のものでもない、自分
のものなのだから。

「甘い生活」に憧れるエルサと同じ階に、妻を亡くしたフレッドが引
っ越してくる。クルマの修理代をフレッドが受け取らなかったことか
ら、エルサはフレッドが気になり始め、機会あるごとに誘いをかける。

公園に出かけたのを皮切りに、ダンススタジオや高価なディナーにフ
レッドを連れ出すエルサ。彼女の行動力に戸惑いながらもペースを合
わせるうちに、“枯れていた日常”が潤いだすフレッド。

だが、しわだらけになっても理想の女になりたいと願うエルサは時お
り馬脚を現し、一方でフレッドは彼女の女心が理解できず嘘をつかれ
たとつい怒ってしまう。いくつになっても男と女、“後期高齢者”の
域に達してもなお駆け引きを続ける姿が微笑ましい。

        お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                    「トレヴィの泉で二度目の恋を」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150204

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

            「ドラフト・デイ」  です。

競合チームは足元を見て吹っかけてくる。オーナーからは横やりが入
り監督には突き上げられる。残された猶予は12時間、あらゆる難題に
対応し、誰もが納得する解決策を導かなければならない。物語はNFLド
ラフト会議当日の長い長い1日を描く。決定権を持つが故の孤独、自分
の判断が他人の人生も狂わせかねない苦悩、虚々実々の駆け引きの中
で相手の本音を見抜いてかますブラフ。すさまじいフラストレーショ
ン下、超高速で頭をフル回転させる主人公の姿はスリリングかつサス
ペンスフル、米国フットボール界の熱狂がリアルに再現される。

ブラウンズのGM・サニーは1位指名を独断で決めるが、ライバルチーム
の指名を回避するため屈辱的な条件を飲まされる。その上オーナーも
監督もサニーとは別の選手を指名しろと言い出しサニーは頭を抱える。

複雑なドラフト制度のルールの裏の裏まで知り尽くしたGM同士の折衝
は、まるでポーカーのような腹の探り合い。弱気を見せれば付け込ま
れ、強気に出るとあしらわれる。また、チームスタッフの苛立ちから
現役プレイヤーの不満まで丁寧にすくい取る演出は、まさしくこの日
が指名を待つ選手のみならずあらゆる関係者にとっての“運命の日”
であると強調する。様々な人々の思いを俯瞰する脚本は非常によく練
られ、感情の発露がドラマティックだ。

己の利益だけではない、関わった者すべてとWIN-WIN関係を築くことが
ビジネスにおいては最も大切だと、サニーの背中が饒舌に語っていた。

        お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                    「ドラフト・デイ」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150203

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

         「おみおくりの作法」  です。

人知れず息を引き取った人々にも、その死を悼む人がいるはず。寡黙
な男は、そんな見知らぬ故人と丁寧に向き合い、少しでも安らかに旅
立てるようにできる限りのことをする。死者に寄り添う彼の背中は、
誰の一生でも決して無駄なものはないと語りかけているよう。哀しみ
慈しむ視線は、それが仕事だからではなく己の使命と考えているから。
ところが、効率を重んじる上司と後任者は遺灰をぞんざいに扱い、生
前の彼らに関心も敬意も払わない。物語は解雇を言い渡された主人公
が、最後の事案に奔走するする姿を描く。動きの計算された端整な構
図が、厳粛な空気の中にもコミカルな味わいを醸し出す。

民生係のジョンは孤独死した市民の後始末をしているが、経費削減の
あおりを受けてクビを宣告される。しかし、愛娘のアルバムを遺して
逝ったビリーの案件だけは片付けようと知人をあたる。

暴力的で酒にだらしないけれど、女にもて友情を大切にする。服役経
験もあったが憎めないところもある。何よりも、わが子の誕生から10
歳くらいまでの写真を保存している。ジョンはビリーに興味を引かれ
写真の娘・ケリーの消息を追う。

きっと父親としても失格で、探し当てたケリーは戸惑いを隠せない。
それでも、アルバムに込められたビリーの思いに、ケリーは自らの記
憶を洗い直していく。いい思い出もあったのでは、と。

        お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                    「おみおくりの作法」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150202

    を参考にしてください。


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        余|談|
        ━┛━┛

プロ野球も各球団キャンプに入り選手は本格的に始動、今年から彼ら
を追うレポーターに「報道ステーション」の稲葉篤紀が加わりました。

前任の工藤キャスターの時もそうでしたが、いまのところはまだ“ス
ター選手”のオーラが出まくりです。

高校を出たばかりの新人選手にも丁寧に接しなければんらない、180度
の環境の変換に稲葉が慣れるまでは時間がかかるでしょう。

でも、声をかけられる選手も、雲の上の存在だった元選手に敬語を使わ
れるのって、やりにくそうな感じ。少し微笑ましいですね。。。

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      次回配信予定は2/7、作品は
         
          「ミュータント・タートルズ」
         
              です。

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