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こんな映画は見ちゃいけない! 

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121212 こんな映画は見ちゃいけない! 

2015/01/15

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2015/1/15号  Vol.1626   ☆
   
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は

     「121212 ニューヨーク、奇跡のライブ」  です。

コンサートのプロデューサー、動画サイトの創業者、TV局のディレク
ター、ラジオ局の制作者、IT企業の経営者etc. おそらく“強欲”と
呼ばれる手段で競争を勝ち抜き、業界トップクラスの地位についた男
たちが一堂に会する。議題は数週間後に急遽開催が決まったチャリテ
ィーコンサート。準備期間は極めて短いが、援助を必要としている人
が待っている。カネ儲けではないから、駆け引きも足の引っ張り合い
もない。各界の実力者が本気になれば物事はとんとん拍子に進んでい
く。失敗は許されない、映画は緊張感たっぷりの舞台裏にもカメラを
持ち込み、2012年12月12日の本番に臨む人々の姿をスケッチする。

ハリケーン襲来で甚大な被害を受けた米国東海岸。NYも街中が停電す
るなどの都市機能がマヒする。ブルース・スプリングスティーン、ボ
ン・ジョビ、ビリー・ジョエルらが音楽の力で復興を呼びかける。

寄付サイトのサーバーがダウンした時、総合プロデューサーが責任者
にきつく詰め寄るシーンがあるが、チャリティーであっても請け負っ
た以上、結果が求められるのだ。その場にいたグーグルの重役が電話
1本でトラブルを解決するのも、いかにもトップダウンが当たり前の米
国流。一方、ベン・スティーラー、ウーピー・ゴールドバーグ、ジェ
イク・ギレンホールらが視聴者からの寄付の電話受付を楽しんでいる。

“仕事”としてやっているスタッフと“好意”で参加するスターたち、
まるでショービジネスの縮図のようなコントラストが興味深い。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

             「121212 ニューヨーク、奇跡のライブ」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20141114

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

             「シン・シティ 復讐の女神 」  です。

嘘をついているのは気づいている、罠が待ち受けているのも知ってい
る。それでも甘美な肉体の誘惑には抗えず、男は女の意のままに操ら
れていく。その先にあるのは破滅とわかっていても。。。強烈な光と
影のコントラストが時折ヴィヴィッドな原色に彩られるノワールな映
像は、犯罪と悪徳がはびこる夜の喧騒と退廃を代弁する。ここでは孤
独な者ほど正義感が強く、絶望した者ほど憎しみを胸に秘めている。
物語は、そんな薄汚れた町で怒りの炎を燃え上がらせる3人の男と1人
の女の復讐を描く。権力者には逆らえない、身の程知らずは痛い目に
合う、純粋な思いは踏みにじられる。“本当の地獄は愛する人の苦悩
をみること”という言葉に、作品の世界観が凝縮されていた。

一匹狼のマーヴはホームレス狩りをする若者をぶちのめす。流れ者の
ジョニーは町のボス・ロアーク上院議員にカードゲームで大勝する。
探偵のドワイトは元恋人のエヴァから夫の調査を頼まれる。

それぞれがインパクトのあるキャラクターを持ちサバイバル本能を駆
使して必死で戦っている。中でも妖艶な姿態でドワイトを弄ぶエヴァ
のファム・ファタールぶりが圧巻。メリハリの利いたボディは熟れた
果実のように芳香を放ち、おびき寄せた男たちに毒をふりまく。

全編スタイリッシュな絵作りはこの続編でもさらにパワーアップし、
客席からスクリーンを見上げるのではなく、一歩踏み込んだ地点から
原作コミックのエピソードを体験する感覚を味わえる。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                    「シン・シティ 復讐の女神 」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150114

