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こんな映画は見ちゃいけない! 

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ビン・ラディンを探せ! こんな映画は見ちゃいけない! 

2010/12/28

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☆  こんな映画は見ちゃいけない!  2010/12/28 号  Vol.1222 ☆
         
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 こんにちは、発行人のオテロです。

 本日、とりあげる作品は

                「ビン・ラディンを探せ!」  です。

世の中に満ちている暴力と災厄からわが子を守る。そう決心した父は
21世紀最大の“悪人”を自らの手で捕えようとする途方もない旅に出
る。北アフリカ、中東、そして中央アジアの山岳地帯、ほとんど情報
もない状態から、とにかく現地に行けば何とかなるという突撃精神で
関係者を訪ね、市井の人々に疑問をぶつける。時にぶしつけな質問で
本音を引き出し、イスラム世界におけるテロリストとは何かを問う。

妻の妊娠を機に、ビン・ラディンを見つける計画を立てたモーガンは、
予防接種を受け訓練キャンプで護身術を習う。その後エジプトに飛び、
そこでザワヒリの親族にインタビューを試みる。

敵を見つけるには敵の考え方を理解すべきと、モーガンはビン・ラデ
ィンの足跡を追う。だが、米軍ですら捕捉できない男に一民間人がた
どり着けるわけはなく、収録されたのは西側先進国が当たり前に享受
している権利がないことへの不満。カメラを向けられた市民はビン・
ラディンの話題を避けるが、彼らにとってもビン・ラディンは反米の
シンボルではあるがイスラムの象徴として見られるのは不愉快なのだ。

その過程で「戦争もテロもイヤ、しかし米国経済に組み込まれるのも
癪に障る」イスラム教徒の複雑な思いと、イスラム圏でも富める国と
貧しい国の生活水準の差は激しく宗教的戒律に対する温度差もまるで
違う事実が浮き彫りにされる。先進国とイスラム圏というより、イス
ラム圏内の格差こそがテロリストを産む土壌なのだ。

        お勧め度=★★* (★★★★★が最高)

                   「ビン・ラディンを探せ!」  
                         についての詳細は、

         http://www.otello.com.ua/

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 本日はもう1本

                 「最後の忠臣蔵」  です。

先に逝った者たちは主君のかたきを取った“忠臣”と称えられている
のに、「生きよ」と命じられた者は辛く厳しい現実と対峙しなければ
ならない。そんな、死ぬべき時に死なせてもらえなかった侍たちの苦
悩はいかばかりか。使命を果たさねばという忠心、自分だけ生き残っ
た負い目、直面する難題。映画は、吉良邸襲撃計画に参加しながらも
切腹を免れたふたりの男の、「その後の人生」を追い、武士として忠義
を全うするプライドと哀しみ、そしてそれを頑固に曲げない男の美学
を描く。 

四十七士唯一の生存者・吉右衛門は、大石内蔵助に赤穂浪士の遺族の
生活の面倒を見よと申し渡されていた。16年を経てすべてを終え、京
に身を寄せていると、討ち入り前夜に逐電した孫左衛門を見かける。

吉右衛門に託されたのは、いわば赤穂浪士側の「広報マン」という表
の任務。一方、孫左衛門は大石の隠し子を見つけ出して人目を忍んで
育てる極秘のミッション。吉右衛門が皆に感謝され労われるのに、孫
左衛門は名誉を回復したとはいえ罪人の娘の保護者。かつての仲間か
らは裏切り者と罵られ、しかし、真実は誰にも話せない。

大石の命令を完遂するのが己が道と定める孫左衛門には、口惜を甘ん
じて受け入れても、誇り高き死を遂げるための避けて通れない道。彼
の決意は「武士道」を見事に体現し、主人の下半身スキャンダルの後
始末でさえも運命と、愚直に勤めあげた彼の生きざまはすがすがしい。 

        お勧め度=★★★* (★★★★★が最高)

