経営

東大経営グローバルCOE/GBRCニューズレター

東大経営グローバルCOEものづくり経営研究センターの教員有志が丸ビルに設立したNPO法人グローバルビジネスリサーチセンター(GBRC)がお届けする経営解説や研究会情報

全て表示する >

GBRCニューズレター No.67

2003/08/25

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
Global Business Research Center Newsletter
GBRCニューズレター No.67  2003年8月25日号 (毎週月曜日発行)
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
 
今週の目次

☆GBRCニュース  藤本隆宏教授(GBRC常務理事)がNHK「視点・論点」に出演

☆東大経済学部で教えている経営学用語シリーズ (新8)

 No.44 (2003年3月17日号)をもって中断していた経営学用語シリーズを
 ある事情があって、7月〜8月の夏季限定で再開します。 
 今回でいったん休憩しますが、好評につき、再度再開の予定もあります。

 再開第8回(通算第52回)はリクエストにお答えして
 「リソース・ベース/レント/VRIO/コア・コンピタンス」

☆編集者から ちょっといい話 
  インターンシップ・プログラムから生まれた新製品『私設司書』が発売に

====================================
☆GBRCニュース  藤本隆宏教授(GBRC常務理事)がNHK「視点・論点」に出演
====================================

藤本隆宏教授(GBRC常務理事)が、8月22日(金)午後10時50分からのNHK「視点・論
点」に出演しました。(過去形ですいません。事前に教えてもらえなかったもの
で……。) タイトルは「もの造り現場の戦略論」で、藤本先生を知る人には驚
異的ともいえるわずか10分間に、実にコンパクトに凝縮されていました。

長期雇用の日本企業が「すり合わせ型」の技術に適していること。トヨタのよう
な現場でのもの造りの先進企業に、日本国内の企業も学ぶべきことが多いこと。
日本国内で生産していても生産性は数倍になる可能性があるので、中国などへの
安易な工場移転を考える前に、国内の工場でやるべきことはまだまだあるはず。
といった藤本先生の日頃の持論が展開されていました。

すでに新聞等で大々的に報道され、この『GBRCニューズレター』No.62 (2003年7
月21日号)でも紹介しましたが、7月17日(木)に平成15年度「21世紀COEプログラ
ム」の審査結果が日本学術振興会から発表され、藤本先生を拠点リーダーとした
拠点プログラム「ものづくり経営研究センター」が採択されています。実にタイ
ムリーな放送になりました。「ものづくり経営研究センター」はGBRCと密接に活
動を展開する予定ですので、お楽しみに。

ところで、この番組、収録は当日の昼間だったそうです。収録時に藤本先生が、
「それで、いつ放送ですか」とディレクターに聞いたら、「言ってませんでし
たっけ? 実は今日使っちゃいます。」といわれて、ご本人も驚いたとか。

====================================
☆東大経済学部で教えている経営学用語シリーズ (新8)

 No.44 (2003年3月17日号)をもって中断していた経営学用語シリーズを
 ある事情があって、7月〜8月の夏季限定で再開します。 
 今回でいったん休憩しますが、好評につき、再度再開の予定もあります。

 再開第8回(通算第52回)はリクエストにお答えして
 「リソース・ベース/レント/VRIO/コア・コンピタンス」
====================================

