□ ごかいの部屋〜不登校・ひきこもりから社会へ〜 No.191
発行日:12/15
2011.12.14 [No.191]
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: ご か い の 部 屋
: 〜 不 登 校 ・ 引 き こ も り か ら 社 会 へ 〜
──────────────────────────────────
元 当 事 者 の 教 育 相 談 員 が 語 る
体 験 的 不 登 校 ・ ひ き こ も り 論 と 解 説
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今年も残すところあと半月になりなりました。皆様にとってどのよう
な年でしたでしょうか。
当メルマガにとっては、歴史的災害によって登録読者の方々のご無事
を祈りつつ配信を続けた初めての年になりました。また、新年度から隔
月配信に変更するという曲り角を迎えた年でもありました。
そんななかお読み続けてくださった皆様には心からお礼申し上げます。
当スタジオは現在、先月実施した「設立10周年記念月間」を、趣旨
を変更して来年1月まで延長しています。また、来年1月21日(土)
には今年度最後の「しゃべるの会」を開催。いずれも要項は「来月のス
タジオ」欄をご覧ください。
来年が皆様にとってよい年となりますようお祈り申し上げます。
ヒューマン・スタジオ
── ◆ 今 月 の メ ニ ュー ◆ ───────────────────
■ コラム:支援を受けることの難しさ
□ カコラム:172号『家族が積み重ねるもの』
■ 来月のスタジオ:相談も親の会もご利用を
□ ごあんない
━━・● コ ラ ム ●・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
支援を受けることの難しさ
─────────────────────────────────…
今からちょうど2年前に配信した172号の本欄で私は、不登校児や
ひきこもり青年に対して周囲が設定する目標を六つ挙げ、それを二つず
つにまとめることができる、とお話ししました。
ひとつ目は、公に認められている生活(通勤、通学、主婦業、および
それらをするための準備として医療や支援を利用、等)で「本人が学校
/社会に戻る」と「本人が支援を受けるようになる」です。
二つ目は、私生活(衣食住、趣味、友だちづきあい、お手伝い、等)
で「本人が自由に外出する」と「本人が規則正しい生活を送る」です。
三つ目は、心の安定(穏やかな心境、明るい気持ち、等)で「本人と
一緒に家族の思い出をつくる」と「本人が穏やかに毎日を過ごす」です。
この分け方について「本人が学校/社会に戻る」と「本人が支援を受
けるようになる」の両方をひとつ目の「公に認められている生活」(以
下「公生活」と呼びます)にまとめるのは違うのではないか、医療や支
援を受けることは私生活ではないのか、と疑問を抱く方がおられると思
います。
確かに、言葉の意味に従えばそのとおりです。
しかし私は、言葉の意味で分けたのではなく、本人の感覚で分けたの
です。
つまり、本人にとって「支援を受けること」と「学校/社会に戻るこ
と」との間にある溝よりも「私生活」と「支援を受けること」との間に
ある溝のほうが深いと思われるのです。
相談の現場でしばしば直面するのは「心の安定」がかなり達成され、
さらに家族との団らんを楽しみ、家事を手伝ったり趣味にいそしんだり
と「私生活」が充実してくるにつれ、支援に関心を持って情報収集する
ようになったのに、実際に支援を受けることになかなか踏み切れないま
ま日々を過ごしている、という親御さんからの報告です。
彼らのなかには「学校/社会に戻る」ことと「支援を受けるようにな
る」こととは、大きな違いがないどころか「支援を受けた先には学校/
社会への復帰が待ち構えている」といった、まるでコースメニューのよ
うなイメージがあるのではないでしょうか。
レストランでコースメニューを注文する場面を想像してください。
値段が予算内に収まっているコースが2種類あり、片方は嫌いな料理
が含まれていて、もう片方は嫌いな料理が含まれていなかったら、迷わ
ず後者のコースをお選びになるでしょう。
それと同じことが、支援を受ける場合にも言えるのです。
人と接するのが苦痛な人は、フリースペースをやっている支援機関に
入りづらいでしょうし、働くことへの恐怖感を持っている人は「就労支
援をやっている支援機関は利用したくない」と思うでしょう。
その結果、利用できる支援機関が少なくなってしまうわけです。
事実、官民の多くの支援機関は「相談→訪問支援→フリースペース→
学校復帰支援/就労支援」というように支援方法を取り揃え、それを順
番に利用していくことによって学校復帰/社会復帰に近づくシステムを
採用しています。まるで“支援のコースメニュー”のようです。
もちろん、実際には支援方法の順番にはこだわらない支援機関も少な
くありません。でも、本人たちはそのようにはイメージできず「いった
ん利用し始めるとメニューが次々と出てくるような予感がして“支援と
いうテーブル”に着席できないでいる」という印象を受けます。
そこで、そのような青少年には<コース>ではなく<単品>を出す、
という手があります。
<単品>とは「○○相談所」「フリースペース○○」など「相談専門」
「居場所のみ」というように、単独の支援方法を実践している機関のた
とえです。そこは「ここで元気になったら次の段階の支援を受けるべき
だ」という方針も雰囲気もなく「ほかの支援方法を求める人には情報提
供や紹介をする」というだけにとどまっている場です。
こうして「段階を踏んで学校/社会復帰に近づいていく」というイメ
ージを払拭し「今の自分に合った支援を受ければよい」と気軽に考える
ことができるようになれば、支援を受けやすくなるわけです。
ところが、それでも支援を受けられるようにならない青少年がたくさ
んいると予想できます。なぜでしょうか。
ここではひとつだけ挙げておきます。
それは「家庭」と「支援機関」以外の人間関係や場が不足しているこ
とです。
たとえば、親戚や隣近所や知り合いのなかに、本人の状態に理解ある
人、または本人の状態を気にしないで普通につきあってくれる人がいな