                   「最後の忠臣蔵」  
                         についての詳細は、

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 本日はもう1本

                 「バーレスク」  です。

ベル・エポックのパリの爛熟、ナチス配下のベルリンの退廃、戦後ニ
ューヨークの喧騒。それら20世紀の文化的要素をミックスして21世紀
LA風のアレンジを加えたステージは、セクシーとアンニュイとゴージ
ャスがほとばしるような迫力となって見る者の目をスクリーンに釘付
けにする。物語は手垢のついたものながら、ダンスと音楽と歌がセッ
トになったクラブシーンだけでも映画の楽しみを満喫できる。

LAに出てきたアリは、バーレスクというクラブで働き始める。ダンサ
ーに採用してもらい舞台に出るが、ある日彼女のナマ声を聞かせるハ
プニングが起こり、それを機会にアリは歌手としてデビューする。

客は歌よりも下着姿で悩殺するダンサーの肢体が目当てという方針の
もと、彼女たちは口パクで決して声を出さない。偶然とはいえ、アリ
の人を魅了する歌声はたちまち評判になり、アリはセンターを張るま
でになる。そこに至るまでに、プロの厳しさやダンサー同士の嫉妬と
確執、バーテンとの恋、店の買収を目論む不動産屋との甘いロマンス
と現実などを見せられる。ただ、このあたりは起伏に乏しく、予想
通りに展開して何のひねりないのが物足りない。

それでも、自分の目標を実現するまでは絶対にあきらめないアリのチ
ャレンジ精神と押しつけがましいずうずうしさ、そして強烈な自己主
張は、現代の一般的な日本人、特に若者に決定的に欠けている資質。
その姿勢を見ているだけでも元気が湧いてくる作品だった。 

        お勧め度=★★★ (★★★★★が最高)

                   「バーレスク」  
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 本日はもう1本

                 「ゴダール・ソシアリスム」  です。

寓意に満ちた引用の数々、カットの積み重ね、言葉が生みだす強烈な
インパクト、過去と秘密が交錯するミステリアスな構成…。それらは
常識を打ち破る破壊力となり、映画を鑑賞したいという期待を粉々に
打ち砕く。こんな、見る者の存在を完全に無視した作家の自己満足、
ゴダールだから許されるのか、ゴダールだからといって許してもいい
のか。その情報はごく断片的でパズルのピースをばらまいたかのよう。
いくら直感を頼り、想像力を駆使しても、頭の中で全体像が完成する
ことは絶対にない。

第一部では、乗客のなかに、スペイン内戦時代の黄金紛失事件のカギ
を握る老人が孫娘と乗船しているらしい。黄金の行方を追う捜査官も
複数いる。70年以上前の事件、スターリンやヒトラーなどの名前も取
りざたされ、壮大な謎ときが展開するのかと思いきや、地中海から黒
海に至る船上の出来事をただカメラに収めるのみで、オチもない。

“QUO VADIS EUROPA”では、子供が選挙・被選挙権を持つべきだと主
張しているようだが、民主主義はカネがかかるという主張だけが明白
で、後は意味深長だが何が言いたいのかわからない独白の連続。

最終章は、欧州文明の源流ともいうべき土地をめぐるが、膨大なスロ
ーガンの数々はもはや単なるアジテーションに陥っている。民主主義
と悲劇はアテネで完結したと映画は言うが、訳のわからん映像の羅列
をもって“映画”と称するのはゴダールで完結させてほしい。

        お勧め度=★ (★★★★★が最高)

                   「ゴダール・ソシアリスム」  
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        余|談| 
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今年も最後までご愛読くださり、ありがとうございました。

2010年のベストテンは以下です。

1位 サイタマノラッパー2
2位 インセプション
3位 ヌードの夜
4位 彼と私の漂流日記
5位 ミレニアム3部作
6位 マイレージ・マイライフ
7位 告白
8位 第9地区
9位 瞳の奥の秘密
10位 モンガに散る

ここから漏れた中でもたくさんの素晴らしい作品にめぐり合えた1年で
した。

それでは、よいお年を!

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  • 名無しさん2010/12/29

    いつも、楽しみにしています。