建築

建築所感

世界のあちこちで見てきた建築を勝手に書きつづります。第一回はビルバオグッゲンハイム。ネタのある限り続けます。

全て表示する >

建築所感006<Hong Kong>

2002/03/06

建築所感006<Hong Kong>

建物、というよりひとつの都市になっちゃったけど、
ひっくるめて言った方がいいと思ったんだ。
有名な建築もあるけどさ、
N・フォスターの空港や香港上海バンクとか
ペイの中国銀行とかさ。
そんなものよりも、伝えたいのは香港のパワーだ。

いやあ、一体何から言えばいいのだろう。
なんていうか、空港から中心街にいくまでに目立つのが
オンボロのビル郡。
日本の見なれたビルとは違って、
すんげえオンボロ。
今にも倒れそうだし、外にはいろんなパイプやら室外機が
サビたままくっついてるし。しかもやたらに細くて高い。
日本には見られないプロポーションしてる。
しかしそれこそがパワーだというか、
圧倒的に強靱な強さを見せつけられたと思った。
もちろん地盤がいいのだろう。
しかし、効率の良さと、それをとことん使い込むはての
姿と言えばいいのだろうか。逆に今新しく建ってるビルだって
何十年もすればああなるのか。
いつかSD(残念ながら廃刊になってしまったが)に超級都市香港という
特集があったが、その超級というイメージがぴったりくる。
1級とか特級とか超えちゃうんだ、あの街は。
たまたまおいらが利用したビルは住居ありホテルあり
商店ありオフィスありの複合ものだった。
最近日本でもオフィスビルを住居に変えるということが
検討されてるけど、まずは香港をじっくり見た方がいいんでないの?

この強さは何かと自分で考えたが、
これは使いこなす強さではないだろうか?
用途を限定せずにガンガン使っていく、あらゆる出来ることをやるという
生命力に直結するようなパワー。
今の日本にないものだし、今年も経済成長率を維持すると断言した
中国のパワーというものの片鱗かもしれない。

中心街に来るとビルに加えて看板と人の波だ。
人込みは大都市であれば共通するものだけど
はり出す看板のデカさはただものではない。
というより落っこちて来るんではないかと心配になる、
と思ったら実際に落ちることもあるんだそうで
人身事故になることもあるようだ。
先程のサビた室外機についても同じ。
それでも変えようとしないところは
人口の多い故なんだろうか。
強いよなあ、かつての日本にもそんな強さが
あったと思うのだけどな。いつから人権の国になったんだろね。
まあ、日本のことはそのくらいにして。

夜景にも驚いた。
夜景をウリにしてるところなんていくらでもあるけど、
九龍側から海峡を超えて香港島を望む風景は
他に比べるものがなかった。
意識してライトアップしたりもしてるのだろうけど、
さっき言った香港上海ビルや中国銀行なんかも
その夜景におさまってる。
海の向こうにそびえ建つビル郡というのはどう表現すれば
いいのだろう?
現実であり確かな幻のような、時代を超えて生き抜くような、
したたかでたくましく、東洋の中の自分の位置を確実にモノにした
まさに龍の息のかかるところに彼らは生きる術の群れを
作り上げたのだ。
すんごいんだよ。
くやしいぐらいにすんごいんだよ、彼らは。

とまあ、街のことを書いたところでフォスターなんだけど、
個人的にはあんまり面白くないなあ、と思ってる。
たぶんすばらしいデテールだし、計算されつくした故のカタチなんだろうし、
寸分のスキもないようなそんなもの。
空港について言えば黒川さんのマレーシアの方が良かった。
おいらは黒川さんの建物ってあまり好きになれないんだけど、
この空港については緑の中におさまっててなんかいい気持ちだった。
フォスターのは人工的にすぎて、ミドリのミの字もないような感じ。
効率いいのかもしれないけど遊ばせてくれないみたいな気がする。
これについては香港上海銀行も同じ。
スバラシイものだよ。
1階部分が通り抜けできるのは気持ちよかった。
けどなあ。
あの人の建物はすんごいカネがかかってると言われるけど。
まあきっとおいらの好みかどうかなんだろうな。
ペイさんの銀行はフォスターにおされてあまり評価が出てこないけど。
しかし、これって風水パワー炸裂かもな。
あのカタナみたいなカタチって完全に周りを威圧するじゃん。
高さもあるし。
あの辺の銀行の関係を思い描いちゃうね。

