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こんな映画は見ちゃいけない! 

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ハンガー・ゲーム2 こんな映画は見ちゃいけない! 

2013/12/26

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2013/12/26 号 Vol.1531  ☆

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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は

          「ハンガー・ゲーム2」  です。

奇抜なアイデアと卓越した身体能力、的確な判断と機転で主催者にル
ール変更させたうえ勝者となったヒロイン。何より彼女は“愛の力”
を証明したことで抑圧された民衆の心に灯を点した。物語は前作から
1年後、今回は過去の優勝者ばかりを集めた強者ぞろいのチャンピオン
大会、信頼できる同盟を結べるか、敵対する者は誰かを見抜く眼力が
さらに強く要求される。生存本能が激突し、陰謀が渦巻く闘技場、そ
こを操る新任のゲームメーカーを演じたフィリップ・シーモア・ホフ
マンのねちっこい嫌らしさが強烈なインパクトを残す。

ハンガー・ゲームで優勝したカットニスは、相棒のピータと“恋人”
の演技を余儀なくされている。彼女の絶大な人気を危惧するスノー大
統領は、25年ごとの「記念大会」にカットニスとピータを参加させる。

支配階級と被支配階級の格差は開いたまま、むしろ強権政治を強めて
いる。管理当局は貧しい暮らしを強いられる人々を厳しく取り締まり、
反抗の兆しを見せただけで鞭打ち処刑する。このあたり、「解雇特区」
や「秘密保護法案」が暴走した未来の日本を暗示するようで、奇妙な
リアリティを覚える。

カットニスはいつしか地下に潜った反政府運動の光となり、勝ち抜く
のが運命であると自覚はしている。そして仲間と共に戦い、より過酷
なサバイバルを切り抜け、様々な人の犠牲の上に現在の自分がいると
知り、“ジャンヌ・ダルク”の使命に目覚めていく。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                 「ハンガー・ゲーム2」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20131128

    を参考にしてください。




 本日はもう一本

          「永遠の0」  です。

妻と子に会いたい、部下の肉親も悲しませたくない。そんなゼロ戦操
縦士の願いは踏みにじられ、彼自身を追いつめる。無駄死にする若者
を目の前に無力感にさいなまれる中、命の値打ちを問い続ける彼は、
一縷の望みを託し、戦場に散っていく。物語は、戦没した祖父の人と
なりを調べる孫たちが、様々な戦友の証言を得て人物像を再構築する
過程を描く。家族を守ろうとする道を選んだ男のかたくななまでの態
度が示すものは、祈りにも似た彼の愛。温厚な人柄に強い意志を秘め
た主人公を岡田准一が熱演、理性が失われた時代の悲劇を再現する。

実の祖父・宮部久蔵の存在を知った健太郎は、昭和20年に戦死した宮
部の調査を始める。海軍一の臆病者と言われていた宮部は抜群のゼロ
戦操縦術を持ちながら、常に無事を最優先させるパイロットだった。

真珠湾奇襲の成功に酔う中でも、帰ってこなかった仲間を偲び、空母
を撃沈しなかったのを悔やむ。さらに長所とされたゼロ戦の航続距離
の長さこそ弱点と見抜いている。しかし、どれほど理論立てて説明し
ても精神論が幅を利かす世界では誰にも聞く耳を待たれない。

宮部は高度な教育を受けた職業軍人だから武力行使そのものは否定し
ないはず。だが、ほとんどが海上で撃墜される特攻には嫌悪感を抱く。
それは生きる意味を突き詰めて考えれば、おのずといかに死ぬべきか
の答えが出るからなのだ。打ちひしがれた宮部の姿は合理的な思考が
無視される全体主義の恐ろしさを象徴していた。

