建築

建築所感

世界のあちこちで見てきた建築を勝手に書きつづります。第一回はビルバオグッゲンハイム。ネタのある限り続けます。

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建築所感32<八勝館>

2002/11/05

建築所感32<八勝館>

名称:八勝館
場所:名古屋市昭和区広路町石坂29
   (地下鉄八事駅降りてすぐ)
設計:堀口捨己
建設年代:大正14年
用途:料亭

お茶会でお手前をすることになってしまった。
普段、人前に出るのがはずかしくって、
申し出は断りたかったのだけど、
恩のある先生からお声がかかったこともあって、
承諾することにした。

1ヶ月程の猛特訓の後の11月3日、
場所は名古屋は八事の八勝館。
こういうことになるまで知らなかったのだけど
名古屋では超有名な料亭らしい。
設計は堀口捨己。
もう亡くなってる方だけど茶室研究の本を出してる人だ。
ただ僕は不勉強なのでまだ読んでない。
あと、間違いがなければ明治大学の生田校舎を設計してる。
こちらは大学に友達が行ってたこともあって実際に訪れたことがある。
んだけどスロープが多いなあ、くらいの印象しか残ってない。

当日朝8時。
地下鉄八事の駅の階段を登る。
出てみればマンションやらデパートやらの喧騒の中。
そこからしばらく歩くと”八勝館”と銘が出ていて古そうな立派な門があった。
おお、これかあ。
しかし門の中はなぜか立派な近代的なマンション。
ほんまにこれなんかあ、と迷う。
中から人が出てきて「これは門だけで八勝館はここを曲がった裏の方に
あります。」と言われる。
なんつうフェイントかしらん。
後で聞いたら敷地の一部を貸してしまってるとのこと。
まあ、いいんだが案内の看板くらいあってもいいがや。

玄関らしきところを発見。受付らしき場所もある。
どおにか着いたわけだ。上がる。
裏千家の方なんですけどどっちですかー、と近くのおねえさんに訪ねる。
で、教えてもらった方に歩いていくんだけど、
中はまるでめいろ。
あちこち歩き回るがわからない。
仕方なくもう一度もとの場所に戻ってもう一度場所を訪ねる。
どういうつもりでこのように作ったのかはわからないけど、
はじめて来た人はうろたえるよこれは。
建物をじっくり見るなんて考えもその時は浮ばず、
よく乾燥したであろう木造のその屋敷は
マッチ一本でボーボー燃えそうであった。

どおにか先生のとこまで辿り着く。
待ってましたと言わんばかりに着替え始まる。
仕方ないのだけど和服着せられる。
普段から着物を着てるわけでなし、
コスプレとあんまり変わらなかったであろうオレ。

会場のメインとなったのが御幸の間というところであった。
何畳あるか数えなかったけどかなりの大広間だ。
なおかつ茶室。ちょっと大きめの炉が切られている。
聞けばその昔、昭和の時に天皇陛下も泊ったことがあるとのこと。

きれいだったなと思ったこと2つ。
1つは水面の反射したのが障子に映ってたこと。
もうひとつはインドのサリーの生地で表面が張られたふすま。

その御幸の間は南の方に池がつくられていた。
太陽からの光がそこに反射して和紙にゆらゆらとした影がうつる。
そういうのってけっこうあちこちで見られるものだと思うのだけど、
今まで見た中でいちばんきれいだった。
部屋の中が光の水であふれる。
なんか見とれてしまったな。
へええ、これっていいよなーって。
でもその部屋にいた人たちはあんましそんなことに興味なかったみたい。
茶道具や軸のことはいくらでもほめるのに。
逆にそんな光ばかり見ている自分の方が
変なんだろな。

その光は、日が照ってるかぎりほぼ一日中消えることがなかった。
偶然を装ってすごい計算してたかもしれない捨己さん。
ついでを言うと建物のまわりは沢山の木が植わっている。
最初からあったのか、あとから植えたのかわからないけど。
たくさんひよどりが来てたみたいで
みんなヒーヨヒーヨって鳴いてた。
人さえいなければけっこう落ち着いていられる場所だったかもしれない。

もひとつのきれいだったもの、ふすま。
ふすまの表面に紙じゃなくって布が使われてた。
赤やら緑やらの帯状のものに金いろでいろんな図柄がちりばめられている。
その上からあわく照明があてられるのだけど、
なんとも言えず深い雰囲気が出てる。
妖艶とも言えるその感じ。
どこの布を使っているのだろうと思ったのだけど、
インドのサリーと聞いて知って恐れ入った。
こういう使い方があるのか、というか、
和風の意匠の部屋に見事なまでにキマっている。
このなまめかしさは簡単に出るもんじゃあねえよ、
まいったぜ堀口捨己先生。
知らない人なのに話しかけたくなる気分だった。
ちょっとまねしてみたいなあとさえ思った。
インドに行けばそおんなにはサリーって高いものではないし。
まあ、ただ単にまねたところで同じような深さは出ないのだろうけど。

あんまり感動してる間もなくお手前の順番は来る。
自分ゴトキで申し訳ないような気がしながらも
必死に茶せんを振る。
必死すぎて正座してた足がけっこうヤバイ状態になる。
冗談を言える相手がいる訳でもなし、そういう状況でもなし。
ただ耐える。
まあ、でもこういうことしてなかったら、こんなとこには
来れなかっただろうし。
しみじみとふかぶかと茶せんを振る。
オレは一体何なんだろうと茶せんを振る。

どおにかお手前の仕事を終えていろいろ歩きまわる。
でもなんだかつまんない。
建物がつまんない訳ではなくて、
着物を来た女の人が大勢いる中で
不似合いな男が独りというシチュエーションに耐えられなかったのだろう。
所詮は人間なんて独りだ、なんて
さらにつまんない事考えながら歩き回る。
いつもそうだけど自分はまわりに溶け込まない。
いつも浮いててほっておかれる。
好もうが好まなかろうが。

そのうち建物よりも人を見るようになったのだけど、
和服も着こなしてる人とそうでない人がいるということに
気がついた。
今まで和服のおねえちゃんって誰でもかわいく見えたのだけど、
その日はそうは見えなかった。
むしろ歩き方や立ち方座り方がぎこちなくって見てられないって
感じ。
でも中にはそうじゃないひともいたりして。
思わず見とれてしまうようなひともいた。
単に好みなだけかもしんないけどさ。

ケンチクショカンなのに、おねえちゃんの事書いててどおする竹中。
でも文章をまとめようもないなあ。
ついでにといっては何なんだが、
料亭ということで中に入るのは要予約みたい。
料理が平均で2万って聞いた。マジかよ。
でもメシは特筆することもなくマズかったんだけどな。

茶事って何なんだろおねえ。
なんでお茶を続けるかね竹中。
ではまた。


                     02.11.05 竹中アシュ

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創刊日:2002-01-27  
最終発行日:  
発行周期:ときどき  
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