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ある日の教室

書家詩人である作者が、書道教室での子ども達の様子や、日々の生き方のヒントをお届けします。

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ある日の教室

2006/12/27

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【ある日の教室】〜塾講師から見た子供の世界 Vol.214
   作者:荒木崇
(合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ)

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「激励」(後編)

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○前回のあらすじ

もう10年以上前のこと。中学受験の激励へ初めて経験した。
入試日の朝、Y学院の前で、この学校を受験する勇斗を待った。

先輩のA先生から、「受験生がドバーッと来るから、よく見てな
いとダメだよ」と言われ、僕は緊張した。

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当然、どの学校でも「受験生集合時間」が決められている。その時間に
遅れなければ入試を受けることができる。集合時間はだいたい8時半ぐ
らいが一番多いだろうか。Y学院も8時半の集合だ。


しかし、8時半に来る生徒はまれで、早い生徒は1時間前にはやってく
る。8時ぐらいがピークだ。


生徒は一人でやってくるわけではない。そういう決まりはもちろんない
のだが、ほぼ全員の中学受験生は保護者と一緒にやってくる。お母さん
がほとんどだが、出勤前のお父さんと一緒である生徒も少なくない。


ちなみに、今春のY学院2月1日の応募者は約300人。受験生一人に
つき、保護者が一人付き添いでやってくるとして、600人が1時間の
間にやってくることになる。


ほぼ全員が電車に乗ってやってくる。車は時間が読めないし、途中で事
故にでも遭ったらアウトである。


と、いうわけで最寄りの駅方面から校門に向かって、電車の到着間隔ご
とに受験生と保護者の波が大挙してやってくる。



7時半を回ったころ、最初の一群がやってくるのが見えた。いよいよで
ある。


7分間隔ぐらいで波はやってくる。他の教室の生徒を激励しつつも、勇
斗を探す目は休めなかった。


しかし、8時を回っても勇斗はやってこない。A先生の教室の生徒は全
員来たらしい。「会えてよかった」と安堵の表情である。


逃したのか。もう入ってしまったのか。いや、そんなはずはない。しっ
かりとチェックしていたはずだ。


いま一つ煮え切らないどうにも頼りない勇斗の普段の様子が浮かぶ。ま
さか、寝坊なんかしてないよな・・・。そんな不安も頭をよぎる。


8時10分を過ぎても、20分を過ぎても勇斗はやってこない。校門を
くぐる受験生の姿は、もうほとんどない。


「やっぱり、見逃したか」と思い、受験生の集合場所を覗くことが可能
かどうか学校の先生に尋ねようと考えた。


そのときである。カバンを斜めにかけた見覚えのある姿が走ってくるの
が見えた。緑色の手袋が、冬の冷気を前後に切っている。


「ゆうとぉ!!」


思わず、大きな声が出た。と同時に時間を確認する。8時25分。集合
時間まであと5分。なんとか間に合った。


僕の前まで来ると、勇斗は立ち止まった。はぁはぁと息が漏れる。お母
さんもお父さんの姿も見えない。


「お前、一人できたのか?」


「うん」


「そうか、よく来たな。とりあえずまだ間に合うから息を整えろ」


「うん」


ちょっと時間を置いた。30秒ぐらいだろうか。


「よし、がんばってこいよ」


握手を交わす。彼の握り返してくる意外な手の強さに驚きを覚える。


「じゃぁ、先生、いってくるよ、じゃぁね!」


そう言って、半身になって緑色の手袋をした右手を僕に振りながら、また
彼は駆け出した。


おそらく、今日1日で彼はすごく成長するはずだ。彼の手の力強さの余韻
を感じながら、僕は勇斗の背中を見送った。


(登場する生徒名は全て仮名です。)


今年の「ある日の教室」はこれが最後です。本年もお付き合いくださり
ありがとうございました。


2007年は1月10日スタートです。皆様、良いお年をお迎えください!


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    ◇◇◇ Global Thinking and Local Acting ◇◇◇
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