塾・予備校

ある日の教室

書家詩人である作者が、書道教室での子ども達の様子や、日々の生き方のヒントをお届けします。

全て表示する >

ある日の教室

2003/03/19

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆   
  
【ある日の教室】〜塾講師から見た子供の世界 Vol.20
   作者:荒木崇
(合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ)

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

『初めまして』

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

◇ 今年も進級の季節がやってきた。中学受験生は2月から塾では
すでに新学年としてスタートを切っている。僕は今年も6年生の
国語を受け持つことになった。

◇ 一番最初の授業では、学習のことはもちろんだが、普段の基本
動作についても理由を説明しながら、うるさく話し、徹底を促す。
例えば、授業内のけじめ、あいさつ、忘れ物、提出物などだ。受
験は勉強だけでなく、しっかりとした自己管理やけじめのついた
行動ができると、うまくいくケースが多い。

◇だから、今年も授業の1発目にこのような話をした。生徒は意
外によく聞いてくれたように思う。続いて、みんなに僕の自己紹
介をした。それがちょうど終わったところで、ガチャッと扉が開
き、男の子が入ってきた。

◇ 「こんにちは。」
僕は声をかけた。しかし、男の子は目を合わせはしたが、黙って
僕の前を通り、席に着こうとする。
「はーい、ちょっと待って。」
当然、そのまま行かせない。さっき、生徒達に話したことができ
ていない。僕は彼の前に立ち、両肩を持った。
「『こんにちは』って言われたらどうしたらいいか知ってる?」
僕の顔を見たまま返事がない。
「最初だから教えてあげよう。『こんにちは』って言われたら、
『こんにちは』って言うんだよ。それから、授業が中断するから
『遅れてすみません。』も言おう。わかった?」
こくりとうなずく彼。
「はいっ、では、最初からやってみよう!」
僕は彼を教室の外へ押し出した。みんなは静かに見ている。

◇ ガチャッ。扉が開く。
「こんにちは。」僕が言う。
「こんにちは。遅れてすみません。」
今度はちょこんとおじぎをして、さっき教えたようにあいさつを
した。そこですかさず、僕は言った。
「初めまして。荒木です。よろしくお願いします。」
「・・・・。」沈黙。
「最初だから教えてあげよう。相手が名乗ったら、自分も名乗る
のが礼儀なんだよ。わかった?」
再びうなずく彼。
「はいっ、では、最初からやってみよう!」
彼はもう一度廊下へ。やりとりを見ていたみんなはここで笑った。

◇ガチャッ。扉が開く。
「こんにちは。」
「こんにちは。遅れてすみません。」
「初めまして荒木です。よろしくお願いします。」
「初めまして関野ともひろです。よろしくお願いします。」
教えたとおりにきっちりできた。しかし、これで終わらない。
「今日はなぜ遅れたんですか?」
遅刻の理由を聞かなくてはならない。
「え〜、学校で・・・。」
「学校でどうした?」
「学校が7時間・・・」
「7時間?どうした?」
「なぜ?ときいているからなんと答える?」
一瞬国語の授業。
「7時間授業で遅く終わったからです。」
「オッケー、素晴らしい。よく出来た。さぁ、最初からやってみ
よう!」
もう一度ともひろを廊下へ。みんなは「あ〜ぁ」などと言いなが
ら笑っている。ともひろ自身も苦笑いだ。

◇ガチャッ。
「こんにちは。」 
「こんにちは。遅れてすみません。」
「初めまして荒木です。よろしくお願いします。」
「初めまして関野ともひろです。よろしくお願いします。」
「今日はどうして遅れたんですか?」
「学校が7時間授業で遅く終わったからです。」
「はい、分かりました。席へどうぞ。」
こうして、ともひろは無事、自分の座席へ座ることができた。

◇ 「いい?みんなもこんなふうにやるんだよ。わかった?笑って
いられるのも今のうちだよ。」
と、僕が言ったところで嘘のようなタイミングで『ガチャッ』と
扉がき、もう一人、遅刻の男の子が入ってきた。その瞬間、みん
なは大爆笑。ともひろも笑っている。なぜ、自分が笑われてい
るのか、そして、これから何が起こるのかを全く知らないその彼
は、僕の顔を見て、きょとんとしていた。

◇ 後で知ったのだが、ともひろは私立の小学校に通う生徒で、
学校が終わるのが遅いらしい。ということはほとんどの授業に遅
刻で来ることになる。そして、次の僕の授業。

◇ ガチャッ。扉が開いてともひろが入ってきた。授業が始まって
20分経っている。
「こんにちは。」僕は声をかけた。ともひろはすぐには反応せず、
何かを考えている。
「え〜と。」
どうやら、前回やったことを思い出しているらしい。
「こんにちは、おくれて、すみません。」
たどたどしいが、ここまでは一応完璧。僕が遅刻の理由をたずね
ようとすると、ともひろは僕より先に声を発していた。
「初めまして。関野ともひろです。」
みんなは大爆笑。
「ともひろ、初めてじゃないだろ、この前、会っただろ、それは
今日はいらないんだよ。」
ともひろは大苦笑。

◇それから10分後、もう一人、遅刻がやってきた。
「こんにちは。遅れてすみません。初めまして・・・・。」
嘘のような本当の話である。

◇ 確かに、「『初めまして』は初対面にしか使わない」ことを
教えていなかったが・・・。

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
◇◇◇Global Thinking and Local Acting◇◇◇
=================================

 『元・塾教師の苦悩』メールマガジン

 かつて塾を経営していたことのある筆者が、徹底した個人主義
と、妥協を許さぬ理想主義のもと、熱く叫びつつ刻みつけていく、
炎のメールマガジンです! 個人の苦悩と社会の問題点を結びつ
けることに主眼をおき、教育を中心的なテーマとして、世の腐敗
を弾劾していきたいと思っています。刺激を求めている方なら、
新たな地平を開かれるでしょう。

http://homepage1.nifty.com/SAWARA/kunou.html

=================================

●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
             お気楽ご飯
           *----*----*----*
       毎日のウチの晩ご飯をご紹介します
     「よその家ってどんなご飯を食べているんだろう」
       って気になったりしませんか?
  購読はこちらから http://melten.com/osusume/?m=5729&u=12172
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●

=================================
最後まで読んでいただきありがとうございました。もしよろしければ
他の人にもこのマガジンを紹介してください。よろしくお願いします。
ご友人・知人の方への転送は自由になさってください。
転載ご希望の方はご連絡ください。
=================================
『夢見る力を!』合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ

バックナンバーはホームページの「教育コラム」にあります。
    http://www.management-brain.co.jp/

お問い合せ・感想はこちら
    mailto:mailadm@management-brain.co.jp
=================================

合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツのメルマガ配信中!!

「塾経営の戦略・戦術」
     〜これであなたの塾が変わる!:毎週月曜配信

「ある日の教室」
     〜子供達の意外な一面をどうぞ:毎週水曜配信

「教育記事から教育を考える」
     〜記事の奥にある本質をえぐる:毎週金曜配信

「考えるヒント・今日の言霊」
     〜古今の名言から生きるヒントを学ぶ:月曜〜土曜配信

 
全てのマガジンの新規登録はこちら
 http://www.management-brain.co.jp/cgi-bin/column/column.html

■□解除の方法□■
このメルマガが届く配信サイトより解除ください。
マネジメント・ブレイン・アソシエイツのホームページで
ご登録の方はメールにてお知らせください。

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2002-10-30  
最終発行日:  
発行周期:週刊  
Score!: 100 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。