建築

建築所感

世界のあちこちで見てきた建築を勝手に書きつづります。第一回はビルバオグッゲンハイム。ネタのある限り続けます。

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建築所感016<メスキータ Mezquita>

2002/04/26

建築所感016<メスキータ Mezquita>

スペインのアンダルシア地方で有名な建築といえば
まずアルハンブラ宮殿が挙げられると思う。
その空間の壮麗さで他に比べるものもない。
それを最初に見るとして時間があればこちらも訪れてみたらどうであろうか。
あるいはこれを見ることで、あなたの建物を見る視点も変わるかもしれない。
場所はスペイン南部の都市コルドバ。

巨大な宗教建築は多い。
多くの信者まねき入れるためには巨大であることは当然の要求でもある。
公共性もあり、富の象徴でもあったりで
丈夫に作られることも要求される。
しかし、時代が変わり、その地域の支配者や民族、
あるいは考えが変わると、宗教も一変したりする。
そんな時にもとあった建物を破壊しつくすこともあるが、
有効に再利用されることの方が多いのではないだろうか。
そして時にはもとの宗教色が色濃く残ることもある。
このメスキータはその好例である。
もとはイスラム教徒のためのモスクであった。
最大で24000もの人が同時にこの場所で祈りをささげていたという。
今はキリスト教の教会として使われている。

アンダルシアの日ざしは強かった。
当たるというより刺すという感じに近い。
もしかすると、この付近の緯度の太陽は同じように感じられるものかもしれない。
太陽からは自然に逃げようとした。
その強い日ざしが乾いた岩肌に光る。
外観は石だ。
この気候に長く耐えてきたことを語るようにその建築の表面は粗い。
過酷な時間、歴史をすでに纏っているかのようだ。

内部は広い。
広いというより、よくわからない、というのが本音である。
屋根は柱とアーチにより支えられているのだが、
それらが幾重にも重なりあい、ひとつの空間となっている。
そして奥にいく程暗く見えるので、広さの感覚が曖昧となる。
思いだしたのは前回の待庵の洞床である。
床の壁は丸く塗り込められ、奥行き感覚が曖昧となる。
あわせてその茶室自体が暗いことにより
いっそう空間が深められる。
姿かたちは違えどもメスキータにも共通したのは無限に通じる感覚である。

柱と梁はイスラム建築独特のかたちを保っている。
キリストの教会ということに違和感を覚えるくらい、
それらは圧倒的な力を持って空間を支配している。
規則正しくそれらは並んでいる訳ではない。
この建物も増築が続いたものだという。
大きさが少しずつ違ったり
形が少しずつ違ったり、
柱の間隔が少しずつ違ったりしているのだが、
それらの違和により、空間はより深く複雑に演出される。

かつてはどんな時代がここにあったのであろう。
男達はどういう思いでここで祈りをささげていたのだろうか。
イスラム式の礼拝は体を駆使する。
異教徒である私はアッラーの事は知らないが
人を平伏すその力はただものではないと見て感じる。
ほの暗い空間は今はほとんどが観光客である。
24000の祈る人を想像してみる。
天井は高く、コーランは響き渡ったであろう。
平伏す時のその衣擦れの音だけで圧倒するものがあったに違いない。
ここでも空間は無言である。
時間と歴史と人を感じる。

                  02.04.26 竹中アシュ

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創刊日:2002-01-27  
最終発行日:  
発行周期:ときどき  
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