リソース・ベース (RBV: resource-based view)
 企業は互いに本質的に異なるものであるという事実認識から出発して、企業の
資源の側の立場から、資源の特性とその変化に結び付けて、競争優位の創造と維
持と再生を説明・分析しようとする経営戦略論の考え方。
1970年代、経営戦略論でも、経済学同様に、レントの源泉を独占などの市場特性
に求めていた。ところが、企業の市場環境の分析では、同じ環境に対しては、ど
の企業もほとんど同じ一般に利用可能な分析方法、概念的フレームワークを利用
して環境を分析するために、同じ情報を収集して、戦略的可能性についても似た
ような結論が導き出されてしまう。このため環境分析は、平均以上の利益を生む
源泉にはならない。
 こうしてレントの源泉は必ずしも市場とは限らないことに気がつき、経営戦略
論では、次第にレントの源泉を企業自身に求めるようになった。価値を生み出す
という意味で、本当に大切なものは、その企業の持つ資源のユニークさとそれを
形成する資源の蓄積過程の方にあるはずで、その資源のユニークさゆえに、その
企業は他社と比べて、より高い収益性を維持することになるはずではないのか。
経営戦略論が、こうした資源つまりリソースをベースにした考え方RBVに到達し
たのは、1980年代半ば以降のことになる。RBVの基礎構造を単純化してしまえ
ば、持続的な競争優位をもたらすものは、(a)レントを生み出す資源の異質性で
あり、そして(b)その異質性を持続させるための何らかのメカニズムなのであ
る。こうした観点から、資源が競争優位をもたらすかどうかについてのVRIOフ
レームワークが提唱されたりした。
 こうして経営戦略論は、コア・コンピタンスなどの議論も含んだイノベーショ
ン、組織学習、資源蓄積、競争力構築といったダイナミックな戦略過程の研究の
方向へと発展・派生していく。これらは言い換えれば、「資源の組織化過程の研
究」と言ってもいいもので、そもそも企業ごとにどうして異質性が存在するの
か、その源泉を追求する方向性をもっており、至極当然な流れだといえるだろ
う。

レント (rent)
 経済学では、需要に対して供給が不足しているという点で希少な資源が、特別
な収益つまりレントを生むかもしれないと考えられている。たとえば、土地自体
に限りがあるために、土地の供給は、その所有者に地代(rent)をもたらす。経営
戦略論は、標準以上の利益率、つまりはレントの絶え間ない探索だともいえる。
H.デムセッツは、企業は独占以外にも多くの理由でレントを獲得すると主張し、
企業のユニークな要因からのレントを「リカードのレント」と呼んだ。独占のレ
ントが産出を抑えることで発生するのに対して、リカードのレントとは、希少価
値のある資源を保有することから生まれるレントであり、資源供給の固有の希少
性から生じる。

VRIO
 ある資源が競争優位をもたらすかどうかは、資源の価値(value)、希少性
(rareness)、模倣可能性(imitability)の三つの要因によって決まると整理さ
れ、さらに、この三つの要因に組織(organization)を加えた4要因の頭文字をと
り、VRIOフレームワークと呼んでいる。RBVを基礎にしたJ.B.バーニーの経営戦
略論のテキストで提唱されている。すなわち、価値ある資源を持つことは競争上
同等の立場を保証するだけにすぎないが、価値がありかつ希少な資源を保有する
ことで「一時的な競争優位」が得られ、さらにその資源が競争相手にとって模倣
困難なときに「持続的な競争優位」がもたらされる。そして、競争優位を持続可
能にさせる3要因がそろっていても、その資源を活用するためには適切な組織化
がなされなければならないと考える。

コア・コンピタンス (core competence)
 いわゆる自社の強味のように、他社では提供できないようなその企業独自の技
術の集合体のこと。この概念が言及される際には、自社のコア・コンピタンスを
最大限に活用するような戦略を立てること、そしてそれを長期的に維持・育成す
ることの意義が強調される。

====================================
☆編集者から ちょっといい話 
  インターンシップ・プログラムから生まれた新製品『私設司書』が発売に
====================================

東京大学大学院経済学研究科では、昨年度から国立大学の経済学部としては先陣
を切って、インターンシップ・プログラムを始めました。その中にVDP (Venture
Development Program)という、大学院生がインターンとしてベンチャー企業に
入って、事業計画書を作成するプログラムがあります。GBRC関連記事のコーナー
http://www.gbrc.jp/GBRC.files/articles/index.html#1
で紹介されている最初の3本の新聞記事

