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ある日の教室

書家詩人である作者が、書道教室での子ども達の様子や、日々の生き方のヒントをお届けします。

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ある日の教室

2003/03/26

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【ある日の教室】〜塾講師から見た子供の世界 Vol.21
   作者:荒木崇
(合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ)

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『授業中に涙』

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◇ 「先生、さえちゃんが泣いてる!」
さえの隣の子が驚いて声をあげた。見ると、確かに、目から涙がこぼれている。
「どうしたの、さえちゃん?」前から、隣から、心配そうに覗き込む生徒達。本
当にどうしたのだろう。ひょっとして、さっきの僕の一言か?

◇  そんなに多くはないが、生徒を泣かせてしまったことが何度かある。そのほ
とんどは、僕が厳しく叱ったのが理由だ。叱らないのに泣き出す生徒もいた。宿
題を忘れた小5の女の子を職員室に呼んで、ほんと−に優しく「今日は、どうし
たの?」と声をかけただけなのに、その瞬間、涙がポロポロあふれてとまらなく
なった。「理由があるんでしょ、言ってごらん。」と言うと、更に、彼女は声をあ
げて泣いてしまった。とても慌て、なだめるのに苦労したのを覚えている。

◇  授業中、問題が出来なくて、涙ぐむ生徒もいる。負けず嫌いの男の子なんか
が意外にポロッといってしまう。だが、この時のさえはどれにもあてはまらなか
った。僕は怒ったわけでも、怒鳴ったわけでもない。ましてや彼女を傷つけるこ
とを言ったのでもなかった。

◇ 「おーい、さえ、どうした?悲しいのか?」
「うん、おじいちゃんのことを思い出したら、涙が出てきた。」
やはり。この日の読解演習の文章は戦争がテーマだった。戦争が終わって、復員
する兵士の安否を役所に尋ねに来る家族に対し、生死の事実、いつ、どこで戦死
したかなどを告げる辛い仕事をしていた筆者のもとへ、7歳ぐらいの女の子が、
父親の生死を確認しにやって来る。その子に父親の戦死の事実を言わなければな
らない、という内容だ。僕がしゃべればしゃべるほど、中身が希薄になっていく
ような、とても重い内容だった。

◇  何気なく、僕が言ってしまった一言が涙の引き金になってしまったらしい。
僕はこう言ったのだ。「君達にもある?悲しい思い出。」
ハムスターが死んだことから始まり、去年、おばあちゃんが死んだことなど、幼
いながらにいろいろ心に刻んでいるのがよくわかった。もちろん、そんな経験は
ないけれども、分かろうとしてくれる生徒もいた。

◇  さえは死んだおじいちゃんのことを思い出して、悲しくなって泣いてしまっ
たのだ。なんと感受性の強い子なんだろう。他の子も、それに対してからかうこ
となく「そうか」という感じで受け止めていた。素晴らしい人たちだ。

◇  それから数日たったある日の授業。
「先生、さえちゃんが泣いてる!」
またもや、さえの隣の子が驚いて声をあげた。僕も、泣く瞬間をはっきりと捉え
た。今日は生死がテーマではない。
「さえ、どうした?」
「感動しました。」
その日は、遠くで働く夫に対する、妻の愛情あふれる手紙をつづった文章だった。
「奥さんの、夫に対する愛情の深さに感動しました。」
「そうか、お前に愛が分かるか?」
「はい、私も恋していますから。」
男女の愛には縁遠い、その日の授業の担当教師は、彼女の言葉にただただ苦笑す
るしかなかった。

◇ そうやって、いつまで彼女は涙を流すのだろう。願わくば、この先ずっと。


*登場する生徒名は全て仮名です。
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◇◇◇Global Thinking and Local Acting◇◇◇
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