Servus AKIの「食卓のフォークロア」
発行日:12/20
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★☆★Servus AKIの『食卓のフォークロア』★☆★
2004年12月20日 発行
【040】チーズフォンジュ
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Servus(セアヴス)とは、ウイーンの方言で[今日は]と言う意味です
[フォークロア]とは、民間伝承、民俗学、と訳されています。
食に関するあらゆる、フォークロアな事柄をお届け致します。
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【弟子】 師匠、寒くなってきましたね。
【師匠】 そりゃ、冬なんぢゃから寒いに決まっておる。これで温かかったら
異常気象ぢゃ。
【弟子】 寒いと言えばあれですね、シ・シ・ョ・ウ。
【師匠】 なんぢゃ、気持ち悪い声を出しおって。
鍋物で、一杯やりたいのか。
【弟子】 ビンゴ!さすが師匠、頭の回転が速い。
鍋には、牡蠣鍋、寄せ鍋、石狩鍋、水炊き、・・・・・。
迷いますね、何にしましょう。
【師匠】 そうぢゃな、チーズフォンジュにしよう。
【弟子】 エ〜〜!!確かに鍋で作りますけど・・・。
ほんとに師匠って、天邪鬼ですね。
【師匠】 なんぢゃ、いらんのか。わし一人でもいいぞ。
【弟子】 行きますよ、置いて行かないで下さいよ。
ところで、師匠。西洋にも鍋って沢山有るのですか?
【師匠】 そうぢゃな、フランスのブイヤーベースやポ・ト・フなんかがある
な。スイスにもフォンジュ・シノワーズといって、しゃぶしゃぶの
ようにして食べる鍋もある。
【弟子】 本当ですか、やはり美味しいものに国境は無いんですね。ところで
このチーズフォンジュはいつ頃日本に伝わったのですか。
【師匠】 はて?いつ頃かな。レストランで「チーズフォンジュ」を本格的に
売り出したのは1961年、銀座の明治チーズサロンが最初といわ
れておる。ここは、明治乳業が日本人にもっとチーズを知ってもら
おうと始めた、スイス料理とフレンチを供するレストランなんぢゃ。
【弟子】 なんか師匠も半信半疑なお答えのようで・・・・。
【師匠】 いや、そうではない。実はこの明治チーズサロンで日本人の嗜好に
合ったチーズフォンジュを作ったのが何を隠そうわしの師匠である、
平野巳之助氏なんぢゃ。
【弟子】 それはそれは、で、どういったお方なんですか?
【師匠】 平野氏は横浜の「ホテル・ニューグランド」でスイス人シェフのS
・ワイル氏の薫陶を受けた素晴らしいシェフなんぢゃがもう亡くな
られて久しい。
S・ワイル氏は日本の洋食業界では知らぬ人がいないくらい有名な
人で、S・ワイル氏がいなければ今の日本のレストランは無かった
といわれておる、といったら少しオーバーかも知れんがS・ワイル
氏はそれほど日本の洋食界に貢献した人物なんぢゃ。そんな平野氏
は「明治チーズサロン」でどうしたら日本人がチーズを好きになっ
てくれるのだろうかと悩んだそうだ。
今の日本のチーズ人口を見てわかる通り、この40年間で日本人は
チーズ大好き人間になっていったのぢゃ。
これも全て、平野氏のおかげなんぢゃ。
【弟子】 それは、わたくしめもその一人です。
【師匠】 はじめの頃は、ワインを入れすぎると酒臭いと言われたりしたので、
ワインと水を半々にして作り、キルシュ・ワッサー(さくらんぼの
リキュール)なんか使わなかったそうぢゃ。
今では考えられん事ぢゃな。
【弟子】 作り方は簡単なんですか?
【師匠】 作り方か、簡単ぢゃ。次の通りぢゃ。
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チーズ・フォンジュの作り方
<材料>
グリュエール・チーズ 400g
エメンタール・チーズ 200g
辛口白ワイン 300cc
ニンニク 1片、片栗粉、キルシュ・ワッサー
塩、白胡椒、ナツメッグ少々、フランスパン 適量
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こんなものぢゃな。片栗粉はわしがスイスに住んでいた頃、教わっ
たものぢゃが、ほとんどの人はコーンスターチで作る。コーンスタ
ーチで作るとさらっと仕上がるのぢゃが、片栗粉だとしっかりと濃
度がつくのでわしはこちらを採用しておる。
【弟子】 わかりました、この手順はどのようにしたらいいのでしょうか。
【師匠】 作り方の手順はぢゃな、まず鍋の中をまんべんなく、ニンニクを擦
り付ける。
辛口白ワインを入れて、火にかける。沸いたら、煮溶かしやすいよ
うに、小さめに切ったチーズを入れる。
良く煮溶けたら、片栗粉(コンスターチ)をキルシュ・ワッサーで
溶いて、濃度を付ける。さらっとした濃度が付いたら。塩、白胡椒
・ナツメッグ少々を加える。
フランスパンは、固い皮が付くように大きいサイコロ状に切ってお
く。こんなもんぢゃな。
ワインは辛口のワインを使用するのぢゃが、スイスではFendant
(ファンダン)というワインで作るのが正式ぢゃ。
【弟子】 あまり聞いた事が無いワインですね。
【師匠】 そうぢゃな、スイスワインの生産量も少ないしほとんどが自国消費
なので、あまり輸出に回されておらん。僅かぢゃが日本でもスイス
ワインは手に入る。
【弟子】 ファンダンって、どんな味なんでしょうか。
【師匠】 ファンダンはシャスラ種という葡萄の品種名の方言みたいなもので、
特にヴァレー州では"ファンダン"と呼んでいるが、他地域では
"グートエーデル"と呼ばれておる。まあ、フルーティーでフレッシ
ュでな香りが特徴のワインぢゃ。飲んでみればわかる。
【弟子】 そう聞いたら、今度はスイスワインでも買いましょう。
フォンジュはこの細いフォークにパンをさして食べるんですね。
【師匠】 フランスパンの固い部分にフォークを刺さないとパンが落ちるので
気をつけるように。
フォークにパンを刺したら、鍋の底をこするようにして食べると鍋
がこげつかん、このパンをうっかり鍋の中に落としてしまったら皆
にワインをご馳走しなければならないしきたりぢゃ。地方によって
はキルシュワッサーを奢るとも言うが、これは鍋の中に落とすのは
不作法ですよ!と教えているのぢゃな。
【弟子】 ご馳走様でした。いや〜美味しかったですね。
【師匠】 なんぢゃ、わしの分はどうした。まだ食しておらんぞ。
【弟子】 師匠が長々とお話しているのでお先に頂きました。
【師匠】 な・なに!ムムム・・・・。
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