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こんな映画は見ちゃいけない! 

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REDリターンズ こんな映画は見ちゃいけない! 

2013/11/30

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2013/11/30 号 Vol.1524  ☆

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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は

          「REDリターンズ」  です。

迷彩服に身を包んで現れたかと思えば、狂気の女王になりきり、屈強
な男たちを一瞬で屠った後は、ドリフトするスポーツカーから両手を
広げて拳銃を撃ち、一撃必殺の狙撃の腕を披露する。おばあちゃんと
呼んでも差し支えない年齢のヘレン・ミレン、彼女の背筋はピンと伸
び、立ち居振る舞いは敏捷な中にも気品を感じさせる。相変わらずス
クリーン狭しと大暴れするブルース・ウィリスに比べ、彼女の優雅な
身のこなしはとても新鮮。若さやセクシーさという“女の武器”を超
越した境地は、彼女をより魅力的に見せている。

恋人のサラと引退生活を楽しんでいるフランクの元に旧友のマーヴィ
ンが訪ねてきて、新たな仕事に誘う。フランクは断るが、目の前でマ
ーヴィンが爆殺。ところが、彼の葬儀でフランクはFBIに拘束される。

尋問を受けているフランクの命を狙って傭兵部隊が襲撃して来たり、
“世界一の殺し屋”が送り込まれたり、ロシアの情報部が絡んできた
りと、フランクの周りには敵味方が入り乱れ、その都度銃弾の雨が降
る。突き抜けた荒唐無稽さはコミックの映画化ならでは、むしろコミ
カルですらある。さらに、最高レベル監獄からクレムリン、イラン大
使館など、絶対侵入不可の建物に忍び込み、目的を果たしていく。

もはやフランクたちの暴走を止められる者はなく、映画は米国からパ
リ、ロンドン、モスクワと猛スピードで世界を駆け巡り、誰が味方で
誰が敵で陰謀の本質は何なのかを考える暇を与えない。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                 「REDリターンズ」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20131005

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

                「アイ・ウェイウェイは謝らない」  です。

四六時中尾行・監視されているのに、逆にその状況を楽しんでいるか
のよう。数億人のネットユーザーを味方にしているという心強さが彼
の言動を支えている。映画は北京五輪メインスタジアムとなった“鳥
の巣”の建設に参加し世界的に有名になったアーティストの反骨心に
満ちた日常を追う。役人の権限が非常に強く、ほとんどの人民は言論
を制限されているのに不満を抱きつつも口にせず、考えないことにし
ている。そんな国で体制批判をやめない彼の闘いは、“活動家”の堅
苦しさや悲壮感はなく、どこかユーモラスですらある。

四川大地震の被災地で、手抜き工事のせいで死んだ子供たちの遺品を
目にしたアイ・ウェイウェイ。当局に犠牲者の名前の公表を迫るが却
下される。憤ったアイはボランティアを募り独自調査を始める。

集めた子供の名をブログで公開した結果、公安にマークされたアイは、
自らも張り込みの捜査員の顔写真を撮り、ビデオカメラを回し、彼ら
の様子を逐一WEB上にアップしていく。さらに警官に暴行を受けたと抗
議文を提出し、地元警察相手に裁判まで起こす。権力に対しまったく
ひるまず、むしろ張り付いている捜査員に絡んでトラブルを起こそう
とさえするのだ。

だがアイの国際的な名声ゆえに、当局は彼の活動を認めざるを得ず強
硬手段に出られない。西欧諸国の目を気にする中国当局の困惑を逆手
にとるアイの抗議方法は痛快だ。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                   「アイ・ウェイウェイは謝らない」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20131010

