語学・言語学

ローマから吹く風

ローマの日常コラムを読みながら、イタリア語の単語を無理なく覚えましょう!

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ローマから吹く風 70

2004/05/03

:その70:


ASSORBIRE(アッソルビーレ/吸収する)

音声はこちら→

イタリアで生活を始めてしばらくして、フラッシュバックのように、脈絡もなく浮かんでくる映像があった。
大きなパンを抱えて切る姿、建物の入り口のインターフォンで話す姿、ローマのあちこちにある消火栓のような噴水から水を飲む姿。

ローマの皆さんにとっては、あまりにも当たり前の所作。
私にとっては物珍しい所作。
物珍しいのに、頻繁に見るし、している本人はいかにも慣れた感じでこともなげにする所作…
この珍しさと頻繁さのギャップが、くり返す悪夢のように、脳みそにこの映像を写した。

ストレスの一種だと思う。で、同時に脳みそに写る映像は
ASSORBIRE(アッソルビーレ・/吸収する)していることの証拠でもあった。

ローマで普通に食卓に置かれるパンは巨大な円盤だ。クッションみたい。長いものもある。
「皮」は5ミリほどにも達し、切り分けるのに力がいる。
木製のパン切り台にドスっと置いて、 ごりごり切り取る事もできるし、パンを抱えてナイフで切りわける人もいる。
全部切り分けてしまうと、固くなるので、いるだけ切り取って置くのが普通だ。
食卓の人数が多いと、また切り分け作業が必要になったりする。
実に実に、日常に密着した作業なわけ。

イタリアの多くの住居は重層建築だ。
中心街のほとんどとの建物が500年は経ってる、のだから、重層建築を住まいにするのは、もう、当たり前の話し。
電気が発明されてから、重層建築にはエレベーターがつき、インタフォンがついた。
建物は普通、扉が閉まっている。
中の住人を訪問するには、インタフォンで話して開けてもらう。
家族だったり、親しい友達だったり、しょっちゅう出入りする人は、いちいち「おはよう、私です」なんて言う会話はしない。「ビッビッ」とか「ビィーッビッ」とか、押し方がいつの間にか決まって、図らずも暗号になっている。
家人は、いちいち言葉で確認せずにボタンを押して扉を開ける。
そんなときは、住人分のボタンが並んだインタフォンに顔を近づけないで(必要ない)、だるそうに指だけのばし、万一なにか向こうが話しかけたときのために耳だけ傾けてる。
あるいは、インタフォンを通して、おしゃべりに興じる事もある。友達の家の前に通りかかったら、電話代をかけずに用件(ただのご機嫌伺いでも)を済ませる。そんなときは、ドアに寄りかかって、ちょっとうつむき加減に顔の側面をインタフォンに近づけている。

ローマの街には「ナゾーネ(大鼻)」と言うニックネームの噴水があちこちにあって、絶えず水を流している。
ニックネームの元になった、下向きの真鍮の「鼻」の途中に穴があいている。「鼻」の下を手で塞ぐと、その穴から水が上に噴き出して飲みやすくなるわけ。
かなり位置が低いし、塞ぎ方が下手だと水が飛び散る。
ローマ人は手軽に身軽に「鼻」を塞いで水を飲む。
幼少時は親に手伝ってもらい、だんだん1人で服を濡らさずに飲めるようになる。
まともに正面から向かうと濡らすので、脇から入る。
そんなコツをわきまえた、水を飲む姿がローマの日常なのだ。

そして、こういう姿をフラッシュバックで反復ながら私の中になかった所作を
ASSORBIRE(アッソルビーレ・/吸収する)して日常に変換する。こうして異国を受け入れていく、私のものにしていく。



:今日の言葉:
ASSORBIRE

ASSORBIREは「吸収する」という意味の動詞です。ここでは不定形ですから、実際に使うときは主語によって、
ASSORBO, ASSORBI, ASSORBE, ASSORBIAMO, ASSORBITE,
ASSORBONOと変化します。

「吸収する」のは、水分も文明や思想、人の財産など、日本語で「吸収」としておかしくないものに使えます。
形容する言い回しの日本語をそのまま外国語に訳すと、意味が全く通じない事がありますのでね。

ちなみに、女性の生理ナプキンを
ASSORBENTEと言います。



:今日の写真:
ローマからナポリ方面へ100キロほど南下したリゾート地帯、サン・チルチェオの海岸です。
この付近は砂浜が続き、別荘地として発達しました。
北に住む親戚の夏のバカンスの貸家を探しついでにピクニックをしました。
このピクニックで終わりそうです。

サン・チルチェオの貸家はどれもこれも高くて、親戚のお財布には合いませんでした。






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