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こんな映画は見ちゃいけない! 

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アンコール!! こんな映画は見ちゃいけない! 

2013/06/27

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2013/6/27  号 Vol.1484  ☆

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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は

                 「アンコール!!」  です。

身の周りで起きる出来事すべてが気に入らない。近所の子供も顔見知
りもひとり息子もみなバカばかりで口を利こうとは思わない。“オレ
はお前らとは違う”といつも不機嫌な顔で人を寄せ付けない、そんな
老人が唯一の理解者である妻を失ったのをきっかけに、もう一度世間
との関係を築き直そうとする姿を追う。無礼で無口、合唱なんてやっ
てられるかと感じていた彼が、思いのたけを歌い、仲間から認められ、
息子と和解しようとする姿は、人生は何歳になってからでもやり直せ
ることを訴える。孤独なんかじゃない、他人の言葉に耳を貸さず、心
を開いて行動を起こさなかっただけなのだ。

高齢者コーラスグループの練習に通うマリオンの送迎をする夫のアー
サー。ある日、グループがコンテストへの参加を決め、余命わずかと
宣告されたマリオンが予選で最後の力を振り絞ってソロパートを歌う。

友人と楽しそうにしているマリオンがうらやましく思う時もあるのに、
アーサーは素直になれず、つい悪態をついてしまう。自分の弱さを見
抜かれるのが嫌で虚勢を張っているが、マリオンの死後、息子との間
にも決定的な亀裂がはいる。

人間関係がうまくいかないのはわが身の不徳なのはわかっている、だ
がそれを認め謝罪する勇気がない。幼稚なプライドにしがみつく典型
的な頑固ジジイをテレンス・スタンプが終始苦虫をかみつぶした表情
で好演していた。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                    「アンコール!!」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20130412

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

         「さよなら渓谷」  です。

世間の目を避けて暮らしている夫婦、お互いの存在が生きている証で
あるかの如く抱き合い、過去を再確認する。そんな彼らが、隣人の起
こした騒動に巻き込まれた挙句、秘密の扉をこじ開けられる。物語は
殺人事件に張り付く雑誌記者が夫婦の周辺を調べるうちに忌まわしい
事実に遭遇し、取材者としての在り方を問われていく姿を描く。殺し
てやりたいほど恨んでいる男が、今は一番の理解者となっている。夫
は無条件で女を受け入れて自分を罰し続ける。愛と憎しみが表裏一体
となったふたりの生活は危ういバランスの上で綱渡りをしているよう
だ。

幼児を殺した母親が逮捕され、隣家の夫・俊介との密通を自供したた
め、俊介も共犯容疑をかけられる。この事件を取材中だった渡辺は、
俊介が集団レイプ事件の加害者だったことを突き止める。

さらに、妻のかな子からもタレこみがあったと教えられた俊介は、あ
っさり子殺し母の証言を認める。何が俊介から意思を奪ったのか、そ
して俊介にレイプされた被害女性はどこで何をしているのか。渡辺は
俊介の調査を重ね、もっと不可解な現実を目の当たりにする。

映画の前半はどういう展開になるのか全く先が読めない。ところが一
見仲睦まじい俊介とかな子の関係が詳らかになるにつれ、厄介で繊細
で矛盾に満ちたふたり心が本質を見せ始める。その過程は上質のミス
テリー以上にサスペンスにあふれていた。

       お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

                「さよなら渓谷」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20130625

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

            「アフター・アース」  です。

次々と襲い掛かる類人猿の群れ、毒ヒル、大ワシ、ジャガー。さらに
異常な寒さが体力を奪っていく。未知の危険が潜む密林、過酷な環境
をわずかな食料とたった一つの武器を手に少年はひたすら走り続ける。
そして最大の敵は内なる恐怖心を察知する巨大な怪物。物語は未来の
地球に不時着した特殊戦闘員候補生が軍人の父の指導の下で勇気と行
動力と克己心を身に付けて成長していく姿を描く。優先すべきは任務
か命令か、ひとつの判断ミスが命取りになる状況で、実戦を知らぬ彼
は決断を迫られる。その過程で英雄だった父と一人前だと認められた
い息子、2人の間に生まれた家族としての愛情と軍の規律の板挟みにな
る複雑な感情がリアルに再現される。

レイジ将軍と息子の訓練生・キタイを乗せた宇宙船は文明が崩壊した
地球に墜落する。生存者は2人、大けがを負ったレイジは救難信号機を
回収するために、キタイ1人を100キロ離れた落下地点に送り出す。

同時に人を殺すために開発された恐るべき生物・アーサも解き放たれ、
キタイを待ち伏せしている。キタイはレイジに遠隔で指示を仰ぎなが
ら獣道をゆくが、障害が多く計画通りには進まない。近道をしようと
高い崖からジャンプするがたちまち大ワシに見つかって空中で襲撃さ
れる場面は、立体的な躍動感と目くるめくスピードに満ち溢れ、この
作品いちばんの見せ場になっている。

一方、アーサのカクカクした動きは20世紀末の映画のようだった。。。

       お勧め度=★★(★★★★★が最高)

                「アフター・アース」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20130624

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

         「フィギュアなあなた」  です。

女の豊満な肉体は男の劣情を煽り、ツキに見放された彼の日常を蝕ん
でいく。この女と一緒にいられるならどん底に落ちてもいい、いやむ
しろふたりきりでいられるのなら地獄でさえ心地よいと思えるほど女
を愛してしまう。だが、彼女は精巧に作られたフィギュア、問いかけ
て答えるはずもなく、ただ感情のない視線を向けるだけ。映画は失業
した若者が女子高生の等身大フィギュアを拾ったことから始まる奇妙
な共同生活を描く。現実から目をそらし、失われた人生を取り戻そう
とするうちに妄想の中でしか生きられなくなってしまった主人公の姿
が切なく哀しい。

女ヤクザに追われるうちに廃ビルに逃げ込んだ健太郎は、覚せい剤密
売人に殺されかけるが、一体のフィギュアが動きだし健太郎を助ける。
翌日、健太郎はフィギュアを自宅に持ち帰りココネと名付ける。

一方で、裸のボディを弄んだり服を着せてコスプレを楽しむ。さらに
人間の触感と変わらぬ肌触りに、セックスを試みる。その過程でココ
ネは徐々に意志を持ち始め、健太郎にとって理想の恋人になっていく。
健太郎が創造したココネという人格は孤独と絶望の象徴のごとき孤高
の美しさとリリシズムを放ち、彼の救われない心に束の間の潤いを与
えていく。

ところが、不必要に露出される乳房、尻、陰毛に刺激に対する感受性
は麻痺し、安っぽいヌードショーになってしまった。

       お勧め度=★★(★★★★★が最高)

                「フィギュアなあなた」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20130623

    を参考にしてください。


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        余|談|
        ━┛━┛

長袖セーターを肩にかけ、袖を胸の前で結ぶ「プロデューサー巻」が
最近また復権しています。

バブルのころ、TV局職員が始めたことから名がついたのですが、石田
純一が取り入れたことで爆発的に広がりました。

半袖では寒いがジャケットを羽織ると暑い今の時期にはぴったりの着
こなしですが、少し歩くだけでずり落ちるのが難点。

そのうち、セーターを腰に巻く(何と呼ぶのだ?)のも復活するかもし
れませんね。。。

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      次回配信予定は6/29、作品は

             「コンプライアンス 服従の心理」

                              です。

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