なんかカッコいいぜ香港。
グッときちゃう街だ。
クサイ?でも都会だしさ、
都会はやさしいよ。
おいらみたいなアホでも受け入れてくれそうな気がする。

建物の個別の評価は別として、
行ったことのある人だったら
賛同してくれるんじゃないかな。
もちろん食いもんうまいしさあ、
日本にくらべれば物価割安だしさあ。
他にもスターフェリーやどこまでも続くエスカレーターや
地下鉄のメタルのシートやペニンシュラの冷房効きすぎのロビーや
どこにでも出てる屋台やチョンキンマンションのあやしげな異国の人たちや
がっかりするかもしれない客家の集落やちょっと足をのばしてマカオや
ホンコンピークはなんでザハになんなかったのとか
クーロン城みておきたかったとかさっ。

あー、こんなこと書いてたらまた行きたくなっちゃったよ。
風にでも飛ばされて行ってしまいたい気分だ。

                 02.03.06  竹中アシュ

次回は岐阜県営北方集合住宅・妹島棟について勝手に書いてみたいと思います。


□読者の皆様へ
・勝手に用語解説。
 N・フォスター
Norman Foster.イギリスの有名な建築家。サーの称号を持つ。
現在も健在で世界中で建築を作っている。今回の香港上海ビルは彼の代表作。
この人の設計する建築の坪単価はすんごく高いらしい。
 ペイ
Ieoh Ming Pei.中国系のアメリカ人建築家。
特に有名なのはパリのルーブル美術館のガラスのピラミッド。
他世界各地に作品あり。
 SD
鹿島出版会から毎月出ていた建築雑誌。
各号とも1つのテーマがあり特集されていた。
私もいくらかは買いもとめ、立ち読みは必ずしていた。
現在は残念ながら発行されていない。
 黒川さん
黒川紀章。言わずと知れた日本人建築家。
作品は日本においては数しれず。世界にも多数。
 風水
風水術。起源は中国とされる。主に都市や建築の立地において適切かどうかを
見るための術。インテリアにも応用され、幅広く活用されている。
 スターフェリー
香港で九龍側と香港島を結ぶフェリー。
 エスカレーター
いくつかに分割されているんだけどエスカレーターがえんえんと続くところが
あります。タダ。行ってのってみるべし。
 ペニンシュラ
高級ホテルのひとつ。ここのホワイトチョコレートはとてもおいしい。
 チョンキンマンション
香港のとある雑居ビル。
格安な旅をする人であればたぶんお世話になるであろう。
 客家の集落
客家は”はっか”と言います。
四角い土地のまわりを高い壁で囲み、そのまわりには堀がめぐらされています。
中は住居が規則ただしく密集している。
中国に行くと四角がだ円形になってて大きなものもあるのだが
まだ見に行ったことがありません。ぜひ見たい。
 ホンコンピークはなんでザハになんなかった
かなり前になるのですがホンコンピークという複合施設(?)の
コンペがありました。この時の審査員は磯崎新。数ある応募案の中で
決まったのがZAHA HADID.すごく個性的な案でどんなものができるのか
楽しみだったのだが、結局この人の案では実施されなかった。
 クーロン城
クーロン(九龍)にあったそうです。複合ビルというより
増築に増築が続けられてできあがった、まさに城という存在だったらしい。
すごくでかくて迷路のような世界があったそうです。
残念ながら取り壊されてしまいました。




規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2002-01-27  
最終発行日:  
発行周期:ときどき  
Score!: - 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。