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ある日の教室

書家詩人である作者が、書道教室での子ども達の様子や、日々の生き方のヒントをお届けします。

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ある日の教室vol.1

2002/11/06

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  【ある日の教室】〜塾講師から見た子供の世界  vol.1
  作者:荒木崇(合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ)

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  『リアリアスト』

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◇人間は泣きながらこの世に生まれてくる。
阿呆ばかりの世に生まれたことを悲しんでな。
             (シェイクスピア『リア王』より)

◇教師という生き物は生来語るのが好きな人種だ。
少なくとも、私はそうだ。
自分が知っているちょっとした知識を生徒にひけらかしては悦に入る。
授業中、「『はかない』ってどんな意味?」と質問する生徒がいて、
「日本的美しさ」の話から、それがいつの間にやら「旧約聖書」の
「ノアの方舟」の話になっていたときにはさすがに授業後
自分でも少し反省した。
いったいなぜこんな展開に・・・。
ただ、生徒はそういうのが結構楽しいらしくて、
「先生、今日はどんな話するの?」なんて言ってくれるから
こっちが救われる。
聞く人あっての話す人なのだ。

◇さて、冒頭の言葉である。
いつだったかは覚えていない。あるとき、この言葉を知った。
「おー、なるほどな。シェイクスピアもたいしたもんだ。」
多少ごう慢なところもあるが、なかなか納得させられる台詞だ。
しかし、だからといってシェイクスピアに、リア王に興味を
持ったわけではない。
この台詞を知った瞬間から、
「いつ生徒に話してやろうか。」
それだけを考えていたのである。

◇国語を教えている。
小説文だと、心情表現がふんだんに表れる。
「悲しみ」だの、「泣く」だの当たり前のように出てくる。
チャンスは意外にも早く訪れた。小学6年生だった。
「お前達、知ってるか?人間がなんで泣きながら産まれてくるのか。」
そのまま言うのも芸がないのでアレンジを加えた。
「人生には悲しいことや、苦しいことがたくさんあるだろ。
それが分かっているから赤ちゃんは泣いているんだよ。」
「へー、そうなんだ。」
「なるほどぉ。」
「先生すごーい。」
当然、そんな反応が返ってくるはずだと思っていた。
が、しかし。
「先生、馬鹿じゃないの?赤ちゃんは泣かないと呼吸できないんだよ。
泣かない子は叩いて泣かすんだよ。そんなことも知らないの?
理科の先生に教わったら?」
「あっ、いやっ、あの、そんな問題ではなくて・・・。」
「もう、ほんとに先生って国語しかできないんだね。」
「・・・・・・。」
『あーっなんて可愛くない子供達なんだ。』
心で叫ぶ私であった。

◇それからしばらくたった授業。やはり脱線した。
「先生は偉くならないの?」という生徒の質問が発端だった。
「う〜ん、偉くなれないね。たいしたことない人間だから。」
「じゃぁ、自分で塾つくればいいよ。そうすれば学院長!」
「荒木学院か。でも、俺、国語しか出来ないしな。」
「先生、だったら、俺、算数教える。得意だから。」
「わたしは国語。先生は引退。」
「ハイッ、わたしはアメリカにいたから英語。」
「体育もやろうよ。」
「わたしは受付のおねえさんやる。」
「じゃ、俺は受付のおにいさん。」
「そんなのいらないよ。」
一同爆笑。
『あぁ、お前ら、ごめんよ、「可愛くない」なんて思ってしまって。
俺が悪かった。荒木学院なんて夢物語にこんなに熱心に・・・。』
と涙の一つでもこぼしかけたときだった。
「せんせー、冗談はこのくらいにしてそろそろ授業やろう。」と一言。
「うん、そうだね。先生、続きやろっ。」
「荒木学院なんてどーせ無理だしね。」
そして、あちこちから「授業、授業」の声が教室にこだました。
その後、実に淡々と、実にスムーズに授業はすすむのであった。

◇ 子供は大人が思っているよりずっと現実的だ。
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    ◇◇◇Global Thinking and Local Acting◇◇◇
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