映画

こんな映画は見ちゃいけない! 

映画批評系メルマガで読者数No.1! プロの編集者が簡潔な文章と的確な表現で書き下ろす「1分で読める新作映画批評」です。映画紹介だけのメルマガにはない「本物の批評」を堪能したい方だけご登録ください。

全て表示する >

バベルの学校 こんな映画は見ちゃいけない! 

2015/01/31

■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □

☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2015/1/31号  Vol.1631   ☆
   
□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■

 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は

          「バベルの学校」  です。

経済的な事情で海を渡ってきた者、非人道的な扱いから逃げてきた者、
才能を伸ばそうと留学してきた者、迫害を恐れて亡命してきた者……。
バックグラウンドは様々だが、フランスで暮らしていくにはきちんと
したフランス語を身に着けなければならない。映画はそんな外国人向
けクラスに集まった中学生たちの日常を追う。自己主張がよしとされ
るお国柄、彼らは声高に己の考えを述べる。ローティーンの少年少女
らしい過剰なまでの自我の発露を先生も抑制しようとはせず、むしろ
当然と受け止めている。誰もが自由にモノを言える民主主義がここで
は子供のころから教育現場で根付いている。

パリ10区にある中学校、“適応クラス”の生徒たちの出身国は24にも
及ぶ。各国語で“こんにちは”を披露した後、故国での最期の日の思
い出を語り合う。多くは友人に別れを告げられなかったと悔やむ。

ほとんどの生徒が慣れない環境での不安にさいなまれている中、セネ
ガル人の少女が強烈な印象を残す。水泳の授業で帽子を忘れプールに
入れないとふて腐れ、成績が悪いと先生のせいにする。最後には黒人
だから差別されていると言い出し、決して非は認めない。本国で虐待
を受けてきたと被害者面をしていたが、その言葉すら誇張に思えるほ
ど執拗に自己弁護する。

時に“自由”はこんな反社会的な個性も産むが、主張する行為自体は
“個人の権利”として容認するフランス社会の懐の深さを感じる。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                       「バベルの学校」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20140607

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

         「繕い裁つ人」  です。

背筋をまっすぐに伸ばしてミシンを踏む。そのリズムはガンコ職人で
ある彼女の生き方を象徴するかのように、単調だが誠実、軽やかだが
丁寧。オーダーメイドの服を一着ずつ仕上げることにこだわるプライ
ドでもある。そんな、凛としたたたずまいを最後まで崩さないヒロイ
ンは、涼しげな目、真剣な目、考え事をしている遠くを見る目など、
ほとんど目元の動きで感情を表現する。物語は、彼女が仕立てた洋服
を通じ、装いが人生を晴れやかにすると訴える。その上で伝統を保つ
ためにはそこにオリジナリティを加えて少しずつ洗練させていく覚悟
が必要なのだ。

腕のいい洋裁店・市江の服をブランド化しようとする藤井は何度も店
を訪れるが、市江は一向に興味を示さない。それでも藤井は市江と時
間を共にするうちに、彼女の秘めた思いに気づいていく。

逆光の窓際に置いたミシンに向かう市江、丘の上の古い洋館、坂の途
中のレトロな喫茶店、高台から見下ろす港の風情ときらびやかな夜景、
紳士淑女がダンスに興じる夜会。それら市江の日常がつややかで深み
のある映像に収められる。“夢見るための洋服”作りが仕事の市江に
とって世界は美しくなければならない。どこか浮遊感が漂う彼女の身
のこなしや話し方がファンタジーを見ている気分にさせてくれる。

チーズケーキをホールで食べる表情すら気品と透明感に満ちた中谷美
紀の優雅な雰囲気が、この映画を上品なアートに昇華させる。

        お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                    「繕い裁つ人」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20141101

    を参考にしてください。

==============================================================

        余|談|
        ━┛━┛

昨日は未明から雪が降り始め、午前中は東京でも珍しい本降りになり、
約5センチの積雪。

残念ながら昼過ぎには雨に変わり雪が解けてしまいましたが、白銀に
彩られた世界は目を和ませてくれました。

ただ、この程度の雪で電車のダイヤが大幅に乱れるのはなぜなんだ。
視界が悪くなるといっても夜に走るよりはましなはず。

やっぱり運転士も雪に見とれたりするのでしょうか。。。

==============================================================

      次回配信予定は2/5、作品は
         
          「はじまりのうた」
         
              です。

---------------------------------------------------------------

このメルマガは、週2回発行です。

皆様からのご意見、ご要望、感想をお待ちしています。

            otello.com.ua@gmail.com

                         までお願いします。

いただいたメールはこのメルマガで紹介させていただくことがあり
ます。

なお、相互紹介の依頼は受け付けておりません。

最後までお読みいただきありがとうございます。
それでは、よい一日を!

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2002-12-02  
最終発行日:  
発行周期:週3回  
Score!: 98 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。