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こんな映画は見ちゃいけない! 

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ビッグ・アイズ こんな映画は見ちゃいけない! 

2015/01/22

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2015/1/22号  Vol.1628   ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は

          「ビッグ・アイズ」  です。

明るく社交的、知的でエキゾチックな会話、誰をも魅了する笑顔で瞬
時に人の心をつかむ男。だがその正体は偽りで固めた過去と現在を守
るためにさらなる嘘を上塗りし、いつの間にかそれを事実と思い込ん
でいる誇大妄想狂だった。物語はそんな夫におだてられ、脅されて、
隷属状態で大衆アートを描き続けてきたヒロインの苦悩と葛藤を追う。
シャイで世間知らずで孤独な彼女が自分を取り戻せるのは、唯一絵筆
を握っている時間だけ。ところがそこで生み出された作品も彼女の創
作とは認識されない。真実を見透かすような大きな目の肖像が人生を
奪われた彼女の悲しみを象徴していた。まだまだシングルマザーが簡
単に生きていけなかった時代の米国の空気が濃密に反映されている。

娘連れで家出したエイミーは日曜画家のウォルターと出合い結婚する。
ある日、「ビッグ・アイズ」の作者を大富豪に問われ、ウォルターが
名乗り出る。その後もウォルターはエイミーの絵を自作として売る。

ポスターやはがきに絵を印刷すると大ブームになりウォルターは大儲
けするが、その後もエイミーはアトリエに閉じ込められたままなすす
べもなくウォルターに言いくるめられる。

このあたり、自我を確立できていないエイミーが食い物にされる哀れ
さ以上に、マスコミやイベントを積極的に利用して一つの世界観を構
築するまでに昇華されたウォルターの舌先三寸が楽しめる。嘘をつく
ときは自信満々に断言し、疑いは断固否定することが大切なのだ。

       お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

                       「ビッグ・アイズ」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20141217

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

         「ジミー、野を駆ける伝説」  です。

一日中泥にまみれて働くばかりでは人間らしい生き方とは言えない。
文学や芸術で見聞を広め、スポーツで体を動かし、隣人同士の連帯を
深めてこそ豊かな生活。ところが、無産階級が集まると共産主義者の
レッテルを貼られ取り締まりの対象となる。物語は、1932年アイルラ
ンド、地域の貧しい人々のための憩いの場を作り、権威や権力と戦っ
た男の奮闘を追う。内乱のしこりと古い価値観に対して、人生を楽し
む権利を勝ち取ろうとする主人公の熱い気持ちが自由の尊さを象徴し
ているとともに、カトリック教会を中心とした昔ながらのコミュニテ
ィの危機感がリアルに再現されていた。

10年ぶりに米国から帰郷したジミーは、廃屋となった集会所の再建を
若者たちから依頼される。だが、神父を始め地元の有力者たちはジャ
ズやダンスに興じるジミーたちを快く思わない。

ダンスパーティを見張り、教会で出席者の名を読み上げる神父。彼の
表情に、当時の聖職者や有産階級がロシア革命に抱いていた恐怖が凝
縮されていた。“持たざる民衆”がマルクス=レーニン思想に触れ、武
装蜂起を計画するかもしれない。ささやかな交流の場ですら疑いの目
でみられる息苦しさは、テロを警戒するあまりあらゆる人々の動向が
監視される社会になってしまった現代にも通じるものがある。

ただ母と静かに暮らしたかっただけ、そんなジミーをバリー・ウォー
ドが飄々と演じ、映画はつらい現実の中にも希望を見出そうとする。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

              「ジミー、野を駆ける伝説」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150120

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

             「ジャッジ 裁かれる判事」  です。

夢を追って旅立った。それなりに成功はした。でも結婚には失敗した。
そんな主人公が故郷の小さな町に帰る。だが長年判事を務めた父は、
長兄の将来を奪い知的障害の末弟を見捨てた彼を心から歓迎はしてい
ない。カメラは大都会で華やかに暮らす者に対して田舎に残った者が
抱く、嫉妬と羨望に満ちた微妙で複雑な感情を丁寧に掬い取る。物語
は、殺人事件被告となった父の弁護をする羽目になったやり手弁護士
が、避けてきた父の人生と真正面から対峙し、同時に自らの生き方を
も顧みるようになる過程を描く。“権威”の地位に君臨してきた老人
の見当違いの頑固さと過剰な自己評価が痛ましくも人間臭い。

母の葬儀のために帰郷したハンクは父のジョセフと衝突、喧嘩別れす
る。ところがジョセフがひき逃げ容疑で逮捕され、予備審問で依頼し
た弁護士があまりにも無能なため、ハンクが代理を買って出る。

愛憎入り混じった目で地元民から見られ、息子たちには厳格だったジ
ョセフが、今や知力体力ともに衰えている。彼が死なせたのはかつて
刑務所に送った凶悪犯。さらに証拠・証言はジョセフの“殺意”を裏
付けるものばかり。心を開いてくれないジョセフにハンクは手を焼き、
元恋人との束の間の再会に癒しを求める。

映画は法廷での丁々発止のやり取りや謎解きのミステリーとは距離を
置き、家族だからこそ言えなかったわだかまりを一つずつ明らかにし
ていく。“出来のいい子ほど親不孝”なのは米国でも同じなのだ。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                    「ジャッジ 裁かれる判事」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150119


    を参考にしてください。

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        余|談|
        ━┛━┛

6/1施行の道交法で、自転車での交通違反が2回摘発されると、安全講
習の受講が義務付けられました。

14項目にわたり「危険行為」が定められましたが、警官の主観で拡大
解釈できるような項目がほとんどです。

一方で無灯火運転などは「危険行為」に含まれす、イヤホンで周囲の
音を遮断するほどの音量で音楽を聴きながらの運転もOKなど片手落ち
の感は拭いきれません。

一応「スマホ見ながら運転」は安全運転義務違反になるようなので、
少しは歩道を安心して歩けるようになるかも。。。

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      次回配信予定は1/24、作品は
         
          「二重生活」
         
              です。

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