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ある日の教室

書家詩人である作者が、書道教室での子ども達の様子や、日々の生き方のヒントをお届けします。

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ある日の教室

2010/01/20

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【ある日の教室】〜塾講師から見た子供の世界 Vol.370
   作者:荒木崇
(合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ)
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「弁当屋のあんちゃん」

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確か、中学生のときだ。僕の住むど田舎にもチェーンのお弁当屋ができた。
仕出し弁当はあったのだが、お弁当を専門に売る店は初めてだったように
思う。


もの珍しさも手伝って、部活が終わってからたまに買いにいった。その後
夕飯も食べるのだから、育ち盛りとは恐ろしい。おじさんまではいかない
坊主頭の30歳ぐらいの小太りのあんちゃんがいつも対応してくれた。


人口の少ない田舎なのに、そのお店はその後も続き、人口の少なさゆえに、
他に弁当屋ができることもなく、僕が高校を卒業しても、まだ健在だった。


東京の大学に入学し、田舎にはあまり帰ることもなく、帰省しても、その
お弁当屋のことなんてすっかり忘れていた。


就職したての頃、法事かなにかで帰省をした。買い物を言いつけられ、自
転車に乗って用を済ませ、ついでに何の気なしに、ぶらっと遠回りをした
その途中、そこにその人はいた。


まったくおんなじチェーンのお弁当屋は、まったく変わらぬ姿で存在して、
店先に、完全におじさんになった小太りの坊主頭のあんちゃんがいた。店
先を掃除していたのだ。


驚きと懐かしさで「まだ、あったんだ!あの人もまだ働いてるんだぁ!!」
と心で叫んだ。自転車の速度を緩め、お弁当屋を数秒眺めてしまった。


そのとき、だった。

「こんにちは!!」

あんちゃんが大きな声で僕にあいさつをしたのだ。あまりに突然のことで
僕は何も言えず、伏し目がちに通り過ぎてしまった。


僕のことを覚えていたはずはない。お弁当屋へはいつも大勢で行き、僕は
その中の一人だった。坊主頭の中学生のときとはすっかり容貌も変わって
いる。


すると、あのあんちゃんは、誰かが通るたびに、こうして元気良くあいさ
つをしているのだろう。もう何年も、屈託のない、さわやかな感じで。


今では思う。どうして「こんにちは」と言えなかったのだろうと「よく買
いに来たんですよ!」となぜ伝えなかったのか。


それからだ。お店の人なんかになるべくひと言かけるようになったのは。
「ごちそうさま」とか、「ありがとう」とか、「大変ですね」とか。


あの弁当屋のあんちゃんは、ど田舎で、今日も店先を掃除しながら、道行
く人にあいさつをしていることだろう。

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    ◇◇◇ Global Thinking and Local Acting ◇◇◇
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★☆★☆ ある日の教室〜塾講師から見た子供の世界 ☆★☆★
発行:合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ(MBA)
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