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建築所感

世界のあちこちで見てきた建築を勝手に書きつづります。第一回はビルバオグッゲンハイム。ネタのある限り続けます。

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建築所感 36<平等院鳳凰堂、宇治神社、宇治上神社>

2002/12/31

建築所感 36<平等院鳳凰堂、宇治神社、宇治上神社>

名称:平等院鳳凰堂、宇治神社、宇治上神社
場所:京都府宇治市宇治
設計:-
建設年代:
平等院鳳凰堂 1053年
宇治神社本殿 鎌倉時代後期
宇治上神社拝殿 鎌倉時代前期
宇治上神社本殿 平安時代後期
用途:
平等院鳳凰堂 仏堂
宇治神社本殿 神社
宇治上神社拝殿 神社
宇治上神社本殿 神社

京都に行ってきた。
毎年恒例という訳でもないのだが
年末の頃になると京都に出かけることが
たびたびある。
理由は特にない。
ただ年末の京都は観光客が少ないので
建物をじっくりおちついて見ることができると思う。
春や秋の観光シーズンは人込みで悲惨が目に見えているので
行きたくなっても我慢している。

何度か行っている訳だけど、まだ見ていないものも
いっぱいある。
今回はその中のいくつかを見ようと思っていた。
時間に限りはあるのだけど予定としては
平等院鳳凰堂、宇治上神社、石山寺に円通寺。
わりと歴史のあるものばかりになった。

名古屋から京都まではバスで行った。
片道2時間半くらいで2000円。
わりとお得ではないかと思っている。
こちらを朝に出て昼前には京都に着いた。
まず向かったのは平等院鳳凰堂。
電車に乗り換えて宇治に向かう。

鳳凰堂は10円玉にもあるくらいに有名な建物だ。
近くの土産屋にもこれみよがしに10円のかたちをそのまま
大きくしたせんべいが売っている。
そんな店の並びを通り抜けて切符売り場へ。
入場料600円。
門を抜けてしばらくして本物の鳳凰堂が見えてくる。

思ったより小さい気がしないでもなかった。
予備知識はあったのだけど
まあこんなもんかというくらいの大きさ。
むかしはベンガラの朱で柱梁は塗られていて
さぞかし映えていただろうけど
今は古い木の色そのまま。
申し訳ないけどちょっとつらい気がした。
浄土を表すというその建物は詫びた感じのするはげ落ちた
木の色は似合わない。
想像力を駆使して赤鉛筆でスケッチした。

鳳凰堂は内部も見られる、んだけど追加料金200円。
いーよいーよ払ってやるよ、くらいの気持ちでお金を払う。

阿弥陀様の置かれているお堂に案内される。
その阿弥陀様のちょうど前が入り口と格子窓になっている。
お堂のまわりは池で囲まれているのだが、
その池のぼんやりと反射した光で阿弥陀様が浮かび上がる。
阿弥陀様御自身も金色で、お堂の中も
らでん(貝の内側のきらきらひかるところ)や鏡が使われていて
部屋全体を明るくしようとした意図が伝わってくる。
お金はかかったのだろうけどよく考えたなあ、と思った。
池で囲まれれば火事も少ないだろうし。

お昼になった。
時間もたって体も冷えて来た。
冬の京都は底冷えがすると言うが
まさしくその通りである。
なにか、おいしいものないかなあ、と考えて
外にでる。

平等院近くの観光客あてのお店は避けて近くの商店街を歩いた。
しばらくしてランチ500円の看板が目にとびこむ。
安すぎる感じもしたがおそるおそる中に入る。
そのランチを注文したのだが、
トンカツにコロッケにからあげ、ポテトフライにサラダと味噌汁、
ごはんが大盛りでついでにコーヒーもついてきた。
圧倒された。これが京都のパワーか。
これで経営が成り立つんだろうか、などと心配してしまった。
おいしかったですー、とお金を払って再び外へ。

宇治川を渡る。
けっこう広い川だ。
水鳥もたくさんいた。
さかなもたくさん、いるんだと思う。

川沿いをしばらく歩いて宇治神社へ。
ちょっとややこしいのだが川に近い方に宇治神社があって
ちょっと離れたところに宇治上神社がある。
2つの神社が遠くない距離にある訳だ。
まずは手前の宇治神社を拝見する。

かっこいい。
鎌倉時代の建物ってどこか共通してるような気がするんだけど。
なんていうか、屋根がしゅぴんってなっているような感じとか
柱や梁の部材の大きさがあまり強調されていないところとか。
この宇治神社もそんな感じで屋根のカーブがかっこいい。
それをささえる垂木の列もかっこいい。
平等院みたいに入場料を取らないところもスバラシイ。
いいねえ、こういうの。
ほれぼれとしながらも、もうひとつの宇治上神社に向かう。

そこまでは歩いて5分とかからなかった。
ちょっと古そうな木の門を抜けるとそこに宇治上神社の拝殿があった。
この姿をどう表現すれば良いのだろう。
今までに見たことのない屋根の形だった。
桧皮ぶきのその屋根はその両端がまるで鳥の翼の両翼のように
カーブしてしなだれている。
まるで飛び立とうとしているかのよう。
またそのかたちがすばらしい。
すっかり見とれてしまった。
これはいいわ。
なめまわすように全体を見る。
どお見てもかっこいい。
惚れるなあ。
そのすぐ裏に、こんどは本殿がある。
他にも小さなお堂がいくつかあるのだけど
大きくはこの2つ、拝殿と本殿から成る。
この本殿もまたいーんだわ。
前面全体は格子戸でおおわれている。
屋根を支える垂木の間隔はぎっしりとさせずに
45センチくらいの間隔をおいている。
なんていうか、あまり格式ばっていない。
神様のいるとこだと思うんだけど
ちょっと身近な感じさえしてしまう。
そこまで狙ってこの建物を作ったかどうかは
わからないけど。

でも、今回いちばんいいなあと思ったのは
この本殿と拝殿のあいだの間だ。
距離にしてどのくらいだろう、
10メートルくらいの間が
本殿と拝殿のあいだにある。
最初に出来た本殿の方が山の方のちょっと高い位置にあって
後でできた拝殿は手前の低い方にある。
まわりは木々や竹林でおおわれていて
風にゆれてさらさらと鳴る。
2つの建物は遠すぎず近すぎず、
高低の差を持ちながらも高すぎず低すぎず、
違う形の建物だけど素材の感覚が質を補い、
これらの事を簡単にバランスと言っていいものかどうか。
まさしく日本のことば、”マ”を考えずにはいられない。
そのあいだにある空間は何でもないんだけど
ないとどうしようもないような。
緊張を伴いながらも余裕があって、
なおかつ流動的で神聖なもの。
もし、こういう感覚を会得できたら
同じものじゃなくても
そこにしかできないものが
できると思う。

その場をスケッチをしていた。
短い時間であったのだが、雨が降り陽光が刺し、曇りにもなり
その場は刻々と変化していった。
すべては間の中で起こったこと。
鳥も鳴く、風も揺れる。
古の人のはるかに秀でた感覚はとても私からは遠いものだけど
少しでも近付きたいと思った。

続きはまたいつか。
みなさんに良い年がやってきますように。



                     02.12.31  竹中アシュ

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創刊日:2002-01-27  
最終発行日:  
発行周期:ときどき  
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