住宅・不動産

健さんの マンションアドバイス

一級建築士・マンション管理士 健さんがアドバイスします。
マンションを買う人のために、マンションに住んでいる人のために、管理組合のために。   
内覧会検査リポートもお楽しみに。

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健さんの マンションアドバイス ?18

2002/09/06

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 ■□■□       一級建築士・マンション管理士
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 ■□■□     「 健さんの マンションアドバイス 」      ?18
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  マンションを買う人のために・住んでいる人のために・管理組合のために
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 ■ マンション内覧会立会検査リポート 

   私が3月〜4月に依頼された内覧会検査のリポートを毎週お届けしてき
  ましたが、一段落しましたので、ここでこれまでのリポートを振り返って
  みたいと思います。

 ■ 今号は、3月期完成マンションの問題点について考えてみました。
  これまでの内覧会検査リポートを改めて読み返してみて、いろいろな思い
  があります。そのなかでもむなしい思いが非常に大きいのです。
  ほんとはもっと当たり前な工事が出来て、立派に仕上がる筈なのに、どう
  して未完成だったり、こんなに粗悪なことになってしまうのか・・・

   技術力がないわけではない。いいものを造ろうという気持がないわけで
  はない。それなのにどうして・・・
  原因はただ「時間が足りない」「一時期に集中しすぎる」ということだと
  思うのです。
  意図的に手抜きをするなどということは、殆どありません。残念ながら、
  結果的にそうなってしまうのです。
  十分な時間と人手さえあれば、問題は殆ど解決する。
  では、どうすればいいんだろうか?


 ■ 概ねこんな状況だったのです、3月期完成マンションの実態は ■

 ↓

 □ 内覧会検査までに工事が完了していなかった。
   → まともな検査が出来ない。再々々内覧会までいってしまった例も。

 □ 専有部分は何とか完了しているが、専用使用部分・共用部分は未完成。
   → 少なくとも専用使用部分までは、完成してないと検査にならない。

 □ 工事が遅れている → とにかく内覧会までには間に合わせろ 
   → やっつけ仕事 → あとで直せばいいや → 雑な仕上になる

 □ 内覧会検査ぎりぎりに何とか完成する。
   → 売主が検査する時間もない。
   → そんな状態で買主に検査させるのか。

 □ 売主に工事の進捗状況を聞いても、明確な返事がない→ 怪しい 
   → 内覧会前に現場の進捗状況を確かめに行く → 大幅に遅れている
   → 売主に指摘する → 売主から内覧会延期の通知
   → それでも未だ完成しない → 引っ越し日の延期

 □ 内覧会の1週間後に再内覧会(手直し確認)
   売主引き渡しを延期したくないので、無理なスケジュールを強行する。
   → 1週間でまともな手直しが出来るはずがない。

 □ 工事が粗雑で手直し → またその手直し 
   → 引き渡しを受けることを延期 → 入居の延期。 

 □ 未完成で水も出ないのに、予定通りに引っ越してきてしまった。

 □ 未完成でも引き渡しを受けてしまった
   → 入居した後も残工事が毎日続き、騒音・安全性などで悩まされる。

 □ 工事が大幅に遅れていたのに、売主が買主に知らせなかった。
   → 契約違反 → 解約

 □ 売主としては決算の関係もあり、なんとしても引き渡してしまいたい。

 □ 買主としては、勤務先の異動や子供の転校の時期的制約もあり、どう
  しても予定通りに入居したいので、無理をせざるを得ない。
  未完成であったり、満足いかない状態であっても、泣く泣く引き渡しを
  受けてしまう。



■■■ なんとか少しでも改善することは出来ないのでしょうか?■■■



 ■ 売る人(マンション供給者)が出来ること

 ↓

 □ 余裕のあるスケジュール設定
  ある物件の依頼主(買主)は、引渡しが1ヶ月も早くなることを聞いて、
  「手抜きをして居るんじゃないか」と、心配されていました。    
  売主に聞いてみると、3月期完成は時期的に危険との判断で、最初から
  1ヶ月余裕をもたせた計画だった。ところが意外にも工事は順調に進み、
  1ヶ月早く引渡しすることが出来たとのこと。検査の結果も良好でした。
  みんなこんなだといいんですが・・・

 □ 企画から完成引渡し迄の一連の流れの川上側で、時間を無駄遣いしな
  い。その無駄にした時間を川下側の工事工期にしわ寄せしない。

 □ 無理な工期を施工者に押しつけない。

 □ 計画時点で厳しいスケジュールなら、無理と判断した方がよい。
  現実は厳しい、予定より遅れることのほうが多いのだから。

 □ 工程管理を確実に行う。施工者任せではいけない。施工会社の現場関係
  者は工事が遅れているということは、自分からはなかなか言えない。
  それを売主の担当者が、冷静に把握し判断しなければならない。

 □ 早めのギブアップ
  元々無理な工期で、更にどんどん遅れていく。こういう状態であれば早め
  にギブアップした方がいいでしょう。しかし当事者である施工会社は自分
  から工期延期願いを、なかなか言えないことでしょう。
  やはり、冷静な立場でいられる部署の者が、決断しなければならない。
  それが出来ず最後になってギブアップでは、重大な契約違反となってしま
  います。
                                   
              
 □ 完成引き渡し時期を3月期に集中せずに、年間を通じて平準化する。
  それにより無駄を省くことができるし、良質なマンションを供給すること
  ができるし、買主を悩ませたり悲しませたりすることもなくなる。
  施工会社にとってもありがたいこと。


