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こんな映画は見ちゃいけない! 

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ブレイキング・ドーン Part2 こんな映画は見ちゃいけない! 

2012/12/27

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2012/12/27  号 Vol.1439 ☆
         
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は

 「トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン Part2」  です。

今まで見えなかったものが見え、聴こえなかった音が聴こえる。風よ
りも速く走り獣より高く跳べる。五感は冴え渡り、体に漲るエナジー
を抑えきれない。そんな、転生したヒロインの感覚がリアルに再現さ
れる。映画は難産で命を落としそうになり、ヴァンパイアとなって蘇
生した彼女が夫と娘のために戦う過程を描く。禁断の恋に苦悩する弱
き人間だったころは守られる立場だったのが、母として、自らの宿命
に決着をつける姿はシリーズ中最も輝いている。

カレン家の一員となったベラはエドワードと幸せに暮らしつつも、娘
・レネズミの成長の速さに驚いていた。だが、人間とヴァンパイアの
混血は災いをもたらすと考えるアロの一派がレネズミの抹殺を図る。

レネズミが決して危険人物ではないことを証明するために、カレン一
家は世界中のヴァンパイアたちに協力を求める。特異なパワーを持つ
ヴァンパイアたちがカレン家に集合し、雪原でアロ一派と対峙する様
は超能力大戦の様相を呈す。狼族も加勢し、敵味方入り乱れての大混
戦は前4作を大幅に上回るスケールで目を楽しませてくれる。ここでは
人間は完全に脇役、もはやこのサーガ中の独立した異色の一篇といっ
た趣すらあった。

そしてこれまで散々ベラに尽くしながらも袖にされ、怒りと嫉妬と失
望を抑制し苦虫をかみつぶした表情で我慢していたジェイコブの恋の
思わぬオチも気が利いていた。

       お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

       「トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン Part2」  
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20121201

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

         「マリー・アントワネットに別れをつげて」  です。

外界では秩序が崩壊しているのに、いつもと変わらぬ日常が繰り返さ
れる。やがて革命の噂が届き始め、憶測が飛び交い、そこに暮らす人
々は浮足立ち始める。そして、もはや疑いもない現実となった時、彼
らはどうふるまったか。映画は、フランス革命直後の3日間の宮殿内の
様子を、侍女の目を通して描く。移り気な王妃、変わり身の早い取り
巻き、忠誠を誓う側近、うろたえて何もできない者etc.宮廷に寝起き
する様々な人間模様が実況中継のようにリアルに再現される。

マリー・アントワネットの朗読係・シドニーは、7月14日も朝から奉公
する。翌日、バスチーユ監獄が陥落したというニュースとともに処刑
リストが公開され、名を記された者たちは恐怖におののく。

壮麗豪華なヴェルサイユ宮殿、王侯貴族たちが身に付ける華麗な衣装、
使用人たちの質素な居住スペースと食事。さらにシドニーと王妃が読
むカラーのファッション誌といったディテールが当時の空気を濃密に
漂わせる。シドニーは心酔する王妃の歓心を買うためにまず側近に気
に入られなければならない。彼女たちのために立ち回り、情報を集め
るが、シドニーの立場では積極的には行動を起こせない。

一方で王妃からポリニャック夫人への恋心を聞かされ、気持ちを踏み
にじられたりもする。そのあたり、カメラと音楽は饒舌にシドニーの
心情を代弁し、レア・セドゥーの抑制した感情表現を補っていく。演
技と映像・音楽の補完関係が見事に機能していた。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                 「マリー・アントワネットに別れをつげて」  
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20121224

    を参考にしてください。



 本日はもう1本

             「グッモーエビアン!」  です。

くどいまでに常にテンションが高く、己の中の高揚感を他人に押し付
ける男。生産的活動は一切せず、30歳過ぎても「ロック」の夢に浸っ
ている。映画は、そんな彼が母子家庭の元に帰ってきた来たのがきっ
かけで起きる騒動を通じて、隠された過去と感情を描く。理解者であ
る女の態度は変わらないが、娘はいつしか多感な年ごろになり人生に
向き合わない男にいらだちを感じ始める。誰しも自由に生きることに
憧れているだろう、だがそれは決して無責任に生きることではないと
この作品は教えてくれる。

母・アキと暮らすハツキの元に、アキの元同棲相手・ヤグが突然戻っ
てくる。ロッカー仲間だったアキとヤグはすぐに打ち解けるが、高校
進学が間近に迫ったハツキは以前のようにヤグに接しられない。

大泉洋が演じるヤグの恐ろしく芝居がかった所作に思わず不快感を覚
えるのは、ハツキというフィルターを通しているから。親友にヤグの
言動をいちいち報告するところを見ると、本当はハツキはヤグが好き
なのだ。ところが進路を真剣に検討しなければならない時期なのに、
将来など絶対に考えないヤグがうろついている。反面教師のような大
人たちに育てられたハツキの「常識の枠からはみ出したくない」願望
が非常にリアルに再現されていた。

