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建築所感

世界のあちこちで見てきた建築を勝手に書きつづります。第一回はビルバオグッゲンハイム。ネタのある限り続けます。

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建築所感26<カッパドキア>

2002/07/24

建築所感26<カッパドキア>

名称:Cappadocia
場所:Cappadocia Turkey
設計:-
建設年代:B.C.4世紀-20世紀
用途:住居、教会他


カッパドキアを最初に知ったのはいつだっただろう。
世界中にはいろんな集落がある。
わらで出来た家もあるし、木の家だってある。
れんがの家だって・・・これではどこかの童話だな。
ありとあらゆるもので家は出来ているけど、
その地のどこにでもあるもので出来ていて、
なおかつこれしかない、という方法であったりすると
記憶にのこるような光景になってると思う。
人間の原始的な力がそんなところにひそんでるのだろうか。
工業化商業化された都会に魅力がないわけではないのだけど
誰もがもつ憧憬には、どこか似たところがあるような気がする。


カッパドキアはトルコの内陸の方にある。
イスタンブールからはバスで一昼夜くらい。
ちょっと時間がかかるけど、観光ルートとして開発されているので
行くのには問題なし。
僕もそんなバスのひとつに乗った。
ただ、観光ルートに組まれているのに乗ると、自由が効かなくなるので
単独でバスチケットは買ったけど。


写真に見た風景が近付いてきた。
おお、岩山じゃん。
でこぼこじゃん。
穴、ほってあるじゃん。
人住んでるんかなあ。
わかんないけどここで降りてみよっかあ。


と、知らないとこで降りてしまった。
やべー、でもまあいいのか悪いのか。


カッパドキアは白い岩山だらけのところで
その岩山を人力でくり抜いて人のすみかにしてしまったところだ。
もともとの岩山も日本にあるようなものではなく、
なんだかニョキニョキしている。
なかなか近いものが思い浮かばないのだけど、
しいて言うならムーミンに出て来るにょろにょろの大軍みたいな感じ。
硬い岩ではないらしく、好き放題に穴がほってある。
いいよなあ、簡単にタダで家ができる。
私の前にはまさにその岩山がえんえんと連なっていた。
しかし、人の気配がしない。
実際にその住居らしきところに近付いたのだけど、やはり誰もいない。
くり抜かれた岩と雑草といくらかの木があるだけで
人がいる様子がない。
放棄しちゃったのかなあ。
面白いんだけど、ちょっと無気味でもある。
あちこち歩いているうちに疲れた。
リュックが重い。
まだ宿が決まっていない。
だいたいここがどのあたりなのか全くわかっていない。
どうしようかとも思ったが
まだ日も高いし、リュックを降ろして一息入れる。
がらんとした光景の中にひとり身を置く。
みんな、どこ行っちゃったんだ?
永遠のかくれんぼ。
しーん。





しばらくして、もと来た道まで戻って
バスが進んで行った方向にしばらく歩くと
ようやく小さな、人のいそうな集落があった。
ホテルもどうやらありそうだ、よかった。
せっかくこんなとこまで来たのだし、
あの岩山を利用したホテルってないのかしらん、
と思ったら、それは簡単に見つかった。おお、旅の醍醐味よねー。
くり抜いたその中は客室になったりレセプションになったりしていたが、
外の日射をさえぎり気持ちの良いものだった。
面白かったのは、ただくり抜くだけではなく、そのくり抜いた石を
四角く成形してブロックにし、それでまた建物を作ってしまっているところだ。
まさに一石二鳥。僕の部屋はブロックの部屋の方だった。


宿の人にたどたどしい英語で話を聞く。
”なんであの岩山の方に人は住んでないの?”
”昔は、当然だけど人が住んでた。
おそらく大勢の人がその岩山を住居にして
暮らしていた。楽しかっただろうな。
でも、ひとびとのくらし、変わってきた。
特に自動車が来るようになってからかなり変わった。
いろんな商品が入ってきて、いろんな人も来た。
そして人が車を持つようになって、道の近くに人が住みはじめて、
みんな便利な方に引っ越しちゃった。
電気や水のある、平たいところの家に引っ越しちゃった。
だから今でも人は住んでるのだけど、正直な話、ちょっと貧しい人たちかな。”

そうだったのか。

岩山だから、この風景はなかなかなくなることはないだろうな。
でも、たぶん、おそらく、こういう風景はだんだんなくなるのだろうな。
アメリカのグロバリゼーションが悪いとか、
かんたんには言えないけど、
消えた豊かさってあるだろうな、って思った。
そしてもとに戻ることはないだろうと思った。
また行けるかなカッパドキア。




                    02.07.24  竹中アシュ

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創刊日:2002-01-27  
最終発行日:  
発行周期:ときどき  
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