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

             「薄氷の殺人」  です。

透き通った白い肌、憂いを秘めた黒い瞳。人目を避けて暮らしている
のに、惹きつけてやまない儚げな美女は、まさしく“西施の顰”。大
胆な省略と空白を多用した心理描写はナイフを突きつけられるような
緊迫感を生み、謎が謎を呼ぶ展開は深い森で途方に暮れる感覚を味あ
わせてくれる。近づいてはいけないのはわかっている、それでも真実
を知らなければならない。抗いがたい誘惑と翻弄される運命、サスペ
ンスと情念を孕んだショットの連続は予想外の結末に見る者を導いて
いく。

切断された遺体の一部が広範囲の工場で回収される。捜査員のジャン
は容疑者を射殺、真相不明のまま退職する。5年後、2人分のバラバラ
死体が見つかるがいずれも前回事件の被害者の妻・ウーが絡んでいた。

警備員に身を窶したジャンは、元同僚からウーの情報を聞きだし、単
独でウーの調査を始める。それは過去に決着をつけるためだが、抱き
しめると壊れそうなウーの内なる暗黒に魅力を感じるからでもある。
雪に埋もれ凍てついた町、ジャンの心に秘められた感情もそれに応え
るウーの思いも白い吐息となって、彼らの口から漏れては消えていく。

一方、事件解決の糸口となる高級コートを手に入れたジャンは、そこ
から恐るべき事実にたどり着く。ウーは死に憑りつかれた女なのか、
それとも守るべきか弱い細腕に過ぎないのか。見せないことで想像力
を刺激する洗練された演出は、愛の不毛と命の軽さを強烈に訴える。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                    「薄氷の殺人」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150113

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

             「96時間 レクイエム」  です。

警官に包囲されると忽然と消える。わざと逮捕されて警察からデータ
を盗み、パトカーを奪って逃走する。その後も警察の前に尻尾をちら
つかせては彼らの動きを観察し、周囲を取り巻く状況を把握する。忍
者のごとく神出鬼没、圧倒的なパワーと諜報能力で捜査員を手玉に取
る元工作員は今回も命がけの駆け引きに挑む。職務に忠実な公務員は
傷つけられないが妻を殺した奴らには復讐しなければならない、そん
なジレンマの中でも“子離れできない父親”の顔は変わらない。成人
した娘にパンダのぬいぐるみを贈る彼のメンタリティが微笑ましい。

元妻・レノーラが殺され、容疑者の濡れ衣を着せられたブライアン。
独自に調査を続けつつ、愛娘のキムにも接触する。防犯カメラから、
レノーラはロシア系ギャングに誘拐されていたことが判明する。

映画は、これまでの“家族の身を狙う悪党どもを容赦なくぶっ殺す”
爽快感は陰を潜め、ブライアンの身柄を押さえようとする警察との知
恵比べに比重を置く。元々彼に逃亡の意図はなく、むしろ警察をから
かう行動を繰り返す。黒幕につながる情報を得んとしているのだが、
保険金以外のネタではブライアンの後手に回る警察は無能そのもの。

カーチェイスのシーンでは細かいショットを積み重ねスリリングな映
像に仕上げてはいるが、パリの雑踏、イスタンブールの喧噪と比べ、
現代的なLAではあらゆるアクションが大味になり、ブライアンの“イ
ンテリジェンス”が100%生かし切れていない。そのあたりが物足りい。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                    「96時間 レクイエム」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20150112

    を参考にしてください。

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        余|談|
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メルマガ発行元のまぐまぐから、「まぐまぐ大賞2014」3位入賞のお知
らせが届きまた。

http://www.mag2.com/events/mag2year/2014/free/ent.html

メルマガを始めたころは、読者数を増やしたくて皆さんに投票をお願
いをしたりもしましたが、今回は「まぐまぐ大賞」自体の開催を知ら
ず、ちょっと驚きました。

読者プレゼントなどの“お得な情報”が何もない私のメルマガに推薦
文を書いてくださったみなさま、本当にありがとうございます。

これを励みにまた1年頑張りたいと思います。

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      次回配信予定は1/17、作品は
         
          「アゲイン」
         
              です。

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