       お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

                 「永遠の0」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20131224

    を参考にしてください。




 本日はもう一本

    「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」  です。

人間の血を飲んでいる限り死なず老いもしない者にとって、人生の意
味とは何なのか。極上の血液をカクテルグラスで呷り恍惚感に浸る彼
らは、のどを下り胃の腑に落ちる瞬間だけ命の実感を覚えることがで
きる。だが、それ以外は人目と日光を避け息をひそめていなければな
らない。そして、歴史的な名作を生みながらも影武者でしかないわが
身の不運を呪うのみ。そこにあるのは、かつて人々から怪物として弾
圧され闇の世界に追いやられた種族の圧倒的な孤独。映画はうまく社
会に溶け込んだ現代のバンパイアの葛藤を退廃的な映像で見せる。

伝説的ミュージシャン・アダムの元に離れて暮らす妻のイヴが会いに
来る。ふたりが愛を確認したのも束の間、トラブルメーカーのエヴァ
がやってきて、アダムの世話をしている便利屋の血を吸ってしまう。

人間をゾンビと呼ぶのは、我らこそが“生きる”に値するという思い
上がりがあるからだろう。人間よりも高等な反面人間に依存し、死な
ないが子孫を残せない、優越感と劣等感が入り混じったバンパイアの
思い。木製の銃弾と荒廃した街は死を渇望する彼らのメタファーとな
り、甘美な誘惑と化して彼らを望まぬ未来にいざなっていく。

その過程で起きる、自制するアダムとイヴ、欲望のままに行動するエ
ヴァの相克は、人間に敵視されていたころがバンパイアにとっての黄
金時代ではなかったかと思わせる。優美でしっとりとしたイメージの
連続が希望なくして存在し続ける彼らの苦悩を象徴していた。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

             「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20131223

    を参考にしてください。




 本日はもう一本

          「ウォーキング with ダイナソー」  です。

体格は兄弟より劣るけれど、冒険心は誰にも負けない。巣の中でお母
さんが運んでくれた食事を食べ、雑食恐竜に襲われた時はお父さんが
助けてくれる。物語はそんな幼年期を過ごした一頭の草食恐竜が恋に
目覚め、絶体絶命の危機に勇気をふり絞り、やがて群のリーダーにな
るまでを描く。営巣して卵を産み、孵化した赤ちゃんを両親が育てる
姿は、爬虫類に近いと考えられていた恐竜が実は鳥類に近い本能を持
っていた事実を示す。さらに群での序列や掟といった習性は哺乳類に
近い。化石や地質学の膨大なデータから細密に再現された7000万年前
の地球へのタイムトリップは、サバイバルの刺激に満ちている。

パキリノサウルス一家の末っ子・パッチは小柄なためなかなか餌にあ
りつけない。それでも旺盛な好奇心と俊敏な動きで生き延びている。
ある日、移動中に山火事と肉食恐竜の挟み撃ちにあい、両親を失う。

再び肉食恐竜の襲撃を受けたパッチは川に落ち、兄のスカウラー、ガ
ールフレンドのジュニパーと行動をともにしながら、群に戻ろうと荒
野をさまよう。その過程で様々な自然の脅威と他の恐竜の種族と出会
い、群の中の“社会”しか知らなかったパッチは広大な外の世界を体
験し、成長していく。そこで身に着けたのは己を大切にすること。命
を投げ出す覚悟は愛する者を守るときだけに使うものだと学ぶ。

数千万年単位の地球の歴史を鑑みるに、わずか数万年ほどの人類の足
跡がちっぽけなものに思えてきた。。。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                 「ウォーキング with ダイナソー」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20131225

    を参考にしてください。

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        余|談|
        ━┛━┛

本年の配信はこれで最後です。
というわけで、2013年のベスト10です。

? ゼロ・グラビティ
? 舟を編む
? クラウド・アトラス
? R100
? 嘆きのピエタ
? プレイス・ビヨンド・ザ・バインズ
? タイピスト!
? テッド
? ライフ・オブ・パイ
? ゼロ・ダーク・サーティ

                  でした。

    来年もよろしくお願いします

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      次回配信予定は1/9、作品は
     
         「さよなら、アドルフ」
  
                     です。

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創刊日:2002-12-02  
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