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

              「グリフィン家のウエディングノート」  です。

“青いピル”のおかげで、還暦を過ぎても気軽にセックスを楽しめる
ようになった昨今、男は体力の続く限りベッドの上で奮闘する。とこ
ろが、彼を見て育った子供たちは、大人になっても何かが心に引っ掛
かり、性生活から距離を置いている。物語はそんな父のもとに集った
家族が、それぞれの葛藤を胸に抱えつつ、己の生き方を見つめ直す姿
を描く。もはや老境に達した20世紀の名優たちがいまだ“現役”の男
女に扮し、セックスこそが人生を豊かにしてくれる最大の娯楽である
とアピールする。

グリフィン家の次男・アルの結婚式に出席するために、父・ドンと同
棲相手のビービーが暮らす郊外の豪邸に一家が再集合する。しかし、
ドンは家族の前でビービーを愛人呼ばわりして怒らせる。

もちろんドンは、ビービーもエリーも子供たちも愛している。だがそ
の奔放すぎる言動が時に相手を傷つけている事実に気づいていない。
もしくは気づいた時にはもう手遅れ。一方で、家族もドンに悪気はな
いとわかっていても、ポロリと漏れる彼の本音に不快感を隠せない。
家族だから許せること、家族だから許せないこと、その紙一重の差が
分からず後悔を繰り返すドン。

成長しきれない部分と年齢相応のおおらかさが同居する、常人には測
りがたい感性や価値観を持つアーティスト・ドンを、ロバート・デ・
ニーロがチャーミングな笑顔で演じていた。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                   「グリフィン家のウエディングノート」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20131023

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

              「ハンナ・アーレント」  です。

命令に従っただけの凡庸な官吏。数百万人ものユダヤ人を収容所に追
いやった責任者は、残忍な殺人者でも死を弄ぶ悪魔でもなく、保身に
汲々としたいかにも小役人といった風貌の男だった。物語は元ナチス
戦犯の裁判を通じて、“根源的な悪”と普通の人間が陥るかもしれな
い“モラルの崩壊”の違いを探る哲学者の奮闘を描く。組織の中の歯
車として精勤し、人間の命を統計上の数字としかとらえられなくなる
恐ろしさ、それは誰にでも起こりうると喝破したヒロインへの逆風と
苦悩。耳をふさぎたくなる真実。あくまで冷静に事実を見つめる彼女
の姿が人間の良心を象徴していた。

NYのユダヤ系哲学者・ハンナはアイヒマン裁判レポートのためにエル
サレムに飛び傍聴する。彼女は、アイヒマンが醜悪な怪物ではなく、
実務に長けた事務職員なのに驚き、彼の人となりを雑誌に公表する。

ハンナの記事はアイヒマン擁護と誤解され、米国のユダヤ人社会から
猛反発を食う。さらにユダヤ人の中にもナチに協力しホロコーストに
手を貸した者がいるくだりがハンナへの怒りを掻き立て、ナチス支持
者だったハイデガーとの交際にまで思いは及ぶ。

この、収容所から抜け出したユダヤ人でありながらナチスにも近かっ
た立場が、彼女に奇妙な平衡感覚を植え付けたのだろう。アイヒマン
の証言を正面から受け止め、なぜ彼が葛藤を捨てユダヤ人の運命に無
関心でいられたかを解き明かしていく。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                   「ハンナ・アーレント」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20131129

    を参考にしてください。

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        余|談|
        ━┛━┛

郵便局で保険を勧められ、1時間以上もかけて加入手続きをしたのです
が、「審査の結果お断り」の手紙が送られてきました。

腹が立ったのはその内容。仮払いしたカネを返却するからもう一度郵
便局まで手続きに来いと書いてありました。

落ち度はすべて郵便局側にあるにもかかわらず、謝りもせず呼びつけ
る傲慢さはいまだお役所体質丸出し。「民間ならあり得ない」と抗議
の電話を入れました。

自分が客の立場になって考える、まずそこから始めなければ、本当に
“民営化”したとは言えないと思います。。。

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      次回配信予定は12/5、作品は
     
         「47RONIN」
  
                     です。

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