短い間にハツキは成長したがヤグは変わらないまま。きっとこれから
も変わらないだろう。こんな甘い結末でいいのかと思いつつ、許され
てしまうヤグがうらやましくなった。。。

       お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

                 「グッモーエビアン!」  
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20121225

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

               「映画 妖怪人間ベム」  です。

驚異的な身体能力と純粋な善の心を持つ彼らの「人間になりたい」思
いは日々募り、わずかなチャンスに縋り付こうとする。だが、それに
は人間ならば誰しもが持つ赤黒く濁った「悪」を心身に取り込まなけ
ればならない。決してスーパーヒーローにはなれない醜い体を人目か
ら遠ざけながら、人間の守護神となる妖怪人間たちの哀しみがリアル
で切ない。物語は彼らが妖怪化する人間に対峙し、更なる二者択一を
迫られる姿を描く。傑作アニメの雰囲気を残す映像は、報われないま
ま善行を積む彼らの勇気に人生の意味をより深く考えさせてくれる。

ベム・ベラ・ベロは流れた先の町で製薬社員連続殺人事件に遭遇する。
調査を進めるうちに、製薬会社社員・上野の死んだはずの妻・サユリ
の仕業と判明。サユリは不思議な植物の力で蘇生し妖怪化していた。

復讐のために次々と人間を襲うサユリ、止めようとするベムたち。や
がてサユリに人間の心を取り戻させようと、彼女の娘・みちるの運動
会に連れて行ったりする。その過程でサユリもまた妖怪となるか人間
に戻って死ぬかの選択を迫られる。愛と正義と命、いずれかを選ぶた
めには大切な何かを捨てざるをえない、映画は登場人物たちの苦悩と
葛藤を通じて、己の行動には責任が伴うことを強く訴える。

ただ、せっかくネクラで寡黙だが正義感はだれよりも強いベム、蓮っ
葉な言葉づかいの陰に優しさが滲み出すベラといったキャラクターを
亀梨和也と杏が好演してだけに、作品が幼稚化したのは残念だった。

       お勧め度=★★(★★★★★が最高)

                 「映画 妖怪人間ベム」  
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20121226

    を参考にしてください。




 本日はもう1本

               「ディラン・ドッグ」  です。

吸血鬼や狼人間が人間に交じって暮らしているという発想はもはや新
しくもないが、ここではゾンビまでが人間の相棒となって活躍する。
ひたすら人間の肉を食らおうとする屍鬼ではなく、思考も感情も人間
だったころのまま食べ物の嗜好が変わってしまった上、「ゾンビとし
て生きる」サークルに参加する姿が滑稽だ。映画は、モンスターたち
と人間が共存する町で起きた殺人事件を、人間の主人公が独自の捜査
で解決していく過程を描く。吸血鬼も狼人間も、それなりの人数をか
かえて社会を構成し、当然派閥や仲間同士での反目もあるが、基本的
にマイノリティらしく波風を立てぬよう苦心している。それに引き換
え人間の愚かさ醜さを際立たせる狙いは一応理解できるのだが。。。

毛むくじゃらの怪物に父を惨殺されたエリザベスは、元モンスターハ
ンターの探偵・ディランに真相究明を依頼する。ディランは一旦断る
が、部下のマーカスがゾンビにされたことから調査を引き受ける。

口が重い関係者を詰問し、謎をひとつ解明するとまた別の難題が持ち
上がるミステリーの定石を踏まえてはいる。だが、いかにもチープな
映像は、死後も生き続けなければならないモンスターたちの苦悩には
触れずただ騒がしいだけ。

もっと、ライティングを工夫して光と影の濃淡を際立たせるなど、ス
タイリッシュで洗練された絵作りに徹するアイデアがあれば楽しめた
はずだ。

       お勧め度=★★(★★★★★が最高)

                 「ディラン・ドッグ」  
                         についての詳細は、

       http://d.hatena.ne.jp/otello/20121227

    を参考にしてください。

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        余|談| 
        ━┛━┛

この号で今年の配信は最後になります。
以下、私の2012年ベスト10です

1:ヒューゴの不思議な発明
http://d.hatena.ne.jp/otello/20120204

2:ザ・レイド
http://d.hatena.ne.jp/otello/20120915

3:別離
http://d.hatena.ne.jp/otello/20120319

4:ミッドナイト・イン・パリ
http://d.hatena.ne.jp/otello/20120407

5:かぞくのくに
http://d.hatena.ne.jp/otello/20120331

6:きっと ここが帰る場所
http://d.hatena.ne.jp/otello/20120519

7:レ・ミゼラブル
http://d.hatena.ne.jp/otello/20121207

8:トガニ 幼き瞳の告発
http://d.hatena.ne.jp/otello/20120427

9:哀しき獣
http://d.hatena.ne.jp/otello/20120113

10:アベンジャーズ
http://d.hatena.ne.jp/otello/20120616

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      次回配信予定は1/10、作品は 

                  「96時間/リベンジ」
    
                              です。
  
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創刊日:2002-12-02  
最終発行日:  
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