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こんな映画は見ちゃいけない! 

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愛さえあれば こんな映画は見ちゃいけない! 

2013/05/18

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2013/5/18  号 Vol.1473  ☆

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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は

                    「愛さえあれば」  です。

平穏な今の暮らしを続けたい。迷惑だけれど親族だからはっきりと断
れない。父に立派になったと思ってほしい。周囲の期待を裏切りたく
ない。様々な理由から本音を抑え込み、己に対して嘘をついている人
々。本当は深く傷ついていたり、違和感を覚えているのに、鈍感なふ
りをしてやり過ごそうとしている。そんな彼らが飲み食べ踊るうちに、
偽りの仮面を脱ぎ捨てていく。物語は若いふたりの結婚式に集った親
族・友人たちが社会での肩書が通用しない関係の中で感情に素直にな
り、自分の人生を見つけていく過程をコミカルに描く。それはまるで
南欧の海と風と太陽に、幸せの魔法をかけられているかのようだった。

娘の結婚式のためにデンマークから南イタリア・ソレントに向うイー
ダは、空港で新郎の父・フィリップと交通事故を起こす。イーダはフ
ィリップと道中共にするが、お互いの態度に口げんかを繰り返す。

乳がん手術直後に夫に浮気を知ったイーダは心に鎧をまとい、夫の悪
口を言う息子を宥めたりとあくまで平静を装う。一方のフィリップも
妻に先立たれた哀しみを紛らわせるためにビジネスに没頭し、結婚式
場の別荘でもスマホを手放せない。だが、フィリップはイーダが泳い
でいるところに遭遇、文字通りフィリップに裸をさらしたイーダは彼
の優しさに触れ、フィリップもまた彼女の素の姿に胸をときめかせる。

長い間恋を忘れていたふたりが、ぎこちない駆け引きのなかにもスト
レートに思いを伝えようとする表情や仕草がもどかしくも微笑ましい。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                   「愛さえあれば」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20130330

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

          「クロユリ団地」  です。

“霊は場所に憑くのではなく人に憑く”。霊能者が言う通り、無念の
思いを残して命を落とした者は、生きている者の後悔や良心の呵責を
巧みに見抜き付け込もうとする。それは甘美な死へのいざない、とり
憑かれた者は麻薬中毒患者のように精神を蝕みずるずるとあちらの世
界に引き込まれていく。映画は古い団地で新生活を始めたヒロインが
体験する恐怖を描く。時間が止まってしまった死者の、嫉妬し、怒り、
憎しみすら抱く姿は、成仏できない孤独に脅えているようだ。

両親と弟とともに団地に転居してきた明日香は砂場で遊ぶ子供・ミノ
ルと仲良くなる。ある日、隣の老人が死んでいるのを発見した明日香
は、彼を救えなかった罪悪感に苛まれ、遺品整理屋の笹原に相談する。

引っ越し初日から隣人が出す不気味な騒音に悩まされる明日香。それ
でも家族そろったテーブルで食べる朝食風景は幸せそのもので、彼女
の不満が取るに足らないことに思えてくる。ところが、毎朝繰り返さ
れる同じ会話に、明日香の目にしている光景が歪みだす。老人のせい
なのかミノルのせいなのか、そのあたり明日香の“日常が崩壊してい
く過程”が皮膚感覚で再現され、現実と幻覚の境目が分からなくなっ
た彼女の頭の中を饒舌に物語っていた。

過疎化するニュータウン、独居老人や孤独死といった、近所づきあい
や地域コミュニティが希薄になった21世紀の社会問題がホラーの中に
もヴィヴィッドに浮き彫りにされていた。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

                「クロユリ団地」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20130315

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

          「モネ・ゲーム」  です。

軽妙なタッチのアニメのオープニングは、細かいことを理詰めに考え
ずにこの作品の世界観に浸るべしとアドバイスするかのよう。はたし
て、鑑定士が田舎娘を仲間に引き入れて、大富豪に名画のニセ物を売
りつけるという計画はトントン拍子に進捗、見事に成功を収める。映
画はそんな空想物語をテンポよく映像にし、コン・ゲームの楽しみを
再現。何事も遠まわしに言う英国紳士とストレートに発言し行動に移
す米国人、同じ言葉を使うのにまったく価値観が異なるふたりのすれ
違いが織りなすコミカルな応酬に脇腹をくすぐられる。

美術品鑑定士・ハリーは、親友の贋作画家に行方不明のモネの絵を描
かせて、名画収集家のメディア王・ライオネルに高値で買わせようと
する。ハリーは説得力を持たせるために、PJをスカウトに行く。

妄想の中ではやり手の詐欺師なのに、現実はPJに声をかけるのにも一
苦労するくらい要領が悪いハリー。何とかPJをカネで釣ったが、ライ
オネルは話に食いつかず、ロンドンに呼んだPJもハリーに耳を貸さな
くなる。むしろPJの率直さに魅かれたライオネルがハリー抜きで交渉
を進め始める。

腹いせにホテルから由緒ある壺を盗もうとしてズボンが破けたり老婦
人の部屋に忍び込んだりするが、そこでもハリーはあくまで苦虫をか
みつぶしたような顔。その少し控えめなユーモアが派手なアクション
に頼らない上品な作風にマッチしていた。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                「モネ・ゲーム」
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20130405

    を参考にしてください。

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        余|談|
        ━┛━┛

橋下大阪市長の「従軍慰安婦」発言が物議をかもした一週間でしたが、
よくよく彼の発言や発信を検討してみると、“兵士の性欲をきちんと
管理しないと性犯罪が多発する”内容はごく当たり前のこと。

発言の一部に婦人・人権団体などが声高に反対を叫び、橋下がそれに
応えるという応酬が続いてきました。

あえて刺激的な文言をちりばめ、誰かが食いつくのを待つ。結局、す
べてがメディア露出を狙った橋下の作戦だったのでは。

これだけ世間を騒がせればひとまず目的は達した、彼はそう思ってい
るのではないでしょうか。。。

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      次回配信予定は5/23、作品は

                「中学生円山」

                              です。

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