 ■ 造る人(施工会社)が出来ること

 ↓
 
 □ 初めから無理な工期では引き受けない。

 □ 必要な工期を要求する。

 □ 工程の遅れを建築主(売主)に正直に報告する。

 □ 工程が遅れた場合、安易な修正工程表は作らない。
  気休めでしかない、問題の先送り。

 □ 無理なら早めにギブアップ → 工期延期願い

 □ 工事進捗の遅れ日数がいつの時点で何日遅れとなったら、もうダメだと
  諦める危険ラインを最初から工程進捗表に書いておくべきでしょう。
  その危険ラインに達したら、警報が出るようにしておく。
  そうしないと、当事者は遅れを何とかしなきゃと焦るばかりで、冷静さを
  失い先のことが全く見えなくなります。
  その限界を超えてしまうと、あとはもう「どうにでもなれ」という開き直
  りしかありません。
  それによって得をする者は、いないはずです。
  購入者はとんだお荷物を背負い込み、永年悩み続けることになる。
  売主と施工者は信用を失う。


 ■ 買う人(マンション購入者)ができること

 ↓

 □ 3月期竣工物件購入は、なるべく避ける。
  そうすれば、供給側も当然考えるでしょう。結果的に供給時期が年間通じ
  て平準化してゆきます。

 □ 工事進捗状況を把握する。予め工程表を入手する。工事中毎月末に売主
  に工事の進み具合を確認し、出来れば現場を訪て実際に目で確認したり、
  現場のゲート付近に掲示されている一週間の工事予定表を見る。
  現場の状況写真や予定表の写真をデジカメで撮り、専門家にメールで送り
  意見を聴く。

 □ 工事中の現場を訪れ状況確認させるよう、売主に対して要求する。
  その際できれば専門家に同行してもらい、工事の進捗状況を確認してもら
  う。このことは、非常に重要なことです。工事現場を積極的に見せるマン
  ション業者もありますが、殆どの業者は拒否します。買ってしまってから
  何を言っても手遅れです。相手は途端に強気になり怠慢になりますから。
  ここでお勧めしたいのは、購入を決断される前に売主に対して次のことを
  文書で約束させることです。
  工事中の現場に立入り確認させること。
  毎月末に工事の進捗状況写真と報告書を提出すること。

 □ 引き渡し日に拘束されないようにする。工事が遅れていたり、内覧会検
  査指摘事項の手直しが間に合わないときは、無理に引き渡しを受けない。
  それが出来るように現在の住居の契約解除を延期できるようにしておく。
  時間的に自由であれば、冷静な判断が出来るが、時間に迫られると判断を
  誤らせることになる。

 □ 制約を出来るだけ外す。時間的に身動きがとれない状態だと、かなりの
  不都合があっても、しょうがないと諦めて、引き渡しを受けてしまう。
  これが怖い。

 □ すぐに諦めないで、辛抱強く折衝し要求を通す。

 □ 購入者が意識を変えること
  どうしてこんなに遠慮がちなのか、売ってもらっているのではない、買っ
  てやっているのだ。
  そんなに遠慮していたら、自分が痛い目にあうことになってしまう。
  購入者の意識が変われば、売主も変わります。まずは購入者から。


 ■ マンション内覧会検査の全容をつかみやすいように、このシリーズの
  初めに総まとめを書きましたので、未だお読みになっていない方は、バ
  ックナンバー?4をご覧下さい。


 
 ■ 編集後記
  
 □ 正直言って疲れました。今更問題点を指摘しても、時間的にどうにもな
  らないことが多く、むなしい思いをしました。実際に反映されなければ何
  にもならない。
  買主に対する売主の一方的な態度は、内覧会検査リポートを書いていても
  怒りがこみ上げてきました。
  青田売りマンションの内覧会検査の宿命です。
  それでも、検査を終わった時の依頼主のほっとされたお顔と、感謝のお言
  葉をいただいたのが救いでした。

 □ 依頼主の殆どの方が、内覧会検査の案内状が来てから、急に心配になり
  慌てだす。従って、準備期間があまりないのです。売主や施工者に時間が
  ないのが諸悪の根元であることを書いてきましたが、購入者も同様です。
  「あさって検査をしてください」 よくて1ヶ月前の検査依頼。
  いや、購入者に時間がないというのはちがいます。ほんとは時間はたっぷ
  りあるのです。気がつくのが遅く、もうその時には時間が無くなっている
  ということなのです。早い時点で専門家の協力を求めれば、有効なアドバ
  イスを受け、対策が講じられ、効果を発揮することができるのですが・・
  やっぱり時間です。時間を有効に使いましょう。

 □ すみません。今号は1週間遅れになってしまいました。
  発行が間に合わなかったのは、創刊号以来初めて。残念。
  今頃猛暑の夏の疲れが出てきたのか。
  さぼり癖がつかないようにしなきゃ・・・


 ■ このところ3月期完成マンションのまとめが続きましたが、内覧会検査
  リポートを楽しみになさっておられる方が、大勢いらっしゃるので、リポ
  ートを再開します。
  次号 9月13日(金)からは、5月以降のマンション内覧会検査リポート
  をお届けします。3月期完成マンションと違って、さすがにそれほどひど
  い物件はありませんでした。
  どうぞ安心してお読み下さい。乞う御期待。


 ■ マンション内覧会立会検査のご依頼は  
            → http://www5d.biglobe.ne.jp/~t-muraka/

 
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  一級建築士 ・ マンション管理士
  村上 健
  eMail   kensan._@anet.ne.jp
  HP   http://www5d.biglobe.ne.jp/~t-muraka/
  メルマガ http://www.melma.com/mag/26/m00063026/index_bn.html
  
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創刊日:2002-04-23  
最終発行日:  
発行周期:週刊  
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