かったり「誰でも出入りできて無条件に肯定される場」が地域になかっ
たりする、という現状です。
逆に、そういう人間関係や場が身近にある青少年は、ない青少年より
歩みが早いことを、私は相談業務を通じて実感しています。
親御さんが親の会に参加して楽になられるように、本人が当事者の会
や勉強会やNPO活動に参加するなど、支援に寄らずに人と出会い、自
分なりの居場所を見つけることができれば、それだけで楽になりますか
ら、支援を受けなくても元気が回復していきます。
そうなると「支援を受けるかどうか」「どんな場合に受けようか」な
どと、支援についてかえって冷静に考えられるようになるものです。
しかし、本人と周囲の多くは「早く支援を受けて復帰すべき」という
考えを変えません。それで実際に支援を受けられるのでしょうか。
来年は、そのあたりから考えていくことにしましょう。
:筆者:丸山 康彦(まるさん)
ヒューマン・スタジオ代表兼相談員。高校時代、不登校と留年の末
入学7年後に卒業。高校講師・ひきこもりを経て、1999年4月に個
人事務所「教育対策研究所」を開設。2001年10月から現職。
━━・● カ コ ラ ム ●・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
家族が積み重ねるもの
─────────────────────────────────…
私は、この三つを「心の安定」「私生活」「公に認められている、ある
いはその準備をしている生活(以下「公生活」と呼びます)」の順に実
現していく=積み重ねていくことが、家族に求められていると思います。
と言うのも、本人の心は、家族関係が改善されるに従って安定してき
ますし、心が安定してくるにつれ昼夜逆転などの生活リズムのずれも徐
々に少なくなり、外出の回数も増えてきます。そうなれば、支援を受け
る気持ちも高まってきます。
今のプロセスは一例ですが、そのように「心の安定」の上に「私生活」、
その上に「公生活」と、積み木を積むように実現させていくのが、最も
安全確実に本人が変化していくプロセスであるわけです。
以上のことから私は、家族として当たり前の家庭生活――良好な家族
関係の構築、楽しい時間の共有、思い出づくり――を生涯積み重ねてい
くという意識をお持ちになることを、親御さんにお勧めするものです。
――172号(2009.12.9)から抜粋
━━・● 来月のスタジオ●・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
相談も親の会もご利用を
─────────────────────────────────…
◎設立10周年記念期間「スマイル期間」始まっています
前号の本欄でお知らせした「割引利用月間」を、趣旨を変えて2か月
間延長しています。つまり来月いっぱいまで、割引特典はそのままに、
ほかにも飲食品の提供などを通じて、より親しい雰囲気でご相談いただ
ける面接を試みます。
詳細はこちら↓
http://blog.goo.ne.jp/husta/e/f23b4914a56021c7419cd58bdf2da1a4
◎「しゃべるの会」今年度最後です
9月の臨時増刊号に本欄を掲載せず、読者の皆様にお知らせし忘れた
前回10月23日のしゃべるの会。そのためか参加者はわずか1名でし
た。下記のとおり次回はお知らせしますので、どうぞふるってご参加く
ださい。テキストは今号のコラムとカコラムです。
日時:2012年1月21日(土)午後1時30分〜4時30分
会場:もみじざかじょいぷらざ(旧「神奈川婦人会館」)(桜木町駅歩
10分)
対象:学校/社会に出られない人がいるご家族
詳細はこちら↓をご覧ください。
http://www.acpit.com/~rental1/diary2/diadisp.cgi?ID=husta&YMD=20120121&MODE=1&TDC=2&USR=husta&PASS2=
申込:件名を「しゃ会参加申込」としたメールに、次の各事項をご明記
のうえ、下記アドレス宛お送りください。
*「メルマガで知った」
*ご住所
*参加されるご家族のお名前
アドレス:husta@nifty.com(@を半角に直して送信ください)
━━・● ご あ ん な い ●・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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◎ 当メルマガ執筆者丸山が代表をつとめる相談機関・・・
「ヒューマン・スタジオ」は、
青少年とご家族を直接支援する相談業務はもちろん、当メルマガをは
じめ相談しなくても利用できる業務を多数実施し、事情と必要に応じ
て選んでくださった方に、不登校・ひきこもりの青少年への理解と対
応に役立てていただいています。
詳細は「ヒューマン・スタジオ」のホームページでご覧ください
→ http://homepage3.nifty.com/Husta/sodan/
────────────────────────────────
…─── ★ 次号は2012年2月8日配信予定です。お楽しみに ★ ────…
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: ご か い の 部 屋 〜 不登校・引きこもりから社会へ 〜
: 2011/12/14 NO.191 (発行:第2水曜 隔月1回)
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□発行・執筆者:丸山 康彦
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ヒューマン・スタジオ
http://homepage3.nifty.com/Husta/maga.html子どもの不登校と青年のひきこもりを中心に、子育て・家族・学校などの悩みの解決をお手伝いする民間非営利相談機関。『ごかいの部屋』は、元不登校児で元ひきこもり青年の代表兼相談員が、ときに自らの体験を織り交ぜながら、理解と対応について解説・提言しています。創刊9年、本文(コラム)は160本を超えています。