◎2001年11月20日付『日本工業新聞』10面
 「東大がインターンシップ実施―事業立ち上げを支援―」
◎2001年12月19日付『日本工業新聞』1面
 「今こそモノづくり(106) 知を送り出す東大?
 インターン派遣で相乗効果 経済学部とKSP 文科系にも産学連携の場」
◎2002年2月5日付『日本経済新聞』朝刊15面(首都圏版)
 「かながわサイエンスパークが新事業」

が、まさにそのVDPの紹介記事だったのです。その後どうなったの? というお問
い合わせもありましたが、そのうちの事業計画書の一つが実際に事業化されて、
今月、個人蔵書管理ソフトとして発売されました。その名も『私設司書』(R)。
事業計画書を作っていたちょうど去年の今頃、国会議員の「私設秘書」がらみの
ニュースが多かったことから、半分ジョークでこの命名になったとか。しかし、
命名は半分ジョークでも、この『私設司書』はただものではありません。私も使
い始めましたが、ちょっと驚きです。

だいたい皆さんがご存知のとおり、大学の教官研究室は本が書棚から溢れている
ような状態で、先生方の研究室の書籍管理などは記憶が頼りの状態。自分がどの
本を持っているのかも覚えていないので、街の本屋やネットで買ってきて、書棚
に並べようと思ったら、そこに既に同じものがあったなどという経験は誰にでも
あるはず(私だけではないと思いたい)。要するに、本の数が多すぎて、蔵書リス
トすらないからこういうことになるわけです。しかし、蔵書リストを作るのは大
変な作業。何しろ日本人の名前はこり過ぎた人が多くて、まともに変換しても出
てこない字まである。ちょっとやってみると著者名の入力だけでも、うんざりし
てしまうわけです。

ところが、この『私設司書』はバーコード・リーダーつきで3万5000円のソフト
なのですが、洋書でも和書でも、本のカバーについているバーコードをバーコー
ド・リーダーでピッ、ピッと次々と読んでやると、あっという間に、著者名、書
名、出版社から始まって、ほとんどありとあらゆる書籍情報がパソコンの画面に
出てくるのです。もちろんバーコードにはそんな情報量はないので、これはソフ
トがネット上のデータベースから書籍情報を検索して拾ってきているのですが、
ADSL等の常時接続の環境下ではピッピッとやっているだけで、あっという間に蔵
書リストができてしまいます。しかも、この蔵書リストはエクセルのファイルと
してもエクスポートできるし、フォーマットを指定してやれば、文献リストとし
ても出力できます。

製造・販売はKSP(かながわサイエンスパーク)に入居しているベンチャー、?ア
ルトーク(吉川彰弘 代表取締役社長)
http://altalk.com/
です。アルトーク社にインターンとして入った修士2年の中野剛治君と菅原岳人
君、製品化されて良かったね。私も助かります。ちょっと宣伝臭いですが、彼ら
に敬意を表して、紹介させてもらいました。これってユーザー・イノベーション
の事例ですよね。

ちなみに、このインターンシップ・プログラムは、これまでの、いわゆる「学生
の就業体験」とは異なり、高度専門教育を受けた大学院生に対して、コンサルタ
ント、ベンチャー・キャピタリスト、リサーチャーとして、実践の機会を与える
ことを目指しています。そのため産学連携型インターンシップとも呼ばれてい
て、「21世紀COEプログラム」に採択された東京大学大学院経済学研究科の「も
のづくり経営研究センター」でも若手研究者・専門家育成のためのプログラムと
して位置づけられています。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
編集/発行
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター (略称:GBRC)
〒100-6309 東京都千代田区丸の内2-4-1 丸の内ビルディング9階 960区
(丸の内アカデミック・スイーツ/The Marunouchi Academic Suites 内)
電話: 03-5208-4272 FAX: 03-5208-4273
メール・アドレス: info@gbrc.jp  URL: http://www.gbrc.jp/

Copyright (c)2003 Global Business Research Center. All rights reserved.
このニューズレターに掲載された記事を許可なく使用することを禁じます。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2002-11-15  
最終発行日:  
発行周期:週刊  
Score!: - 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。